2007年11月9日

No.19 意欲のはなし

全国学力調査とOECDのPISA(国際学力到達度調査)の結果に共通する日本の子ども達の問題として、考える力が落ちてきたことを先月このひとりごとで書きました。同時に、こども達が「主体的な活動」をしなくなり「学ぼうとする意欲」が低下してきているともいわれています。

なぜ日本の子ども達にこのような問題点があるのでしょうか。考えられるのは、物があふれてなんでも簡単に手に入るようになったことや、有難さを感じにくくなくなり、何とか手に入れたいと思う気持ちが薄れてきたこと。また、少子化で親がひとりの子どもにかけられる時間が増えたこと、それによって、子どもは待っていれば、または主張しなくても満足できる状態が得られるようになることなどがあるのではないでしょうか。

そういうことは保育所でもいえると思います。丁寧な保育は特に乳児期には必要ですが、過剰なかかわりや、大人が先回っていろいろと考えて欲しがるより先に与えてしまうことなどは、決して子どもの意欲を育てることにはなりません。また幼児期(3~6歳)では、大人が子ども達に一斉に何かをさせる、それで子ども達が何かが出来るようになることも確かにあります。しかし、子どもが受身になることによって、子どもの主体性や意欲が育ちにくいということも言えます。これらのことは、どの保育所でも見直しが必要になってきていると思います。子どもの「主体性」や「意欲」を育て伸ばすことこそ、今、保育所に求められている役割なのではないかと考えています。 フランスの保育園(0~2歳児のみ)の報告でこんな内容のものがありました。

「手を伸ばして何かを取ろうとして取れないときは、すっと近くに持っていってあげるということはするわけです。だけど、たぶんこの子は欲しいんだろうなと先回りして渡すことはしません。あくまでも、子どもが取ろうとする努力をしなければ手を出しません。してほしければ自分から言いなさい、主張しなさい、待っていても何もしてあげないわよっていうことを、結局は教えているわけです。」

0~2歳児だけでなく、全ての子どもに対しての大人の関わり方のヒントが詰まっていると思います。

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