2017年6月30日

No.500 センター試験の廃止と保育の関係

先日愛真高校の生徒が授業の一環で保育現場の体験に来てくれ、その際にあさりこども園の保育の考え方を少しお話させてもらいました。その中で、2020年にセンター試験が廃止されることについても話したのですが、なぜそんな話をしたのかをここでも書かせてもらいます。

センター試験に代わる試験を行うことに決まった会議の報告書を読むと、なぜ変えることになったかの理由、どう変えていくのかの方向性が書かれていました。簡単にまとめると、変える理由としては「これからの社会は誰にも予想がつかないくらい大きく変わっていく。そんな時代だからこそ、多様な人々と協力しながら自分自身で人生を切り開いていく力が重要になる。また、知識の量だけでなく、自分で問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を作りだしていく力が重要になる。」とありました。すごく大事なことですよね。園児が大人になったときは今と状況が大きく違っているはずで、だからこそそこを見据えて必要な力をつけるべく、育ちの場を作っていかなければいけません。前回のひとりごとでそのことを書きました。

そしてこれから教育の場で重視すべき力として「①十分な知識・技能、②それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力等の能力、③これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度である。」とあります。①は今までと変わらないことですが、今後は②③の重要性がもっと盛んに叫ばれるようになると思います。これらは乳幼児期からの体験も非常に重要だと考えていて、自分で考え挑戦する場、その中での失敗が認められる場、個々の考えの違いが尊重される場、子ども同士の多様な関係の中で楽しさを共有する場、好奇心を高めもっと知りたいと思える場、そうした場を作ることがこども園、保育園、幼稚園の役割としてますます重要視されるようになるはずです。あさりこども園はこれからも変わらずそこを目指していくわけですが、その目指しているところを改めて整理する段階にきていると思っています。保護者のみなさんだけでなく、地域の人たちにもスッと理解してもらえるような、そんなものを作って示していくことが私たちの課題でもあります。

センター試験とこども園の保育は直接つながっているわけではありませんが、目指すところを合わせるのは絶対に大事なことです。子どもたちに関わる全ての大人が、全ての教育の場が同じ思いになれば、社会のあり方も変わっていくんでしょうね。そうなっていくことを目指して、私たちはこども園でできることを1つずつ積み上げていきます。

2017年6月23日

No.499 15年後、20年後の社会に向けて

先月のことですが、ひうたさんによるウクレレレッスンをあさりこども園で行いました。計18名の参加者と楽しい時間を共有することができたこのウクレレレッスンを、7月にも実施することが決まりました。後日きちんとお知らせをさせてもらいますが、7月27日の午前の部はあさりこども園で、夕方の部は姉妹園のさくらこども園の隣にある「花の村温泉」ホールで行う予定です。

そのレッスンの打ち合わせをひうたさんとしている際、スマートフォンやPCの進化のすさまじさについての話になりました。ひうたさんは作曲もされているのですが、曲が頭に浮かんだらメロディーを適当に口ずさんだものをスマートフォンで録音し、それを知り合いにメールで送るとすぐに曲に仕上げて送り返してくれるそうです。特別な機材もいらないし、やり取りもほとんど時間がかかりません。そしてPCが1台あれば作曲や音作りをしてCDを作り上げることまでできるとのことです。音楽スタジオを借りてたくさんの機材を使って…ということも必要ないそうです。以前は必要だったものや仕事がどんどん必要なくなっている時代になったんですねと、2人で話していました。

「あと10年で消える職業」という話が以前話題になっていました。「コンピューターの技術革新がすさまじい勢いで進む中で、これまで人間にしかできないと思われていた仕事がロボットなどの機械に代わられようとしています。」という説明の後、消える職業としてレストランの案内係、レジ係、スポーツの審判、ホテルの受付係、データ入力作業員、測定を行う作業員、メガネやコンタクトレンズの技術者、訪問販売員などが紹介されていました。本当に消えていくんだろうか?と疑う気持ちもありますが、でもスマートフォンの進化など身の周りで起きている変化の速さや大きさから考えると何が起きてもおかしくはないのかも、とは思っています。

今こども園にいる子どもたち、これから生まれてくる子どもたちが社会に出て活躍するのは15年後、20年後です。今とは違う社会のあり方の中でどう力を発揮していくのかが、間違いなくこれからの課題となっていきます。たくさんの知識を詰め込むことではコンピューターには絶対にかないません。今後必要となってくるのは、持っている知識を組み合わせて新しいことを生み出す創造性や、相手の気持ちを読み取りながら協働していく対人知性であり、その力をつけていくためには子ども同士の関わりが欠かせません。その関わりを遊びや生活の中で複雑に生み出していくことがこども園や保育園などの施設の大事な役割で、それがあさりこども園の保育の軸になっています。



2017年6月16日

No.498 おもてなしカフェ?

