2008年11月28日

No.72 発表会の予行練習を終えて

26日(水)に発表会の予行練習を行いました。それぞれの子どもたちがダンスや言葉のやり取りなどの表現活動に対して、楽しんで取り組んでいることが伝わってきました。保護者の熱い視線のある当日とは状況が違いましたが、この取り組みが発表会当日の経験を豊かにしてくれるはずです。

この予行練習の話ですが、この日は初めてお客さんとして地域の方を招待しました。声のかけ方が十分でなかったこともあり、来ていただいたのは3名だけでしたが、来年以降も続けていきたいと考えています。発表会当日の遊戯室は保護者の皆さんだけでいっぱいになってしまい、地域の方にも見に来ていただくのは難しいのが現状です。保護者優先という姿勢は変わりませんが、保育所の子どもたちのことをより多く地域の人たちに知っていただく、その為の働きかけが安全・安心を含めた子育て環境の充実には欠かせません。"近所のちょっとした知人"をより多くつくる実践がなくてはいけないと思っています。

話は変わりますが、予行練習のお手伝いとして役員のNさんとOさんが来てくださり、舞台転換を手伝ってもらいながら出し物を見ていただきました。そのときにある出来事が起こりました。踊っている子ども同士の間隔が狭かったために、ある子の手が隣の子に当たってしまったことから自分の場所を主張するための小さな押し合いがあり、それが何度か続いた後、押された子は泣きだしました。泣いた子に対しては職員がフォローに当たりましたが、押してしまった子も「主張したかっただけのに泣かせてしまった」という"気まずさ"のようなものを感じ続けてか、別の場面で泣き出してしまいました。

それを見ていたNさんとOさんは、「この後どうするんだろう?」「このまま2人の出来事を何事もなく終わらせてしまったら、なんかもったいないな」といった意味(だと思う)の会話をされていました。2人の行動を見て、2人の気持ちに思いをやり、その行動や経験をお互いの育ちにつなげてあげたいという思いだと思います。子どもの世界はとても多様で繊細で、そんな子どもたちの関わりの中には、育ちに影響するものが常にたくさん生まれています。この2人の子にも、ここには書ききれないくらい多くの心の動きがあったと思います。予行練習の1つの場面で生まれた「子どもたちの心の動き」にしっかり気を配っておられたNさんとOさんの温かい心に触れて、なんだか嬉しくなってしまいました。

2008年11月21日

No.71 役員さんから子どもたちへのメッセージ

あと1週間で発表会です。今年の発表会のテーマは『のびのび発表会』。子どもたちが表現活動をのびのびと主体的に取り組んで楽しめる、そんな発表会の活動になるようにと、職員は工夫をしながら子どもたちと向き合っています。発表の内容や見どころは後日お知らせしますので、ここでは役員さんの出し物の紹介をさせてもらいます。

今年も役員さんによる出し物(寸劇とダンス)があります。選んだ曲は『ぼよよん行進曲』。じっくりと聞いてみるとなかなかいい歌詞なので、その一部を紹介しながら、この出し物の私なりの解釈を書いてみます。

『どんな大変なことが起きたって 君の足のその下には
とてもとても丈夫な「ばね」がついてるんだぜ
押しつぶされそうな そんな時だって
ぐっ!とひざ小僧に勇気をため 「いまだ!スタンバイ!オーケー!」
その時を待つのさ』


子どもの世界も大人の世界と同じで、日々の生活や周りの人との関係の中で、常にいろんなことが起こります。それは決して嬉しいことだけでなく、悲しいことやしんどいことも当然あります。そのときに子どもたちが感じる"葛藤"や"何とも言えないもやもやした気持ち"を体験することは、子どもの育ちには大切なことだと考えています。そして、その大変な思いを乗り越える力を、子どもたちは本来備えているのではないかと思っています。

その力を最大限に発揮するためには、私たち大人の「しんどかったらいつでも言っておいで。しっかり受け止めてあげるから。」という思いを子どもに感じさせることがポイントだと思います。子どもに葛藤が起きないように困難な状況を取り除くのではなく、子どもの力を信じ、困ったときにはいつでも受け止めてあげられるように後ろでそっと支えている、そんなイメージです。

