2019年2月24日

達成感を味わえない苦しみ

最近読み始めた漫画『ミステリと言う勿れ』がおもしろいです。その漫画の3巻ではこんな話がありました。
父親たちを集めてある実験をした。
簡単な計算問題か何かのペーパーを渡して「1時間以内に解け」と。
「そんなの簡単じゃん」とやり始めたところに、
数分おきに主催者が電話をかけたり話しかけたりして邪魔をする。
父親たちはだんだんイライラしてくる。
結局誰も時間内に全問を解くことができずに父親たちは怒り出した。
「こんなに邪魔されたら何もできない」
そこで主催者が言ったそうです。
「これが子育てをする母親たちの毎日なんです」
達成感を味わえないその苦しみ。
父親たちは黙ったそうです。

家にいて家事と子育てをすることが本当に簡単で楽なことだったら、
もっと男性がやりたがると思う。
でも実際はそうじゃない。
ということは、男性にとってしたくない、できないことなんです。
なのになんで女性にとって楽なことだと思うんだろう。


作者の田村由美さんを尊敬します。こういう視点がもっと出てこないといけないと思うし、共感する人が増えてほしいと思います。

2019年2月20日

2月19日(火) 会議

2月19日(火) 市の新庁舎整備事業に関する意見交換会。

ユニバーサルデザインについての意見を聞くことが主な目的であり、専門家の方がたくさんおられ、その方々の視点に「なるほど!」と思わされることの多い時間でした。その中で出てきた渋谷区役所新庁舎の案内板や階段の手すりに使われている点字の話は特におもしろかったです。

目で指で「読める」点字=若手デザイナー発案、庁舎に採用

発案者の高橋鴻介さんは、読める点字を配置することによって「見えない人と見える人の世界を同じツールでつなげたい」とのこと。見える人と見えない人をつなぐという発想はとても興味深いし、意識を変えれば今までつながっていなかった人たちをつないでいくことができる可能性を感じました。モノにも意図を込めることができ、そのモノを通して関係性を変えていくことができる。環境構成の際のヒントにもなります。

2月18日(月) 会議

2月18日(月) しまね災害福祉広域支援ネットワーク会議。

2018年7月の豪雨災害時に岡山DWAT(Disaster Welfare Assistance Team = 災害派遣福祉チーム)がどのような活動をしたか、その報告を聞かせてもらいました。具体的な活動はもちろん勉強になることが多かったけど、相談コーナーを設けた際に「みんなピリピリしてるけど、ここ(相談コーナー)の人たちはニコニコ対応してくれるからホッとする」と被災された方から言われたという話が特に印象に残りました。

大変な状況の中でニコニコしているのは覚悟のいることだと思っているんですが、その存在に助けられる人がいるのはいろんな災害時の話の中でもよく聞かれることです。空気を読みすぎず、自分の考えに素直に従って行動し、そのことによって全体に貢献しようとする、そんな行動が周りの人にも当たり前のこととして受け入れられるように、こういった事例が共有され浸透していくといいですよね。

2019年2月15日

2019年2月

【現場で考える】
『杜に寄り未知プロジェクト(合歓の杜に気軽に寄ってもらえるように、分からないことを知っていき知識を得ていけるようにという意味)』が動いています。合歓の杜を利用した介護体験や相談事業の実施を目指し、介護部門だけでなく保育部門の職員も参加して、専門的な意見と一般的な意見をバランスよく混ぜながら話し合いを進めてくれているようです。1月のプロジェクトの様子を少しだけ見せてもらったんですが、この時は実際に合歓の杜を使い、玄関の高さや通路の広さはどのような状態がいいのか、活発に話し合われていました。どんなことにも言えますが、実際に現場を見たり使ってみたりして初めて分かることがあります。分かっていたことでも、さらに深く分かることもあります。プロジェクトに限らず日々の話し合いにおいても、実際の現場で考える、実際に使ってみて考えることを大事にしてもらいたいと思います。

【全体の底上げ】
デイサービスセンター合歓の郷のJさんが、江津市の介護部会で講師を依頼されているようです。Jさんは、制度や地域の変化に対して常に柔軟に対応することが求められるデイサービス事業において、少しでもいいサービスができないか、安定した事業にしていくためのアイデアはないか探してくれています。そのことを市の担当者に評価していただき、他の事業所に対して今の取り組みを話してもらえないかと頼まれているようです。合歓の郷の事業改善の取り組みが他の事業所の参考になるのであれば、こんなにいいことはありません。いい取り組みをしていて、でもそれを自分たちだけのモノにして閉じてしまうことは簡単です。もちろん全てを明かせないこともありますが、基本姿勢としてはオープンであることの方がメリットは大きいと考えています。情報は閉じているところには集まってきません。自分たちの情報を外に出すオープン性が、より多くの情報やアイデアを集めることにつながります。私たちの行っている仕事は、まだまだ業界(あまり好きな言葉ではありませんが)全体の底上げが求められています。私たちの事業を工夫や試行錯誤によってもっと良いものにしていき、その情報を積極的にオープンにして他の事業所でも参考にしてもらい、そのことによって業界全体が変化し新たな気づきが得られるようになる、そんなサイクルにしていかなければいけません。Jさんの講師活動によって市内でどんな動きが生まれるか、楽しみにしています。

【種まきツール】
広報誌ハナハナ新聞を3月に発行するための作業が進められています。前号から配布対象を広げ、利用者やその関係者だけでなく、地域の多くの方にも届くようにしています。ハナハナ新聞は、花の村をより知ってもらうため、関わってくれる人を増やすための種まきのツールです。上手に活用して種まきを継続していきましょう。

2019年2月5日

カレーも保育も

カレーのスペシャリスト、AIR SPICE代表の水野仁輔さんが、カレーの作り方についてこんなことを書いていました。

スパイスをきっちり計量しましょう。量るのは大事。「お菓子じゃないんだから、そんなに神経質にならなくても……」と思う人がいるかもしれません。でも、レシピ通りに計量するのには理由があります。

レシピは計算しつくされた量だから、ではありません。自分の中にものさしを持ってもらいたいからです。キッチリ計量をして何度か作ると、たとえば「クミンを大さじ1使うとこんな味わいになるんだな」などという自分なりの感覚がつかめるようになってきます。これが大事。「じゃあ、次は少し多めにしてみよう」とか、アレンジができるようになる。最初から目分量でやっていたら、いつまでもあなたの中に“カレーのものさし”も“スパイスのものさし”もできません。それじゃあ、上達しない。だから、量ってほしいです。カレーを作るときは、少なくとも一番最初だけは、必ずレシピ通りにやってみましょう。

保育環境評価スケールの著者である埋橋氏は「最低限のモノは必要。そのモノがあることで子どもが動き出す。子どもの行動が変わる。保育者はそれを見て、熱中できているかを見て、発達に合った環境か、環境以外に熱中できない原因があるか、そういったことを考えて次の環境を作る必要がある。そのために保育環境評価スケールを活用してまずモノの環境を整えてみることは効果的。」(←かなり大ざっぱな要約ですが)と話しておられます。

まず基準となる最初の環境を作り、そこから次を考える。その繰り返しによって環境はステップアップしていくんだと思います。基準のそれがないのにアレンジはできません。自分なりのカレーの味、自分たちの園なりの環境を作っていくために、レシピやスケールを利用することは、アレンジできる状態へ近づく近道だと思います。

カレーも保育も、前へ進む道筋は同じです。