2007年8月31日

No.9 運動会が近づいています

運動会に向けての取り組みが始まっています。職員同士でもいろんな話し合いが行われていて、その話を聞いているだけでも運動会がいい行事になりそうな予感がしています。園便り9月号で運動会の中の「選ぶ」ことについて少しだけ触れていますが、今回のひとりごとでは運動会の基本的な考え方についてもう少し詳しく書いてみようと思います。

まず一番大切な目的です。あさり保育所では運動会を「子どもの運動能力の発達を保護者に伝える」「親子のふれあいを提案する」「普段の保育をより深める」という3つの目的に位置づけます。ここから分かっていただけると思いますが、この日のために何かを毎日練習したりとか、その年齢ではできないようなことを計画したりといったことはありません。

具体的に見てみると、「親子のふれあいを提案する」ということで、親子競技や親子リズムを計画しています。「子どもの運動能力の発達を保護者に伝える」ということで、歩く力・走る力・跳ぶ力・乗り越える力などを発揮する、かけっこや障害物越えなどを計画しています。この障害物越えの中に園便りで触れた「選ぶ」ことが取り入れられています。

最後の「普段の保育をより深める」ですが、実はこれが行事のあり方として一番重要で一番難しいところではないかと思っています。ここまでの保育のあり方が問われるところでもあるかも知れませんし、さらに今後の保育がより豊かになっていかなければいけません。ポイントは普段と同じで「子どもがいかに主体的に取り組めるか」ということになるでしょう。子ども自身から「自分でやりきろう!」という気持ちが湧き上がってくるように(言いたくなる気持ちを乗り越えて)いかに導くかが、運動会に対する私たちの取り組みの中で重要な点ではないかと思います。

まだ書きたいことはありますが、長くなってしまうのでやめておきます。今後、運動会の見どころなどのお知らせを出す予定ではいますが、ひとりごとでももう1回くらい運動会について取り上げてみたいと思っています。

2007年8月24日

No.8 絵本は奥が深い

昨年から絵本コーナーをつくっていて、そこに行けばいつでもいろんな絵本を読むことができるようにしています。このコーナーは子どもたちになかなか人気があり、そこをのぞきに行けば大体誰かが絵本を読んでいます。この絵本コーナーを含めた保育所の絵本を中心になって管理してくれているのが"絵本係"のF保育士(前回も登場しました)です。絵本に対する情熱はかなりのもので、F保育士がいろんな絵本を選んでくれるおかげでラインナップは随分充実してきました。またその情熱によって、絵本の奥深さを教えてもらっています。

幼児期に絵本を読むことにはいろいろ意味があり、まず文字に関心を持つきっかけになります。文字を読めないうちからでも絵本を読み聞かせていると、文字に関心を持ち、意味を読み取るようになります。文字を理解していく最初の段階として、とても重要な意味を持っています。さらに名作童話と言われるものは、日本語の美しいリズム・音・言葉にたくさん触れることができるので、とても貴重な教材だと思います。

また別の意味として、疑似体験ができるということがあります。絵本には子どもの心情を丁寧に描かれたものが多くあります。うれしい体験や悲しい体験、時にはいじめなども描かれます。こうした絵本に触れることで、その内容を通して、困難を乗り越えたり、大きな悲しみに耐えたり、人を許したりという疑似体験をすることができるのが絵本のすごさだと思います。この疑似体験が、後に実際に体験する困難や悲しみに立ち向かったとき、自分自身の支えになってくれるはずです。絵本はそんな力も持っているように思います。力強いメッセージや願いが盛り込まれた、言葉や文字への関心を育てるだけでなく心の成長にも欠かせない絵本と、できるだけ多く出会ってもらいたいと思っています。

今ランチルームの壁には、職員一人ひとりのお気に入りの絵本を紹介したものを貼っています。昨年度からホームページで公開しているものです。その絵本に対する熱い思いも書かれていますので、そちらもぜひ見ていただきたいと思います。

2007年8月17日

No.7 善悪の価値観が問われている?

みなさんはどんなお盆を過ごされたでしょうか。今年のお盆は「異常気象では?」と思ってしまうくらいの暑さでした。40℃を超える地域もあり、地球が私たちに何かを訴えているようにも思えます。「暑かったね~」で終わらせてはいけない問題が潜んでいるような気もしています。

さて話は変わりますが、15日は終戦記念日、少し前の6日は広島の原爆の日、9日は長崎の原爆の日でした。あさり保育所の6日の朝は、F保育士による「原爆」の話から始まりました。話の内容は、細かいことをあれこれとではなく、"ひろしまのピカ"という絵本の絵を見せながら、「昔こんなことがあったんだよ」という事実を伝えるというものです。原爆や戦争は子どもたちにはまだまだ難しいテーマです。実際にどこまで伝わるかは分かりません。でもこのようなお話をすることは意味のあることだと思っています。

