2017年4月28日

No.492 地域の協力員

先週と今週はたくさんの「春」を届けてもらっています。保護者のYさんからワラビを、Iさんからフキをいただきました。地域のSさんからサヤエンドウを、Tさんからはワカメをいただきました。その時期に採れたものをその時期に食べる。「ん?別に特別なことじゃないよね?」と思われるかもしれませんが、何もせずにいて成り立つことではありません。誰かが動かないと触れる機会が得られないのが旬です。ワラビやフキが生えてくる時期にそれを見つけ、採りに行かなければ手に入りません。子どもたちにはできる限り旬を味わう体験をさせてあげたいと思っていますが、いろんな旬のものをとなると簡単にできることではありません。なので「たくさん採れたからおすそ分け」「子どもたちに食べさせてあげて」と旬を届けてもらえるのはとてもありがたいです。いただいたものは調理前に触れる機会も設け、そして可能な限り調理にも関わってもらい、みんなで美味しくいただいています。







先週はテーマである「地域」のことを書きました。今週は「地域の協力員」のことについて。あさりこども園はとても恵まれていて、様々なことで地域の方に助けていただく機会が多い園だと思います。上でも書いたように、旬のものをおすそ分けしてもらうこともあります。畑や花壇のことで相談にのってもらったり、時には作業を手伝ってくれたりすることもあります。園庭にたくさんある木は定期的に剪定しなければいけないのですが、ほったらかしにしてしまっていることも多く、見るに見かねて道具を持って来て剪定してくれることもあります。「○○に子どもたちが喜びそうなおもしろいがあるよ」と地域の情報を教えてくれる人もいます。今のあさりこども園の環境や活動が成り立っているのは、このように協力してくださる地域の方のおかげでもあります。

「地域の協力員」という名前は私が勝手に言っているだけで、そのような役割を正式に担ってもらっているわけではありません。ですが、私たちの力が足りない部分をいつも補ってくれている、本当に頼りになる方々です。この方々に対しては、もっとこども園に足を運んでいただけるような工夫をし、そして感謝の気持ちを伝える場を設けたりしながら、より良い関係を築いていけたらと思っています。保護者会のH会長さんも同じ思いを持ってくださっていて、お世話になっている地域の方を招待しておもてなしをする場を作れないものかと、保護者会としての取り組みも考えてくれています。保護者のみなさんにも力強く支えてもらっていることをいつも感じています。

2017年4月21日

No.491 地域と関わりをもつ

園舎内に大きな地図「あさりマップ」が貼られているのをご存じでしょうか?今まで活動でよく利用していた場所や施設、そして今後活用していきたいと考えている場所が描かれた浅利町の地図です。これを作り上げてくれたのはK保育士。こういうものを作ってしまう力にいつも驚かされています。この地図の使い方はHPでも紹介されていましたが、もくもくの日などで遊んだ場所に写真を貼っていき、それを見て活動を振り返ったり、浅利町にあるものに対しての理解を深めていったりする予定です。それ以外にもおもしろい活用方法がないだろうか? ○○にも使っていけばおもしろいんじゃないか? と話し合いは続いているようなので、あさりマップの今後の変化にも注目していてください。



すでにお知らせしているように、今年度のあさりこども園のテーマは『地域』です。以前にも同じねらいをもったテーマの年がありましたし、違うテーマだった年も地域のことは常に意識して活動を行ってきました。自分が生活している地域を知り、そこで楽しく活動することは、自分の根っこを育てる上で非常に大切なことだと考えているからです。所属感という言葉があります。「自分は○○に属している」という意識のことを言いますが、これを持つことは安心感につながり、自信を持って活動していくことができます。家族であったり、親戚関係であったり、あさりこども園であったりと、子どもは様々なところに所属しているという意識を持っていると思いますが、それだけでなく、生活している地域に対しても強い所属感を持てるようになることを目指したいと思っています。この地を好きになってもらいたい、将来この地で活躍する人になってもらいたい、そう思うからこそこの地域で楽しく遊ぶ体験を数多く設けることを大切にしています。

もちろん自然環境だけでなく、この地域に住んでいる人との関係も大切にしていきたいと考えています。地域というのは「そこに住む人々が作り出す社会」も含んだものです。年齢も性別も様々、職業も様々、好みや考え方も様々な人たちが集まって、その土地独自の社会を作っています。そんな社会の元となる地域の人との関係を作っていくことで地域への関心はより深まるでしょうし、活動もより豊かで楽しいものになっていくでしょう。“どこに行って何をするか”だけでなく、“どんな人とどんな関わりを持つか”にも注目していけば、保育はもっと広がっていくと思います。そんなことを考えているとワクワクしてきませんか?