今回の役員さんの出し物は、「安心していろんな体験をしておいで」というメッセージを子どもたちに伝えようとしているんだろうと思っています。役員さんが「のびのび」楽しんで取り組んでいる姿を通して、子どもたちに温かいメッセージが少しでも伝わって欲しいと思います。皆さんも楽しみにしておいてください。

2008年11月14日

No.70 子どもが迫る究極の選択

子どもと付き合っていると、子どもというのは不思議な存在だと思うことがよくあります。大人の考える通りにいかないのは当然ですが、とにかく振り回されてしまうことがよくあります。しかも、そのほとんどは子ども自身が意識していない場合です。どこかに出かけるとき、朝あわただしく支度をしてさあ出かけようと思ったとたんにオムツにウンチをしてしまうとか、車に乗り込もうとすると「トイレ!」と言い出す始末です。また、長い間楽しみに計画していた旅行の前日や仕事が忙しいときに子どもが熱を出したり、感染症にかかったりしてしまいます。皆さんもこんなことを頻繁に経験しているのではないでしょうか。

子育て支援センターで貸し出しをしている本の中に「やってあげる育児から見守る育児へ」という本があります。その本の中にある子どもと関わる親の心得について、以前も紹介しました。今回はその中の2つを取り上げてみます。

「子どもは、何かものを与えれば喜ぶのではなく、気持ちをわかってもらうことを望んでいます。」

「子どもは、自分のために親が犠牲になることを望むのではなく、子どもから望んだときに、自分が優先順位の高いことを望みます。」


子どもたちの行動を見ていると、子どもはこのようなことを親に望み、定期的にそれを試そうとしているのではないかという気がしてきます。「自分の気持ちをわかってくれているだろうか、自分が親の意識の中で優先順位が高いだろうか」ということを、保護者の行動や選択から感じようとします。保護者に対して究極の選択を迫っているのかもしれません。

これからますます寒くなり、子どもは体調を崩すことが多くなります。年末にかけて忙しくなってきたときに、究極の選択を迫られることも出てくるかもしれません。そんなときにどんな選択をしたか、どのようにふるまったか、振り返ってみてほしいと思います。例え自分で合格点のつけられる行動でなかったとしても、「子どもの気持ちはわかってあげられたか」「優先順位はどうだったか」などを1つ1つ振り返って見直すことが、子育てで大切なことではないかと思っています。

2008年11月7日

No.69 当番活動も大切です

保育所での生活は子どもたちにとって大切な経験です。子どもたちは保育所での経験を通して、集団の中でどう行動するかを毎日学んでいます。その中で、自分の役割を持ち責任を持って行動するために、当番活動も行っています。子どもたちが毎日の様子を家で話すときに当番活動についても話しているかもしれませんが、ぞう・きりん組の当番活動についてここで書いてみようと思います。

まずは当番の主な役割には、「昼食時、時のランチルームの準備、片付け」「ごはんのときにみんなにおかずの希望おやつの量を聞き、その量を盛り付けること」などがあります。また、ぞう組のみの役割として、昼寝のための布団敷き、ぱんだ組担当としてぱんだ組さんと食事を食べ、歯磨きの見本を見せてあげること、うさぎ・りす組担当として昼寝後にうさぎ・りす組さんと過ごすこと、わくわく当番として一時保育の子どもと一緒におやつを食べることなど、様々な役割があります。

子どもたちはこうした当番活動を通して、自分の役割をきちんと責任を持って終えることが期待されるようになります。また、こうした役割を子どもたち同士でお互いに調整しながら進めていくことによって、ほかの子どもと協力すること、我慢すること、やりたくなくても時にはやらなくてはならないことなどを、経験を通して学びます。例えば昼食の準備などは、他の子よりも遊びを早く切り上げて用意をしなければいけません。でもそのときのお当番さんの表情は生き生きとしているように見えます。自分の役割に対して、主体的に向き合えているんだろうと感じています。

当番活動は、予定していたことを時間通りに間違いなく子どもにやらせることを一番の目的にすると、活動の意義は薄れてしまうと思っています。子どもたちが自発的に取り組むこと、自分で考え感じる体験をすること、そしてその様子を見ながら子どもたちの育ちをモニターすることに意味があります。そして、それぞれの子どもの得意・不得意を見極めることで、次の課題に向けて刺激を与え、支援をしていくことは、私たちの大切な役目だと考えています。まだまだ課題の多い当番活動ですが、もっともっと意義を高めたいというのが私たちの思いです。