子どもが「原爆」「戦争」という言葉の意味を理解するのは難しいでしょうが、その話をする大人から思いや感情はしっかり受け取ってくれます。今回も話をしたF保育士の表情や声に表れる感情から何かを受け取ってくれたと思っています。「戦争」などの戦いの後に残るのは虚しさやひずみだけです。子どもの周りにある「暴力」「武器」「戦いごっこ」といった「戦いにつながっていくこと」に対して、私たちはもっと強く嫌悪感を示したり悲しい表情をしたりしなければいけないのではと思うようになりました。

子どもたちはまだ絶対的な善悪の判断基準を持っていません。善悪の判断は大人の顔色や反応を見ながら学んでいきます。悪いことだと薄々感じていることは、少しやってから大人の様子を見ます。そのときの大人の顔つきなどでそのことがいいことか悪いことかを判断します。子どもたちは私たちの行動をじっと見ているのです。真似る(まねる)ことが学ぶ(まなぶ)ことだとすると、子どもたちの前で私たち大人の価値観が問われているのかもしれません。

2007年8月10日

No.6 子育て支援って何だろう?

あさり保育所には子育て支援センターがあります。江津市には東中西部と桜江地区にそれぞれ1ヶ所ずつ子育て支援センターがあり、その東部を任されています(中部は保健センター、西部はのぞみ保育園、桜江は谷住郷保育所です)。平成14年にスタートし今年が6年目、活動は少しずつ軌道に乗ってきています。

「子育て支援」という言葉は、子どもたちのことを語るときには必ずといってもいいほど登場してきます。行政も「子育て支援」のために様々な施策を打ち出し、子育て支援センターや子育て相談室などが今でも次々に作られています。でも、賛否両論ある「赤ちゃんポスト」が設置されたりする状況などから考えると、子どもたちを取り巻く状況が改善に向かっているという実感はあまりないのが正直な気持ちです。問題の核心を捉えた支援ができているのか、「子育て支援」の意義は何なのか、そんなことを考えてしまいます。

「子育てを楽しもう!」といった意味の標語をよく目にします。誰もが楽しみたいと思っているはずです。でも決して「楽」ではないのが現実だと思います。登山をする人は、苦しいけれどそれを楽しむことができる感性をもっているはずです。同じように子育てにも、「子どもの世話をし、自立に向けて子どもに関わっていく。その過程では、多くの我慢も必要だし苦労もたくさんあるけれど、それらをひっくるめて『楽しい』と感じられる。」感性が必要だと思います。子育てに関わる全てのことをひっくるめて、それを楽しいと思ってもらえる、そのきっかけを作るお手伝いをしていくことが「子育て支援」の重要なところではないかと考えます。

センターや相談室を数多く作ることやイベントを数多く行うことは、目的ではなく手段です。「子育ては大変だけど、子どもの成長を感じることができてうれしい」と思ってもらい、そしてそれを一緒になってうれしいと喜べること。この「思いの共有」の繰り返しこそが、「子育て支援」の真髄であり目的に近づく大切な部分ではないか、そんな風に思うようになりました。子どもの成長を感じてもらい、ともに喜ぶ。言葉としては短いですが、奥はかなり深そうです。

2007年8月3日

No.5 悩みや課題はつきません

夏祭りは、保護者のみなさんのおかげで無事終えることができました。今年の夏祭りは参加された方がなんと約580人!普段が園児と職員あわせて約90人なので、6倍以上の人数です。こんなに多くの方に来ていただけるうれしさと、全員に満足して帰ってもらうにはどうすればいいのかという悩みが頭の中を駆け巡っていました。来年に向けてもこの悩みは続きそうです。

種類は違いますが、悩みや課題は当然日常の保育にはたくさん存在しています。その中の1つの課題に向けて今週の水曜日に動きがありました。ぞう・きりん・くま組の遊びのスペースの模様替えです。ごっこ遊びコーナーを製作コーナーの隣に動かし、積み木コーナーを動かして少し広げ、絵本コーナーも動かして少し広げました。積み木と絵本のコーナーを動かして少し広げたのは、これらのコーナーの使い方が充実してきたためですが、ごっこ遊びコーナーに関しては少し意味合いが違っています。

ごっこ遊びは奥の深い遊びで、子どもにとって学びがたくさんあります。子ども同士の関わりもあり、豊かな想像力による遊びの広がりもあります。この広がりを考えたとき、このコーナーに用意された食材などの玩具だけではどうしても限界があります。私たちは、子どもたちが広がりの限界を感じたとき、「無いものは作ろう!」という欲求を持ってもらいたいと思っています。この欲求が製作活動への意欲につながり、そしてそれがごっこ遊びをさらに豊かにしてくれる(製作からごっこ遊びへの発展もありえます)、そんなことを期待してごっこ遊びコーナーを製作コーナーの隣に動かしました。

保育の全てに言えることですが、保育室の模様替えにもこれが正しいというものはないと思っています。悩みや課題に真正面から向き合い、子どものためという判断軸で答えを出し行動する、そして、本当にそれが子どものためか疑ってかかり検証する。その繰り返しこそが「正しい」あり方だと考えます。今回の模様替えは、ぞう・きりん・くま組の職員が4月から子どもたちの活動を丁寧に観察し続けたことから提案されました。今後も丁寧な観察・検証そして改善は続きます。