2007年11月30日

No.22 発表会の取り組みを考える

明日はいよいよ発表会です。みどころを書いた資料をプログラムと一緒にお配りしましたが、それとは別に、私なりに各クラスの取り組みを考えてみました。

▼りす組(0歳児)は、普段の遊びの様子の一部を見てもらいます。当然全員そろった動きなどはまだ披露できませんが、登場する子どもたちの姿を見て 「かわいい~!」と叫んでいただきます。

▼うさぎ組(1歳児)は、普段みんなで踊っているダンスの披露です。日頃はいきいきとしている子どもたちも、舞台で固まってしまうこともあり得ます。それもまた子どもらしさとして受けとめていただきたいと思います。

▼ぱんだ組(2歳児)は、手遊びと運動遊びです。自分を表現することがずいぶん上手になりましたし、模倣することも楽しんでいます(しかも個性的!)。そして、かなり仲間意識が育ってきています。個々の成長とともに、注目してもらいたいところです。

▼くま組(3歳児)は、劇のお話をお昼寝の際にバックミュージックとして聞いていました。そのためか、ストーリーが身体に無理なく染み付いているようで、のびのびと自分を表現しています。くま組さんらしさがしっかりと発揮されています。

▼きりん組(4歳児)は、役割を演じることがずいぶん上手になりました。話の中のやりとりも、セリフを通して子ども同士が関わり合っているのが伝わってきます。普段の生活での関わりがここでも生かされています。この劇のストーリーもお昼寝のときに聞いてきたので、ストーリーをよく理解しています。

▼ぞう組(5歳児)も、劇のお話をお昼寝のときに聞いてきました。それぞれが自分の役割を自分らしく演じ、それがストーリー全体を更に盛り上げます。何より楽しんで自分を表現しているのが伝わってきます。保育所の活動を引っ張ってきてくれた子どもたちのパワーを感じることができます。

子どもたちは発表会で「よそいきの自分」をどう演じるかという課題にも向き合います。心が大きく揺れ動く子もいるでしょうが、それも大切な経験だと考えます。そんな子どもたちの心を、明日は皆さんでしっかり受けとめてあげてほしいと思います。

2007年11月22日

No.21 本の貸し出しを始めます

11月に入ってから、保護者用の本のコーナー(小さいです)を子育て支援室に作り始めています。既に子育て支援センターに来られる方には利用してもらっていますが、皆さんにも利用してもらえるようにします。貸し出し期間は1週間です。たくさん本を揃えることはできないかもしれませんが、子どもや子育てに関係のある本を少しずつ増やしていこうと考えています。

今用意しているのは、まず食事の本。子どもは大切な成長期です。一生の土台を作る、もっとも大切な時期です。そんな時期だからこそ、食生活が大きく変わってきている今だからこそ、食事のことを皆さんと一緒に考えたいと思っています。大げさに書きましたが、難しい本を置くつもりはありません。今置いているのは、春・夏・秋・冬の旬のレシピ集などです。

子育てに関する本は、まだ数が少ないです。数名の保護者から要望ももらっていますし、今から増やしていこうと思っています。

そして、これからじっくり考えていきたいと思っているのが「環境」についてです。「環境」についての本も用意します。アメリカインディアンの言葉に「7世代先の子孫のことを考えて行動しよう」という言い伝えがあるようです。たとえば何百年もたっている古い大きな木を切るときや広い土地を売ったり買ったりするときは、この言葉をもとに判断するということです。言葉としては簡単ですがスケールの大きさを感じます。こうしたスケールの大きさや視野の広い発想が、これからは特に求められているようになるでしょう。

子どもたちの豊かな成長を願うことと、子どもたちにいい自然環境を残そうと考えることは、同義だと思っています。自然に直接触れることを通して自然環境との良い関係を築いていくことは、子どもの成長にとって大切なことです。そんな大切な自然環境のことを少しでも意識するきっかけになるような本を探します。