子どもたちが海へ遊びに行く際のルートを地域の方が整備してくれている話を以前書きました。保護者のみなさんがその現場を見る機会はなかなかないと思うので、写真だけでもと思い昨日の朝撮ってきました(その時に途中の川でうっかり足を滑らせ転倒し、ズボンがずぶ濡れになってしまったことは内緒の話です)。







週に一度のもくもくの日の活動で、海に行く時期は限られていて、しかも海へ行くかどうかは子どもたちに選択に委ねているのでどうなるかわからない、そんな不確定なことのためにこうして動いてくださる方がいるのは、本当にありがたいです。

「この先で蜂がたくさん飛んでいたから気をつけた方がいいよ」「○○の実がなっていたから取りに行ってみたら」といった情報を教えていただくことも増えました。子どもたちがこの地で楽しく遊べるように、この地の楽しさを十分に知ることができるようにと考えてくれているんだと思います。地域の中に子どもの活動場所が少なくなっている、子どもの存在を受け入れてもらいにくくなっている、そんなニュースを耳にすることも少なくない今、あさりこども園の周りでこのような動きが起きているのはとてもうれしいことです。地域の方の活動を保護者のみなさんにも知ってもらうために、定期的に情報を発信していく仕組みを作ることは、私たちのこれからの課題です。

月曜日には保護者会の役員会が行われました。以前にも紹介しましたが、お世話になっている地域の方にお礼をする場を作りたいと会長のHさんが考えてくれていて、その活動の提案もありました。その案の1つは、飲み物と、こども園の畑で採れたサツマイモで作ったお菓子などを用意してカフェを開き、そこに地域の方を招待するというものです。カフェだけで言えばあちこちで行われていることですが、こども園の子どもたちの活動に協力してくださっている地域の方々に対して感謝の気持ちを伝えるために、保護者が中心となって活動が起こるというのはあまり聞いたことがありません。あさりこども園の保護者はすごいなあと思いながら、その話を聞いていました。この活動にはもちろんこども園も加わらせてもらいます。役員以外の方にも加わってもらい、みんなで楽しみながら地域の方をおもてなしできるといいですね。役員会後の立ち話で「地域の人とのつながりは絶対に大事にしていきたい」と役員のYさんが私に話してくれました。この思いをみなさんと共有できていることをうれしく思っています。

2017年6月15日

2017年6月

【新しい事業】
7月1日から新しい事業が始まります。江津東、渡津、高角の3ヶ所の放課後児童クラブの運営です。既に江津市によって運営が行われている事業を年度途中から引き継ぐ形なので、急に花の村の特徴を出していくことは考えていません。支援員のみなさんとの対話を重ねながら、少しずつ花の村の放課後児童クラブの形を探り、少しずつ作っていくことになります。

【理念】
最終決定ではありませんが、今現在の考えをお知らせしておきます。花の村の事業の種類は介護と保育だけなので、放課後児童クラブは「育成」という新たな事業とすることになりました。そして介護事業と保育事業と同じように、この育成事業にも理念が必要です。パンフレットを作ってくれているデザイン会社の方から「花の村の『花』に置き換えて考えてみてはどうか」とヒントをいただき、花の生長になぞらえて考えてみました。保育の「人生の基礎づくり」はしっかりとした根を張り巡らすための土壌作りの段階、介護の「人生を全うする」は花を咲かせて次の世代に種を残していく段階。であれば、育成は力強く芽吹いていく時期と捉えることができるので、「人生の一歩を踏み出すお手伝い」が現在のところは理念の有力な案となっています。

【ひとり・まなび・なかま】
理念を具体化するために、「ひとり」を大切にする育成、「まなび」を楽しむ力の育成、「なかま」と共に成長する育成の3つの言葉も加わります。「ひとり」を大切にすることは、介護でも保育でも変わらない大事な思いです。「まなび」を楽しむについては、乳幼児期に育んだ学びへの興味・関心を更に高め、自ら楽しむ力を獲得していくきっかけ作りをしたいという思いです。放課後児童クラブは学習の場という位置づけではありませんが、学校での学びを下支えする存在でありたいと考えています。そして最後の「なかま」と共にですが、学年を超えた友達と関わり合う中で互いに刺激しあえる場が放課後児童クラブで、その特徴をしっかりと生かした活動を大事にしていきます。

【介護・保育・育成の交流】
これは主に江津東の放課後児童クラブとのことになりますが、ここに通う児童と介護・保育との様々な交流が考えられます。こども園の園児との交流、デイサービスの利用者との交流など、幅広い世代の交流を計画・実施しやすいのは花の村の大きな強みです。もちろん渡津、高角の放課後児童クラブでもこうした交流は考えていきますが、まずは近いところから。周囲の関心の高まりは児童の育ちに大きく影響してきます。こんなことはどう?これもおもしろそう!とたくさんの案が出てくるのを期待しています。