2017年4月15日

2017年4月

平成29年度がスタートしました。様々な変化が起こり、その変化に対応していく年でもあります。辞令交付式の場でお話しましたが、変化を前向きに受け止め、利用者の方に少しでも満足してもらえる方法を探し、地域の方にも「花の村があってよかった」と思ってもらえるような事業所にしていきましょう。みなさん1人ひとりの変化を期待しています。

今回は配食サービスセンターのTさんからいろいろと話を聞かせてもらいました。10時30分までに食事を作って弁当箱に詰め、2台の配食車で12時までに45軒のお宅に弁当を届けてくれている配食サービスですが、その中でいろいろな工夫をし、深い思いを持って動いてくれていることが伝わってきました。

まず、単に食べてもらうだけでなく「自分でも作ってみようと意欲をもってもらうこと」を目指している点。季節感を出して食べる楽しさを感じてもらったり、「懐かしい味!また作ってみよう!」と思ってもらえるように昔よく食べたであろう味を再現してみたり、そんな工夫をしているそうです。もちろん病気に合わせた治療食も作っていたり、刻み方なんかも一人ひとりに合ったものにしていたりと、かなり細かな配慮も行っています。そして安否確認という大切な役割もあります。毎日訪問する中でちょっとした変化にも気づいてあげたいという思いはかなり強く、目に見えて分かる体調の変化だけでなく、弁当を届けたときにいつもより出てくるのが遅かったとか、なんとなく家の様子がいつもと違うとか、そんな小さな変化にも気づき、それをケアマネージャーに伝えることもしてくれています。

配食サービスという言葉からは「ごはんを届ける」ことしかイメージしにくいのですが、実際の内容を聞いていると、配食サービスを利用されている方の生活全体を支えていることが分かります。少しでも元気で意欲的に生活してもらえるよう、毎日の接点はほんの数分かもしれませんが、この仕事が果たしている役割は大きいと思います。スウェーデンでは1日たった15分のホームヘルプで認知症の45%が自宅での一人暮らしを継続しているという実績があり、そのこととどこか通じるところがあるのを感じますし、配食サービスから広がる福祉サービスの可能性も感じます。収益が見込める事業にはなりにくいところがやや難ではありますが、意義の大きな事業です。

給与明細の渡し方を変えました。今年度からはリーダーから手渡しをしてもらいます。花の村の規模が大きくなり、給与明細が全員の元に渡るのにかなりの日数を要していた、その点を改善するためです。渡し方は変わりますが、利用者1人ひとりに満足してもらうことによって私たちの仕事は成り立ち、給与をいただくことができているという点は全く変わりません。今までと同じ気持ちで受け取ってもらいたいと思います。

2017年4月14日

No.490 音を楽しむ

園内には様々な音があります。あさりこども園で一番多い音は、子どもたちの声です。楽しそうに笑い合う声、楽しそうに歌っている声、泣き声、時にはケンカをして言い合いをしている声も聞こえてきます。その声を聞きながら子どもたちの表情や活動の様子を想像することが習慣になっているのですが、実際に見ているときよりも冷静に様子を掴めることもあったりするので、声って不思議だなーといつも思います。

