ぱんだ組では6月の終わりから朝の集まりで、保育士が一方的に話すのではなく「友達の前で話し、そして友達の話を聞く」ことを意識した時間をもち始めました。まだ今は「今日は何を食べてきた?」といったことを話して聞く程度ですが、何故このようなことをするのか、それがどのような活動につながっていくのか、少し詳しく書いてみます。
今、全国の保育所、そして小学校や幼稚園でも「言葉の力」をどのようにつけていくかが課題となっています。これは、子どもたちがこれから特につけていかなればいけないと言われている力に「コミュニケーション能力」があり、この力が下がってきていることが背景にあります。その中で「聞く力」「話す力」が例に挙げられ、よくこれらの力が落ちてきていると言われています。
私たちも「言葉の力」を課題としていますが、例えば「聞く力」でいうと、保育士が前に立って「私の話をきちんと聞きなさい」と言い、そのように出来る力を「聞く力」だとは考えていません。必要なのはコミュニケーション能力の向上につながる「聞く力」です。ではどういう力かというと、「私の話を聞きなさい」ではなく、例えば保育士の話を聞くとしたら、聞いた後にある子が「僕はそのことはこう思うよ」と隣の子に言い、隣の子が「へー、そうなんだ 僕はこう思うんだけど」といったように、友達の考えを聞くことが出来る力です。また「話す力」は、保育士に話せるかどうかではなく、友達に自分の考えを言えることが「話す力」です。友達同士、特に年下の子に何かを伝えるとき、何とか伝えようと工夫しますし、なかなか伝わらなくてもどかしい思いをすることもあります。こうした体験が、コミュニケーション能力の向上のためにはとても大切です。
少子化が進み、子ども同士で考えを共有したりお互いに認め合うといった機会が少なくなっています。子どもたちが経験したことを、それを共有した人に伝えること。体験したことや自分の気持ちを自分なりの表現で伝え合うこと。そしてそのことを楽しむこと。これらが言語力・コミュニケーション能力の育成には大切で、3,4,5歳児には特にこれらを多く体験させるよう意識しています。ぱんだ組の今の取り組みはこういったことにつながっていき、これらの体験をより有意義なものにしてくれると考えています。
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