2017年6月9日

No.497 ビックリしたニュースの話から

今回はあるニュースの話から。ある国の大統領が、各国で協力して地球温暖化対策をとっていく協定から離脱すると表明したというニュースがありました。地球温暖化については「実は温暖化は起こっていない」という意見もあるややこしい話のようなので、これ以上は触れませんが、もしもそうだとしても私はとてもビックリしました。これを聞いて「主体性は大事だからA国の意思は尊重すべきだ」と考える人はまあいないんじゃないでしょうか。この話は例えば、「地域のゴミは自分たちで管理すべきだから、地域をキレイに保つために自治会で掃除をしよう」とゴミ拾いをしているところにやってきて、「そんな活動に協力していたら自分が大変になるだけ。オレには関係ない。」とゴミをばらまくような行為と言ってもいいと思います。いろんな事情はあるんでしょうが、この宣言はちょっと……です。

あさりこども園の保育について、「子どもの選択を尊重しているってことは、やりたいようにやることを何でも認めるってこと?」と聞かれることがたまにあります。子どもの主体的な活動を大事にしている、子どもの選択を尊重しているといった考えで保育を行っているので、そのように受け取られることがあるのかもしれません。こういう質問が出るたびに、私たちの説明が十分ではないことを反省しています。あさりこども園としては、もちろんやりたいことを何でも認めているわけではありません。最初に書いたニュースの話でいえば、そうした行為を「主体性は大事」「自分で選択したことだから尊重すべき」とは考えません。

自分だけで生きているのであれば、自分だけで全ての結果を引き受けて後処理も全てすることができるのであれば、何でもやりたいようにやるのも“あり”かもしれません。でも私たちは多くの他者と共に生活しています。その他者と同じ環境を共有して生きています。私たちの行動の与える影響は膨大で、その影響の全てを自分だけで責任を取ることはできません。そんなことは当たり前のことで、だからこそ他者と折り合いをつけながら行動を決める力をつけていく必要があると考えています。友達に迷惑をかけてしまわないか、ケガをさせてしまわないか、そんなことを考えた上で自分の行動を決められるようになっていくために、乳幼児期から友達と関わりながら、小さなぶつかり合いを通して相手の気持ちを察するといった体験を重ねることが大事です。体験しながら学んでいる真っ最中なので失敗することももちろんあるけど、他者と折り合いをつけた決定ができるようになってもらうために、友達のことに配慮した行動の選択の大切さを伝えながら「子どもの選択を尊重する」保育を行っているわけです。

2017年6月2日

No.496 プレおたのしみ会のことと嬉しい報告

水曜日にはプレおたのしみ会が行われました。既にお知らせしていることですが、おたのしみ会というのは毎年11月末に行っていた発表会のことで、今年度からこの名前に変えることしました。子どもたちの「表現」の発達を見てもらうのは変わりません。保育における表現領域のねらいには「感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。」「生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。」とあり、“楽しむ”ことをもっと明確にしようという思いからの変更です。名前には意外と大きな力があると考えていて、“発表会”と“おたのしみ会”では、子どもたちだけでなく保育者も、そして見てもらう保護者のみなさんも受け止め方は変わると思っています。その変化は今後少しずつ見えてくるはずです。



今回のプレおたのしみ会ですが、こうした活動を今年度は11月のおたのしみ会も含めて4回実施する計画です。子どもたちが日々体験してきたことを表現する、その表現を楽しむことは、日常的に行っていることです。それを年1回だけではなく4回見てもらうことにすると成長を感じてもらいやすいんじゃないか、子どもたちの楽しみ方も変わってくるんじゃないか、そんなことをねらっています。プレおたのしみ会では、楽しんで表現している普段の様子をそのまま見せてくれました。次のプレおたのしみ会は8月の予定で、この時はまた違った楽しさを見せてくれると思います。都合のつく方は是非見に来てください。





話は変わりますが、昨日行われた職員ミーティングの中でO保育士からある提案がありました。その内容は、もくもくの日に行くと楽しめそうな新たなルートを発見した!というものです。話を聞いていると、そのルートの関係者から園児が遊びに来てもいいよと許可ももらえたとのこと。今年のテーマ「地域」をもっと知ろうと動いてくれているO保育士の行動も嬉しいですし、地域の方が園児のことを受け入れてくださっていることも嬉しいです。またI主任からは、同じくもくもくの日で海に行く際に通っているルートについての報告が。そのルートの近くの方が「子どもたちが歩きやすいように」と道を整備し、新たに手すりも設置してくれる予定だそうです。この報告にもびっくりし、うれしい気持ちになりました。地域のたくさんの方に支えられることで、子どもたちが体験できることは間違いなく増えてきています。こども園の枠を飛び越えて地域の中で保育が行われているこの形を大事にしていきたいです。