この文章を書きながら聞こえてきているのは食事中の会話です。

家族の話をしている。
おじいちゃんやお父さんの名前を言い合ったりして、すごく楽しそう。
いろんな話に広がってちょっと盛り上がり過ぎている感じなので、箸が止まっているかもしれない。
子どもの中の誰かが会話をちょっと抑える役をしてくれたらいいなあ。
あっ、それまで黙って聞いていたS保育士が子どもたちにおじいちゃんの名前を尋ね始めたら、みんなの話が家族の話に戻ってきた!
散らかり始めていた話を家族の話題に引き戻すことで、会話も落ち着いて食事も進み始めた。
さすがS保育士!
楽しく食事をするためには楽しい会話も必要で、どう展開していけば食事も会話も楽しめるか、こうした場を通してゆっくり学んでいるんだよなあ。


私の場合はこんなことを思いながら園舎内にある声(音)を聞いているわけですが、このように特定の会話だけに注目して聞くことができるのは大人の特徴で、子ども(赤ちゃんも)の聞き方は違っていることが研究で分かっています。子どもは複数の音の中から必要な音を選んで聞くことができず、そこに響いている音を全部聞き取ってしまうので、1つの話に集中することは難しいそうです。そのことを踏まえた上での音の使い方をしていくことは、あさりこども園でも考えなければいけないことです。子どもと音の話は他にもあって、大人以上に細かな音を聞き分ける力を持っていることも分かっています。おそらくみなさんは実際に見ていて分かっていると思いますが、子どもは1人ひとりの声の違いもかなり細かく把握していますし、大人以上に音の快・不快を感じているように思います。子どもたちがどんな音をどんな風に聞いているかを改めて考えることは子どもたちの活動を考えていく上でとても大事なことで、おもしろい活動を生み出すこともできそうです。

「生活の中で様々な音、色、形、手触り、動き、味、香りなどに気づいたり、感じたりして楽しむ」ことは、こども園の保育の目的でもあります。音に限らず、身の周りの様々なものに楽しさを感じられるよう、工夫していきたいと思います。

2017年4月7日

No.489 お集まりの意味

新年度のスタートと共に認定こども園「あさりこども園」もスタートしました。今年度は8名の新入児を迎えただけでなく、1号認定の子ども(幼稚園利用の子ども)が在籍することになるため、生活の流れが少し変わります。例えばお集まりの形が少し変わったのですが、今回はそのことについて。

あさりこども園では、朝のお集まりで1日の活動の流れを確認し、夕方のお集まりで1日の活動の振り返りをし、次の日の予定を確認します。活動前に流れを確認するのは、そのことによって安定した気持ちで活動をするためです。大人でも、「今から何が行われるんだろう?」「これが終わったら次は何をすればいいんだろう?」と先が見えない状態で活動するのはかなり不安です。そんな状態になるのを避け、見通しをもって安心して活動に臨むために、朝のお集まりの際にその日の流れの確認をしています。

そして夕方の振り返りですが、ここではその日に体験したことや感じたことを発表してもらいます。保育の内容について定めてある保育指針には『経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。』とあり、振り返りの時間はこれに当たります。言葉で伝えることがまだ苦手な子もいるので、いろいろな気持ちを普段から言葉で表すようにしていく必要があり、こうした場はとても大事です。そして、次の日の活動に期待を持たせ、次の登園を楽しみにしてもらうために、活動予定を伝えています。

そんなお集まりですが、1号認定の子どもの保育時間は9時〜14時なので午睡をせずに降園するのが基本となっていて、夕方のお集まりには参加することができません。そこで「何とか夕方のお集まりで行っていることを1号認定の子どもたちも体験できるようにしたい!」と職員が考えてくれ、13時過ぎにぞう組さんと1号認定の子どもで小さなお集まりを行うようになりました。そこで行われることは夕方とほとんど同じことです。この形は今後変わっていくかもしれませんが、発達のために必要なこと、あさりこども園での生活を楽しんでもらうために必要なことは、認定区分に関係なく体験してもらえるようにしていきます。この他にも「こんな風に変わりました」「このことはぜひ知っておいてください」ということが出てくれば、またここでもお知らせをさせてもらいます。それ以外でも、「この活動はどういった意味で行っているの?」と思われることがあれば、遠慮なく聞いてください。今までと変わらず質問も大歓迎です。みなさんからの質問が、活動の意味を再確認するきっかけになったりしますので。