本の貸し出しはゆっくり整えていきます。興味のある方は、ぜひ子育て支援室をのぞいてみてください。そして、こんな本があればといった要望などもお聞かせください。

2007年11月9日

No.19 意欲のはなし

全国学力調査とOECDのPISA(国際学力到達度調査)の結果に共通する日本の子ども達の問題として、考える力が落ちてきたことを先月このひとりごとで書きました。同時に、こども達が「主体的な活動」をしなくなり「学ぼうとする意欲」が低下してきているともいわれています。

なぜ日本の子ども達にこのような問題点があるのでしょうか。考えられるのは、物があふれてなんでも簡単に手に入るようになったことや、有難さを感じにくくなくなり、何とか手に入れたいと思う気持ちが薄れてきたこと。また、少子化で親がひとりの子どもにかけられる時間が増えたこと、それによって、子どもは待っていれば、または主張しなくても満足できる状態が得られるようになることなどがあるのではないでしょうか。

そういうことは保育所でもいえると思います。丁寧な保育は特に乳児期には必要ですが、過剰なかかわりや、大人が先回っていろいろと考えて欲しがるより先に与えてしまうことなどは、決して子どもの意欲を育てることにはなりません。また幼児期(3~6歳)では、大人が子ども達に一斉に何かをさせる、それで子ども達が何かが出来るようになることも確かにあります。しかし、子どもが受身になることによって、子どもの主体性や意欲が育ちにくいということも言えます。これらのことは、どの保育所でも見直しが必要になってきていると思います。子どもの「主体性」や「意欲」を育て伸ばすことこそ、今、保育所に求められている役割なのではないかと考えています。 フランスの保育園(0~2歳児のみ)の報告でこんな内容のものがありました。

「手を伸ばして何かを取ろうとして取れないときは、すっと近くに持っていってあげるということはするわけです。だけど、たぶんこの子は欲しいんだろうなと先回りして渡すことはしません。あくまでも、子どもが取ろうとする努力をしなければ手を出しません。してほしければ自分から言いなさい、主張しなさい、待っていても何もしてあげないわよっていうことを、結局は教えているわけです。」

0~2歳児だけでなく、全ての子どもに対しての大人の関わり方のヒントが詰まっていると思います。

2007年11月2日

No.18 布団敷きも大事な保育

以前からぞう・きりん・くま組のお昼寝の準備は、主にぞう組さんがおこなっています。ごはんを食べて着替えなどが終わると、自分たちで何分までに布団敷きを終わらせるか"宣言"した時間までに終わるように、協力して布団を敷いていきます。時間までに仕事が完了すると、楽しい遊びができる「特別な時間」が待っています。子どもによってごはんを食べるペースは様々なので、時間の設定もなかなか難しいと思うのですが、ぞう組さんたちはあれこれ考えながらやっています。

そんな布団敷きですが、昨日はこんなことがあったと報告を受けました。ぞう組さんはいつも通り時間を決めてやっていたのですが、時間内に終わらせることができなかったようです。しかも、中にはその時間ぎりぎりまで他のところでサボっていて、時間になる頃に布団敷きにやってくるという子がいたとのこと。そこに関わっていたM副所長はこのことを「いい機会」と捉え、時間までに終えることができなかったことを理由に、楽しい「特別な時間」をやめて「話し合いの時間」を設けたようです。

この話にはいろんな意味があると思います。サボっていたのは確かに良くないことではあるけど、この布団敷きのルールにはこのような"抜け道"が存在します。それを見つけて実行するには、時間を意識して行動することが必要です。そう考えると今回のサボりの実行は、ある意味では子どもの成長とも言えると思います。そして一番大きい意味は、自分が楽をしようとしたことで、より大きなみんなとの楽しみを得られなかったことを体験した点だと思っています。自分さえ良ければという考えの先に、集団の充実は待っていません。個が十分に発揮され、さらに個人個人が協力することで、より大きな楽しさにつながっていきます。このような体験の繰り返しによって、子どもたちは協力することの意味やルールの意味を学んでいくと思っています。

例えばこの件は叱責で収めることもできます。しかしそれでは見かけ上は収まっても、決して『育ち』には至らないと思っています。解決のために、子どもたち同士の話し合いに持ち込んだことは、まさに今私たちが取り組んでいる保育のエキスが詰まっていると考えます。