2007年7月27日

No.4 暑さの違い

ようやく梅雨が明けて暑い暑い夏がやってきます。外は暑いですが、いろんな建物の中に入るとエアコンのおかげでホッと一息つけます。一息はつけるのですが、このエアコンの存在はなかなか難しいと思っています。今回は保育所の全室にエアコンを設置したときに考えたことを少し書いてみようと思います。

保育所には学校のように夏休みがありません。「体温調節をする力を今からつけていく乳幼児期に暑い夏をいかに健康な状態で乗り切るか」ということは課題でもありました。エアコンの設置はこの暑さをクリアするという目的も当然ありますが、保育として、子どもの育ちにもつながる部分があるという思いもあります。(全室一斉に、朝から夕方までずっと、などという使い方は全く考えていません。そのことを前提に読んでください。)

一番に考えたのが「暑さの違い」を演出することです。外にいるとき日向と日陰では感じ方が違います。日向や日陰にはそれぞれの良さや役割があります。そんな違いを建物の中でも作り出せないか考えました。同じ建物の中にも暑い場所と涼しい場所がある。風がよく吹く場所がある。そんな違いを肌で感じることにも子どもの育ちはあると考えます。

また、日向と日陰の役割のように、涼しい場所(一時避難の場所?)があるから暑い場所で安心して思う存分遊べるということもあります。しっかり汗をかきながら遊んでもらうために、夏の遊びを更に充実させるために、涼しい場所を用意してあげたいとも考えました。

皆さんもよく知っていると思いますが、子どもはたくさん汗をかくことで、体温を調節するために汗を出す「汗腺」を発達させていきます。この「汗腺」はとても大切なので、汗をしっかりかきながら遊びに熱中できるよう導いていかなければいけません。暑い中で汗をかかせながら涼しさも体感させるというややこしさはありますが、こんなこともこれからの夏のテーマでもあると思っています。

2007年7月20日

No.3 積み木遊びの充実

ぞう・きりん・くま組さんの積み木遊びが少しずつ充実してきました。この積み木遊びは単純なようでとっても奥の深い遊びです。この奥深さが積み木遊びの中にだんだん現れてきているのを見ながらうれしく思っています。

積み木遊びは想像力を刺激します。白木の積み木は子どもたちの気持ち次第で何にでも変化します。例えば赤く塗られた直方体の積み木があるとすれば、それを見た多くの子は消防車を連想すると思います。それが白木の積み木だと電話になったり、自動車になったり、飛行機になったり・・・。色がついていないことで、逆に子どもたちは色鮮やかな世界を自由に想像できます。

創造力・応用力も刺激されます。積み木遊びは上に積んでいくことも横に広げていくことも自由にできます。でもこの自由というのが曲者で、何もないところから作り上げていくのはなかなか大変な作業です(私は苦手です)。さらに使えるスペースも限られているため、必ず誰かの作品とぶつかります。自分のイメージしているもの(思い)と他人のイメージしているもの(思い)がぶつかったときに、どのようにそれらをつなぎ合わせるか。お互いの思いをどんなふうに尊重しあうか。そんなことを考える必要も出てきます。そう考えると、創造力や応用力以上の力も鍛えられるのかもしれません。

また、先週からは積み木遊びの広がりを期待して、「ヒモの中の作品は片付けなくていい」というルールを新たに作りました。何日もかけて遊びが発展していくので迫力ある作品が出来上がります。またそのルールの裏には「ヒモの中の他の子が作ったものを壊さない」というルールも当然隠されています。自分だけではなく、集団で生活しているという意識が必要です。自分の作品が保障され、他の子からもジャマされない。ということは自分も他の子のジャマをしない。そんなことを積み木遊びから学んで欲しいと思っています。

またごちゃごちゃとややこしく書いてしまいましたが、まだ子どもたちの作った積み木を見たことのない方は、是非一度見てあげてください。細かいところにまで子どもたちのいろんな思いがたっぷり詰まっています。

