2008年1月25日

No.29 "見て""守る"ということ

突然ですが、子どもたちに対しての私たちの願いは「子どもたちが親から自立できるようになってほしい」「子どもたちがいろんなことを自分でできるようになってほしい」ということです(皆さんも同じ思いですよね)。ですから、そのためにはどうしたらいいかということが、保育を行う上でいつも議論の中心になります。子どもたちが自主的に行動できるような関わり方や環境を模索し続けるのも、子どもたちが自分でいろんなことができるようになるために、子どもたちの力を引き出したいと考えるからです。

子どもたちが自分でいろんなことができるようになって自立していくためには、大人の関わりや援助が必要です。ただ、この援助の考え方が難しいところだと思っています。援助は子ども一人ひとりの発達に合わせたものでなければいけないし、自分でできるようになることにつながっていかなければいけないからです。子どもの発達段階によっては、何もしないことがその子にとって必要な援助でもあるからです。

例えばトイレの後にズボンをはくという行為に関しての援助。まずはその子がどこまでできるかをきちんと把握しておくことがスタートです。自分からはまだ無理であれば、当然はかせてあげなければいけません。足を突っ込めないのであれば、大人が足を突っ込んであげて、その後のズボンを上げることだけは子どもにさせます。自分で足を入れられる子だったら、トイレから出てきたらすぐはけるようにズボンを広げて置いておきます。たたんだものを広げることからできるのであれば、たたんだままにしておきます。引き出しから出せるのなら、引き出しからも出さないようにしておきます。このように、援助といっても、子どものできることによって一人ずつ違います。

例の中の「どこまでできるかを把握する」ことが『見る』ということ、そして「どこまでできるかに合わせて必要な援助を行う」ことが『守る』ということです。この『見る』と『守る』を合わせた『見守る』ということを、子どもの自立のために、私たちの保育の軸としてもっと強いものにしていきたいと思っています。

2008年1月18日

No.28 できるだけゆるやかに移行

少しずつではありますが、保育所では来年度への移行が始まっています。今回はこの移行について書いてみようと思います。子どもの発達は言うまでもなく連続性の中にあります。しかし一般的には制度上、4月1日には年齢別のクラスを設けて一気に進級が行われます。月齢差があるのにも関わらず一気に進級です(ちょっと無理があると思いませんか?)。さらにこの4月には進級と同時に新入児も加わります。このため4月はバタバタが更にバタバタになってしまいます。

そのようなことから、4月を迎える前に次年度に向けて移行を行っているわけですが、まずはぱんだ組(2歳児)の話です。2歳児クラスから3歳児クラスに変わる時は大きな変化があります。子どもたちに対しての保育士の人数も変わりますし、4歳・5歳と一緒の空間で生活をするようにもなります。そのために必要になる基本的生活習慣や社会性の基礎をしっかりと身につけることを、ぱんだ組では特に意識して保育を行ってきました。そしてこの頃から少しずつ3~5歳の活動スペースへ遊びに行って過ごしたり、食事も3~5歳のランチルームで食べたり、お昼寝も遊戯室で眠れるようにしたりします。このように少しずつ移行していき4月を迎えます。

そして、ぱんだ組の生活が3~5歳の空間に移ってくると、今度はぱんだ組の部屋がぞう組(5歳児)の主な活動スペースになります。「小学校への移行」という課題をもったぞう組は、その課題に向けた活動にも取り組み始めます。といっても小学校の勉強を先取りするわけではありません。あくまでも、小学校での生活や勉強に対してスムーズに取り組むための実体験(遊び)が中心です。

簡単にしか説明できませんでしたが、新年度に向けて、他の年齢の子どもたちも同様に移行が行われていきます。年度が替わることに対してこのように対応するのも、子ども1人ひとりの成長・発達に丁寧に対応するためです。そのように、できる限りゆるやかに移行して4月を迎えることが、子どもたちにとっても、保育者にとっても、また、保護者のみなさんにとっても望ましいことだと考えています。

2008年1月11日

No.27 公開保育を行います

2008年最初の「園長のひとりごと」です。昨年は世の中でいろんな問題が起きました。おそらくそれは今年も続くと思われます。そして保育所を取り巻く状況にも大きな揺れがやってくる兆しがあります。その揺れが、将来の日本を支える子どものことを真剣に考える方向に進んでいくきっかけになればいいのですが、私の予想では???です。危機感をたっぷり感じています。

そんな状況でも、私たちのすべきことは変わりません。どこまでいっても「子どもを真ん中において」議論をし、実践し、検証することを繰り返していくことしかありません。そして今回その繰り返しの中に、公開保育という形で外部の方に保育を見ていただくことを取り入れます。来週の金曜日(18日)に行います。

今回の公開保育には県内県外合わせて20数名の保育関係者が来られる予定で、午前中の保育を見ていただきます。その方たちに隅から隅まで観察してもらうことは、私たちにたくさんの気づきを与えてくれるはずです。というよりも、私たちとは違う目での観察を、その後の実践や検証をより深いものにしていくという前向きな気持ちで臨むのが正解だと思っています。全ては「子どもたちの育ちを保障する」ため、そのために自分たちの保育はどうあるべきかを考えるため。手前味噌で申し訳ないのですが、あさり保育所の職員は保育者として問題意識や課題意識をしっかりと持ってくれていると思います。有意義な日になるはずです。

また当然ですが、子どもたちの姿をしっかり見ていただきます。春から確実に成長してきている子どもたちは、当日たくさんのお客さんの視線の中でどのような姿を見せてくれるでしょうか。とても楽しみです。もしかすると、私たちの前では見せないような姿を見せる子もいるかもしれません。いつもと変わらないかもしれません。どちらであっても、子どもたちにとっても十分に意味のある日になると思っています。