2009年9月25日

No.112 季節感も大切にします

運動会が終わりました。保護者の皆さんにも競技に参加していただき、子どもたちはとても楽しい体験ができたと思います。ありがとうございました。運動会が終わったあと、ある役員さんから「テーマがあることはよかったと思う」という感想をいただきました。しつこいようですが、今年度あさり保育所では「自然」をテーマとしています。こうしたテーマをもとに1年から数年通して行う保育を、プロジェクト保育といいます。子どもたちの発達を、テーマによる興味や関心の切り口から促していこうというものであり、行事もその中の取り組みの1つという位置づけになります。

行事は日常の保育に厚みを持たせてくれますし、リズムも生まれます。毎日同じことの繰り返しで1年間過ごすのではなく、行事を起点にして変化をつけることは大切です。何よりも子どもたちがとても喜びます。行事を日常から作り上げ、さらに日常に生かすことのできるような、そんな行事のあり方をあさり保育所では大切にしていきたいと考えています。

運動会のような行事の他にも、今月末に行う「お月見会」のように、その季節ならではの行事もあります。厚生労働省より出されている、保育所で行う保育内容について定めた「保育所保育指針」の中には、『季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く』環境を用意することと書かれた部分があります。昨日は子どもたちが食べる栗の皮むきをテラスでしました。食事のときには梨が、そしておやつにはおはぎが登場しました。園内のあちこちには栗が飾ってあり、額に飾ってある手ぬぐいは月とうさぎの柄に変わりました。そして今日は焼いたサンマと栗ごはん食べました(頭と内臓を取り除いたサンマが届くという手違いがあったため、後日もう一度サンマを焼くことになりました)。

これらのことは、その季節ならではの植物・食べ物・体験などを子どもたちの環境として用意し、季節による自然や生活の変化に気づくことをねらいとしています。このようなこと一つ一つは子どもたちの育ちにとって大切なことですし、自然を大切にする気持ちを持つためには、季節の移ろいのような自然の不思議さに気づくことが大切です。これからいろんな季節の行事や活動が続きますが、その中で子どもたちがどんなことを感じ、どんなことを体験しているか、子どもたちの気づきを深めるためにも是非いろいろ聞いてみてください。

2009年9月18日

No.111 食事のことと運動会のこと

今回は「食事のこと」と「運動会のこと」を書きます。

まずは食事について。
今月の献立表にも書かせてもらっていますが、今月から2週間サイクルメニューに変更しました。月に2度同じメニューが出るようになっています。その目的の1つに「味付けなどの調理方法の改善などを試みて工夫すること」があります。子どもたちの食べ具合を観察し、その結果を受けて次回の味付けや盛り付け、そして調理方法の改善などを試みて工夫していくためです。食事に関してのこだわりは他にもあります。噛むことが自然と増え、使う油を減らすこともできる「ごはんと味噌汁」を中心としたメニューもそうです。「子どもたちが自分の食べる適量をきちんと理解すること」を目的としたバイキング方式もそうです。保育所の食事は、1日3回の食事の中の“たった1回”ではありますが、子どもたちが食事を楽しめることを大切にし、思いを深めてまだまだこだわっていきます。

次に運動会について。
今日までの運動会の取り組みの中で、子どもたちの成長した姿をたくさん見せてもらいました。例えば、保護者と一緒に行う競技の“保護者役”を積極的に行ってくれる姿。みんなで協力して取り組むことを楽しんでいる表情。取り組みの中で友達の新たな一面を発見し、それを素直に評価できる心。他にもたくさんありますが、何よりみんなが意欲的に取り組んでいる姿は、見ていて本当に嬉しくなります。運動会の目的の1つが「保育を厚くする」ですが、運動会の取り組みの経験が、運動会後の保育も子ども同士の関係も、今まで以上に「厚く」してくれると思います。

いよいよ明日は運動会。園便りでもお伝えしているように、前半は「子どもの運動能力の発達を保護者に伝える」ことを目的とし、後半は「親子のふれあい」を楽しんでもらうことを目的として構成しています。そんな視点で子どもたちの姿を見て、そして一緒に楽しんでください。
(プログラムには、6月の保育参加で作った“たたき染め”の布を使っています。今年度のテーマである「自然」への意識を高める取り組みの1つです。)