2007年7月17日

No.2 ぱんだ組のちゃぶ台

少し前の話ですが、ぱんだ組の部屋のままごとコーナー(キッチンセットが置いてあるところ)にちゃぶ台を置きました。素敵なちゃぶ台です。出来事としてはそれだけのことですが、思いはいろいろとあります。

一般的な話ではありますが、子どもは3歳になりだした頃から遊び方が少しずつ変わっていきます。それまではどちらかと言えば、一人ひとりで遊びを楽しみます。子どもたちが一緒に遊んでいるように見えてもそれぞれが単独で遊んでいたり(平行遊びと言います)、大人と遊ぶということが中心です。それが3歳頃から少しずつ子ども同士が関わって遊ぶという遊び方に変わっていきます。

ぱんだ組のままごとコーナーでは、大人になりきったように振る舞う子どもの姿がよく見られます。つい笑みがこぼれてしまいます。しかし、まだ今の段階は「一生懸命に大人の真似をしてごちそうを作る遊び」と「ちゃぶ台を囲んで関わりを楽しむ遊び」がそれぞれバラバラなものが多いです。それらがいつかつながることを期待してちゃぶ台を置きました。つながっていくと「ごはんを作る子」と「それをちゃぶ台で食べる子」といった役割ができてきて、大人の社会の小型版がそこに展開されていきます。社会性が育まれていく大事な時期で、子ども同士の関係が輝きを増していく瞬間です。

今職員全員で、このような子どもたちの育ちを丁寧に促すことを課題にして保育にあたっています。子どもたちは今こうで、だからこういう関わりやこういう遊びを取り入れて・・・といったことを、常に考えてくれています。そのことが、子どもたちが大人になって社会に出たとき、自分をしっかり発揮し社会にも貢献できる、そんな力につながっていくと信じています。

少し話が飛躍してしまいましたが、ちゃぶ台を囲んで遊ぶ子どもたちを見ながらそんなことを考えました。今後もその子の「今」に真剣に向き合うことと、それと同時に「子どもたちのこれから」に目を向けた関わりを大切にしていきます。

かたい話になってしまったので、次はもう少し考えます。

2007年7月6日

No.1 お泊り保育を終えて

園便りでお伝えしていましたように、「園長のひとりごと」を書き始めます。内容は「子どものこと」や「考えていること」など、様々なことを書いていこうと思います。できるだけかたくならないように、ありのままの様子や思いを伝えていこうと思っています。感じたことなどがあれば聞かせてください。

今回は6月30日、7月1日に行なったお泊り保育についての話です。

普段の保育もそうですが、特にこのお泊り保育は保護者のみなさんの支えが必要だと思っています。安心できる、いつでも受け止めてくれる、そういったみなさんの存在があってこそ、子どもたちは離れての生活することやお泊り保育のような体験ができます。安心できる存在があって初めて、少しずつ冒険できる(離れることができる)距離が広がっていきます。そんな大きな支えを感じながら、ぞう組さんと一緒に過ごしました。

今回のお泊り保育では、公共の交通機関(汽車とバス)を使って浜田の世界子ども美術館に行きました。実はその道中(汽車の中)で他の乗客の一人から「少し静かにするように」と注意を受けました。確かに子どもたちは多少の興奮もあり、少しにぎやかではありました(それをほっといたわけではありませんが)。その方は「大人になったときに困るから今言っておくけど」と言葉を添えて注意をしてくれました。この方の思いはとてもうれしいことでしたし、子どもたちにとっても貴重な体験をさせてもらったと思います。

私たちは、自己をきちんと発揮しながら、それと同時に自己中心的な考えではなく他の人への配慮ができることも大切です。「ありのままの私」でありながら「みんなの中の私」でもあることを、体験を通して伝えていきたいと思います。この「みんなの中の私」を体験する場は保育の中にももっと必要かもしれません。