2008年6月27日

No.51 『紫色のリンゴ』の話から絵を描くことを考えてみました

「子どもがリンゴの絵を描いていて、紫色に塗ったとします。あなたはどう対応しますか?」

今日27日にO保育士が「絵」をテーマにした研修会に参加しています。数日前、研修会に参加する準備をしていたO保育士と子どもの絵についてあれこれと話していたときに、この『紫色のリンゴ』の話を思い出しました。以前、奥出雲町にある島根デザイン専門学校の校長先生とお話しする機会があり、そのときに校長先生が話された内容です。少し書いてみようと思います。

『もし紫色のリンゴを描いたとすれば「リンゴは赤でしょ?」と言うより「どうして紫色のリンゴを描いたの?」「あのね、今日朝ブルーベリージャムを食べてきたから」といった会話を楽しむ事にも大きな意味があると思いますね。絵を描くことは表現であり、表現とは思いを伝えるということ。自分の感じたことを絵で表わし伝えているわけだから、「ブルーベリージャムが美味しかったんだね」「他にはどんなものが好き?」などと話を広げることが、子どもの伝える力を豊かにしていくことにつながると思います。色は子どもの思うように使わせた方がいいと思いますよ。子どもの選んだ色を大人が変えさせることは、子どもに与える影響が大きいですから(やたらと黒ばかり…は注意が必要かも知れません)。リンゴを紫色で描くのをやめさせるなら、紫色(に見える)のリンゴが存在しないことを調べてからの方がいいでしょうね。もしかしたら腐りかけのリンゴが、ある角度から見ると一瞬紫色に見えたのかもしれませんよ。』

校長先生が言われるように、絵を描くことは「表現」活動です。筆の使い方や手先の扱い方など大切な要素はいろいろありますが、感じたことや考えたことを自分なりにどう表現するかが最も重要な点だと考えています。絵は出来の良し悪しやどんな色を使うかといったことに力点を置いてしまうと、途端に活動が難しくなります。そのためには、リンゴがどんな色や形をしているかは見たり触れたりする実体験で学んでいくこととし、とにかく「絵を描くこと」を楽しい活動にしなければいけません。子どもの表現した絵をそのまま受け止めることも大切なことかもしれませんし、一人ひとりが表現した絵から子どもの心をどう読み取り、次の表現にどうつなげていくかといったことも、大事にしたいと考えています。

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