2012年10月25日

No.267 タイムアウトのような工夫も必要

子どもとの接し方って簡単なことじゃないですよね。こんな時はこの対応が唯一の正解!なんてものはなく、その場その場で考え、そして向き合っていくしかありません。その難しさの代表的なものが、子どもの行為に対して注意をしなければいけないときではないでしょうか。アメリカには、親が子どもに対して罰する時の方法でおもしろいものがあるので、ここで紹介します。

それは「タイムアウト」というものです。スポ-ツなどでは休憩時間を取ったりゲ-ムを中断する時に、「タイムアウト」といいます。それと同じで、子どもがかんしゃくを起こしたり悪さをやめない時などに、親が「タイムアウト!」と言って、子どものやっていることをまずはそこで中断させます。そして部屋の隅やイスに一定時間座らせます。その時間は年齢によって異なりますが、だいたい年齢×1分くらいのようで、2才では2分くらい、4~5才からは5分くらいのようです。また、その時間を子どもが把握できるように、砂時計とかベルのなるタイマ-をかけて、子どもの横に置くといいそうです。

ただじっと何もせずに座らせられるということは、子どもにとって非常に苦痛なことです。そして何より、この数分の間に頭も冷やされるわけです。おれだけでなく同時に親も高ぶった感情を静めることができ、一石二鳥です。アメリカでは、公園などで悪さをした子が隅っこに座らせられている光景はよくあるそうです。そして大事なことは、タイムアウトが終わった後に必ず「何が悪かったのか」を子どもに静かに言って聞かせることです。

あさり保育園にある「なかよしテーブル」は、子どもたちがケンカをしてしまったときに、そのテーブルへ行って自分の意見を相手に伝え、同じくらい相手の意見を聞いて仲直りをする場所です。そこでは大人がほとんど関わることなく、子どもたちだけで仲直りをすることができているのですが、そのテーブルへ移動する間に興奮していた子どもたちの気持ちが静まり、そのためにカッとなって手を出したりすることなく相手と話ができるということがあるようです。何が良くて何が悪いのかを子どもに伝えることは大切ですが、そのためにもこうした工夫は必要なんだと思います。親も感情をもった人間です。子どもときちんと向き合い善悪をきちんと伝えるためにも、タイムアウトの様な工夫をしながら少しでもいい形で向き合うことができるといいですね。

2012年10月21日

熊本でのこと

18日と19日、
熊本で行われた研修会に参加してきました。
しかも今回は熊本の保育園と幼稚園を見学させてもらえる
そんな豪華なスケジュールでもありました。

まずは城山幼稚園。
細かいことを書き始めると止まらなくなってしまうので
ここでは1つだけ。
保育を変えるに当たっていろんな議論がなされたと聞きました。
3,4,5歳児を3つのグループに分けたとき、
それぞれの部屋の環境は同じにするのか、
それとも少しずつ違ったものにするのか。

こうやって書くと別に何でもないようなことに思えますが、
実際はほんとに大変だっただろうと思います。
私たちが同じ内容を話し合ったとしても
やはりかなり悩み、かなり苦労すると思います。
結局は少しずつ違う環境にして
グループを超えた子どもたちの交流を生み出したい、
そんな風に決まったそうです。

話し合いをするときに大事なのは
「何を軸とするか」だと思います。
城山幼稚園の軸は「子ども同士の関わり」と聞きました。
他にも悩みはたくさんあるんでしょうが、
悩みにぶつかるたびにその軸に照らして考えるということを
いつも丁寧に、そしてしつこいくらいに 話し合いをされているんでしょう。
そんな姿勢はとても勉強になりました。



そして城山保育園。
ここは園舎が新しくなったばかりで
まだ変化の真っ最中ということが感じられる園でした。
でも至る所に園長先生をはじめ、スタッフの皆さんの思いがしっかりと感じられ、
そこにいるだけでうれしくなってくる、そんな環境でした。

ここも1つだけ。
調理をしているところを子どもたちに見せたい、
そんな思いから調理室が思いっきりオープンになっていました。
こうやって環境をつくることは簡単なことかもしれませんが、
そこで仕事をする方はそんなに単純ではないと思います。

調理室にも入らせてもらいましたが、
すっごく外から見られています。
最初は見られることに少し抵抗もあったと聞きましたが、
おそらくそこから「子どもたちに何を見せるか」という
発想の転換をされていったんだろうと思います。

「外から見ることができる」環境は
中の人が「何を見せるか」を考えることで初めて生きてくると思います。
それは結構大変なことと思いますが、
それを何でもないことのように、しかも楽しそうにされている様子を見て
自分たちもまだまだできることはいっぱいあると感じました。



そしてそんな両園に共通していたことは
子どもたちが自分で考えてしっかりと活動していたことです。
前向きで、柔軟な発想をされる保育者の方々がおられる園です。
当たり前のことですよね。
子どもたちもその環境でしっかりと力をつけているはずです。
やはりしっかりとした取り組みをされている園を見学させてもらうことは
すごく刺激を受けますし勉強になります。

初めて訪れた熊本でしたが、すごく有意義な2日間になりました。

2012年10月18日

No.266 将棋がしたい!

