先日ある方から子どもの成長に関する本を貸していただきました。そこに「子どもが育つということはこういうことだ」という、単純で当たり前だけど、とても大切なことが書かれているように感じたので、書いてみようと思います。
「人間は2足歩行の動物ですが、立って歩くようになるためには、その前にいろいろな準備が必要です。まず、首がしっかりすわらなければなりません。首がすわるということは、頭がぐらぐらゆれたりしないで、背骨の上にしっかりのることです。すると寝がえりができるようになり、おすわりができるようになります。お母さんにうつぶせにしてもらったり、自分の力で寝がえりをして、やがてはいはいをして、ほしいものを取りにいったりします。それからやっとささえてもらって立ったり、つかまり立ちをするようになります。」
「立って歩く」ということに向かって、子どもはこんなに多くの「準備」を積み重ねていきます。子どもが育つ、何かができるようになるのは、どこまでいっても「段階を踏んでひとつひとつ」です。全てのことが次に進むための「準備」であり、無意味なことは何ひとつありません。全ての瞬間が、子どもにとって大切な意味を持っています。
私たちは子どもたちの"今"に向き合いながら、同時に子どもたちが社会に出たときのことを考えます。子どもたちが社会に出たときに「自分の力で立ってしっかりと歩いていける」ように、ひとつひとつ確実に段階を踏んで育っていけるようにと常に考えています。今だけを見て無理をさせたりあれもこれも早期に成果を求めたりせず、将来の見通しをもって、発達に応じたふさわしいタイミングで、真剣に子どもたちと向き合っていきたいと思っています。
卒園式や修了式を控え、今年度を振り返ってみることが多くなりました。この1年、子どもたちの姿をどれだけまっすぐに見ることができたか、子どもたちの存在をどれだけ信じることができたか。このひとりごとを書きながら、そんなことばかり考えてしまいます。
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