2009年9月11日

No.110 “なぜ?なぜ?”と問う時間

先週の金曜日、ぞう組さんと一緒に科学実験をしました。その内容は、水の入ったコップに油を入れ、そこに青いインクを垂らすとどうなるか?というものです。どのようになるか少しだけ説明すると、水の上に油の層ができ、そこに垂らされたインクは水と油の境目でしばらく留まり、ある瞬間に油の膜から…といった感じです。

この実験では子どもたちにいろんなことを問いかけました。「水の中に油を入れるとどうなる思う?」と聞くと「混ざって黄色くなる!」とか「黒くなる!」といった意見、「青いインクを入れるとどうなると思う?」と聞くと「青くなる!」「白くなる!」意見など、子どもたちのいろんな意見が飛び交いました。「水と油が混ざると黒くなる」という意見や「青いインクが混ざると白くなる」という意見は全く予想していないものでしたが、もちろんそんな意見も否定はしません。いろいろ考えを聞いたうえで「さあ、どうなるかな?」と実験を進め、真剣にコップを眺めていた子どもたちは、想像していなかったインクの不思議な動きに大歓声をあげていました。

この科学実験の目的は、水より軽い油が上に層を作って…といった理屈が分かることではありません。科学という言葉はなんだか高尚な感じがして、ついつい難しく考えてしまいますが、あくまでも『科学遊び』としてシンプルに捉えています。科学という英語は「science」で、その語はラテン語の「scire」を語源としていますが、それは「知ること」という意味です。子どもが本来持っている、いろいろなものを知りたがる気持ち=好奇心を、更に刺激することが科学といってもいいかもしれません。

「なんだかおもしろそう」と感じること、「どうなるんだろう」と考えること、「目的意識を持って」見たり関わったりすること、そして結果がどうなったかを「言葉で表現する」こと。そんなことを大切にしながら、この『科学遊び』を定期的に行っていく予定です。様々な出来事に対して「なぜ?なぜ?」と問い続けながら日々成長していく子どもたちに、少しだけ変化をつけた、一味違う「なぜ?」をぶつけていきたいと思っています。

2009年9月4日

No.109 ゴミについて考える

今月の19日には運動会が行われます。以前からお伝えしているように、今年度の保育のテーマは「自然」なので、運動会の取り組みのテーマも「自然」です。全ての種目とはいきませんが、自然を大きく捉え「環境」について関心をもてるよう取り組みを計画しています。その1つにきりん・くま組の親子競技の『ゴミの分別ゲーム』があります。これはゴミについてみんなで考えてみようというものですが、何故ゴミのことや環境のことを考えるのかというと、人が生きていくことに関係があるからです。

動物学者リチャード・ドーキンス氏の『利己的な遺伝子』という本には、「どの生き物の遺伝子も、自分の種を残しつづけることを使命とする利己的なものであるが、そのためには他の遺伝子を排除するのではなく、共生することを選ばなければ自分自身も滅んでしまう」という意味のことが書かれています。具体的に言えば、私たち人間が子孫を残すことや豊かな生活を維持するために資源を自分勝手に使い続けたりすると、結局は自分たちも生き続けることが難しい環境になってしまうということです。人間を取り巻く全てのものと共生していくことを選ばなければ、生きていくことが困難になります。利己的・自己中心的であればあるほど、他のものに対してやさしくなければいけません。先週のひとりごとで「本当の意味で自己中心的であればあるほど、他人との関係を上手く保つことが必要になってくる」と書きましたが、同じような意味です。

ゴミについて考えることは環境について考えることであり、私たち自身の生活のあり方を考えることでもあり、それが生きることにもつながっていくのだと思います。『ゴミの分別ゲーム』を通して、子どもと一緒にゴミや環境について楽しみながら向き合うことができればと思っています。入り口は、子どもが興味を持てるものであればなんでもいいと思います。普段からよく手にするものについているリサイクルのための識別マークについても、親子で話をしてみるのもいいかもしれませんね。


スチール缶製品




アルミ缶製品




プラスチック製容器包装



ペットボトル




紙製容器包装