月曜日の昼のことです。ぞう組のKくんが「ねえ園長先生、ぼく将棋がしたいから将棋の道具を用意して!」と頼みに来ました。こういう申し出は大歓迎なんですよね。子どもたちが何かをしたいと考え、そしてその気持ちを伝えて交渉しようとすることは、今後も必要な力です。もちろん全ての申し出を実現することはできないので、きちんと理由を伝えて断ることもあります。でも今回のは違います。とってもうれしいこの申し出を喜んで受けることにしました。

ただせっかくなので、Kくんにいくつかお願いをすることにしました。
①将棋をしたい人が1人だけでは何もできないので、みんなで将棋をやらないかと提案すること。
②遊び方を知らない人がほとんどだと思うから、Kくんがみんなに遊び方を教えてあげること。
そんなことを話してその日は終わりました。

次の日の朝のお集まりの時間、Kくんは「先生、ぼく話したいことがある!」と言ってみんなに将棋のことを話してくれました。前の日に家でどうすれば伝わるかをずっと考えていたようで、楽しさやルールについて堂々と説明してくれたそうです。その時の一生懸命説明する姿から「将棋がしたい。将棋って楽しいよ。」という思いが伝わったんでしょう、みんなも将棋をやってみたいということになり、改めて私のところに将棋セットが欲しいとお願いに来たので、用意することを約束しました。

ここまでのやり取りだけで十分だとも思ったのですが、今回のようなことが出来たのならもっといろんなことを任せてみようと思い、将棋盤をどのゾーンに置くか?片付けのルールなどはどうするのか?についてもKくんに考えてもらうことにし、みんなにそのことを伝えてもらうことにしました。こうやってみんなの中に登場する将棋は、おそらく楽しい盛り上がりをみせてくれることでしょう。将棋のルールがどうやって子どもたちに浸透していくのか、駒がなくならないように誰がどうやって目を光らせるのかといったことにも興味があります。子どもたちの提案がどんどん出てきて、それをみんなで話し合い、実現につなげていくといったことが増えてくると、遊びの質はまた変わってくるんだろうと思います。また楽しみが増えました。



2012年10月16日

ととろの日

ととろの日のイベントが終わりました。
1年に一度、10月16日にしか会えないので、
子どもたちは大喜びです。
私たち大人も毎年新鮮な気持ちで参加できます。

ととろに会うためにはドングリを集めなければいけません。



そんなこともあって、
この時期はとにかく自然の中へ出かけていきます。
そうやってドングリ以外の豊かな自然にも触れるワケです。

また、望めばたいていのものがすぐに手に入る今の時代、
先のイベントを待ちわびるという体験も大切だと思います。
指折り数えて楽しみに待つという体験は、
私たち大人も大事にしないといけないことかもしれません。
そんなことを考えながら、ととろの後ろ姿を眺めていました。



ととろが森へ帰った後、女の子が「ととろにあげたい」と
こんなものを作って持ってきてくれました。
子どもの気持ちは真っ直ぐで気持ちがいいですね。

2012年10月11日

2005年8月のこと

2005年8月、
島根県保育協議会の研修会が出雲で開かれました。
研修委員として活動していた私は参加料等の確認作業を終え、
会場に入って既に中盤に差し掛かっていた講師の話を聞きました。

実際に聞いたのは10分くらいのことだったと思います。
今考えてもなぜそんな風になったのかはわかりませんが、
その10分くらいの話の内容に衝撃を受けて興奮してしまい
そのまま冷静に話を聞き続けることができず
会場を飛び出してしまいました。

保育に対して漠然とした疑問を感じていて、
でもその疑問をどのように考えればいいのかが全く分からず
ずーっと悩んでいたときだったというのが
一番の理由だったと思います。
とにかくその時からその講師のことを調べ、
その方の書かれた本を見つけては急いで取り寄せ
何度も読んで内容を理解しようとしたことを
今でも覚えています。

その方は単に保育の方法を語っておられるだけではなく
生き方を語っておられるんだと私は理解しました。
「よし、どれだけ時間がかかってもいいから
この方から保育を学ばせてもらおう。
そしてあさり保育園の保育をもっといいものにしていこう」
そう決心してあれこれと動きだし、
そして今のあさり保育園の形に至る、というわけです。

今日は出雲で研修会に参加してきました。
2005年8月の研修会と同じ会場、そして講師も一緒です。
その時のことを鮮明に思い出したので
せっかくだからと当時と同じ場所に座って
講演を聞かせてもらいました。

出会いってほんとに不思議です。
2005年8月の出会いから
私の興味関心も活動もガラッと変わりました。
変化の大きい小さいはあるでしょうが、
いろんな人との出会いから確実に影響を受けてるんでしょうね。
これからもいろんな出会いがあると思います。
その一つ一つを丁寧に受け入れていくことができればいいなあ。


No.265 ロゴができました

あさり保育園のロゴが完成したので、ここでちょっと説明をしておきます。「社会福祉法人花の村 あさり保育園」ということで、法人と保育園で2種類のロゴがあります。まず法人のロゴですが、江津市の花「ツツジ」を元にデザインされています。オレンジが介護施設「合歓の郷」、ピンクは姉妹園の「さくら保育園」、緑が「あさり保育園」を示しています。そしてその緑の花から花びら1枚を取り出したものがあさり保育園のロゴになっています。






花びら1枚を取り出しているのは、「子どもたち一人ひとりを大切にした保育」を行っていくという私たちの思いを込めていて、中に描かれているクローバーは子どもたちの成長を願ってのものです。「子どもたち一人ひとりがいろんな人との関わりの中で、自分を大切にしながら成長してほしい」そんな思いを込めたロゴです。できたばかりなので、いろんなところに使用していくのはこれからになりますが、保護者のみなさんにはいち早くこのロゴに親しんでもらいたいと思ってのお知らせでした。このロゴが印刷された名刺があるので、ほしい方はご自由に持って帰ってください。

話は変わって、25年度の入園手続きの時期が近づいてきました。11月の申し込み開始に先立って、今月の17日と26日に入園説明会を行います。この会は来年度新しく入園を考えておられる方が主な対象なので、この文書を配布しているみなさんには直接は関係ないのですが、こんなこともやっているんだという位にでも把握しておいてもらえればと思います。今年度は、様々な発達段階の子どもと関わることが幼児だけでなく乳児にとっても大事だということ、保育園での生活や体験が子どもの成長のためにも大事だということ、そんなことについてお話できればなあと考えています。

保育園の機能は「母親の代わり」「保護者の代替」というイメージが今でも強く残っていると感じています。子どもが小さいうちは母親が育てるべき、という考えもそうです。母親の存在は子どもにとって当然重要ですが、他の子どもとの関わりも同じように重要です。そのためにも子ども集団のある保育園での生活は大事な場なんだということを、何とか広く伝えたいんですよね。

2012年10月5日

No.264 運動会はいかがでしたか?

運動会が終わりました。空の様子を心配しながら進めていくことにはなりましたが、子どもの運動面の発達を伝えることや親子の触れあいを楽しむというテーマに沿った取り組みは無事やり遂げることができたと思っています。子どもたちが自分の出来るようになったことを表現し、それを見ている保護者のみなさんは笑顔になる。これってとても自然なことですよね。そんなわけで子どもたちだけではなく、保護者のみなさんの笑顔もたくさん撮影させてもらい、掲示させてもらいました。笑顔がたくさんある場になったというだけでなく、子どもたちの姿に、そして子どもたちの関心のある対象に対して、みんなの気持ちが向いていた場だったということをうれしく思っています。

子どもは「自分を見てほしい!」という思いはもちろんですが、「自分の興味のあるものを同じように興味を持って見てほしい!」という欲求も強く持っています。どんな時でも子どもと近い距離で接していなければ情緒が安定しないなんてことはありません。例えば子どもが親から離れておもちゃで遊んでいたりするとき、ふと親の方を振り返ったり、「ねえ、見て!」とアピールしたりします。そんな場面はよくありますよね。そんな時に無関心でいるのではなく、そちらを見ることで「あなたが楽しく遊んでいるのを私も興味を持って見てるよ。」というメッセージを伝えることができれば、子どもはまた安心して遊びに没頭していきます。このメッセージを子どもが感じることができれば情緒は安定するということが分かってきています。一緒に遊ぶことができなくても、「見てほしい」という思いに応えてきちんと見てあげることで情緒は安定し、そのことで子どもはますます活動範囲を広げていくというわけです。

運動会で様々な運動に取り組んでいた子どもたちに対して、そしてその活動に対して強く関心を持って見てもらったあの時間は、まさに子どもたちにとって安心して自分の力を発揮できる場であったと思います。これからの子どもたちの活動に対してもみんなで関心を向けていくことで、もっともっと活動は楽しいものになり、もっともっと幅が広がっていくと思います。今後どんな活動が行われていくか、どんな意図で行われるのか、そんな情報をこれからもお伝えしていきますので、みなさんも楽しみにしていてください。

10月になってすっかり秋らしくなりました。自然がどんどん変化するので楽しい季節です。これからもおもしろい活動がどんどん登場してきますよ。