2008年12月5日

No.73 赤ちゃんも子ども同士で関わる力を持っている

21年度の保育所入所申し込みが終わりました。毎年のことですが、入所申込期間中は問い合わせも多く、そのためいろいろな方とお話する機会があります。問い合わせ内容は手続きや入所条件のことが多いのですが、話をしているうちに、その方の子どもに対しての思いが伝わってきたりします。また、0歳児や1歳児の入所を検討しておられる方の中には、「子どもが小さいうちは親が面倒を見たほうがいいのでは・・・」と周りの人に言われて悩んでいる人もおられました。同じ悩みを抱えている方は一時保育を利用される方の中にもおられます。今回はこのことについて書いてみます。

子どもが小さいうちは大人との関わりが重要で、子ども同士の関わりの必要性は成長していくにつれて高くなっていくという考えが、まだまだ多いのではないかと思います。しかし最近の研究で、赤ちゃんも子ども同士で関わる力をもっているということが分かってきています。例えば、集団保育の場面で乳児がどのように他児と関わるかを観察して分かってきたことはこんなことです。

3ヶ月児では他児への、見る・発声する・さわるといった行動が見られ、4~5ヶ月児では保育者に抱かれたまま、他児に手をのばしたり、服をつかんだりという行動が見られるようになります。6ヶ月を過ぎると互いに見つめあって何らかの関わりをもとうとするしぐさを示すようになり、9ヶ月児になると、這って接近をしていったり、相手の発声に微笑んだり、物を介したやりとりをするようになるといいます。そして1歳前後になると物を介した関わりが多く出現し、「物の取りあい」も生じてきます。こうした行動は、多くの保護者も目にしてこられたのではないかと思います。

OECD(経済協力開発機構)が乳幼児教育の指針として出した基本のひとつに「ひとは、生まれた瞬間から教育される権利がある。」というものがあり、親との関わり以外の体験も重要視されるようになっています。すでに世界はこうした考えで動き出しています。ここでいう「教育」とは、子ども同士の関わりや大人の導きによって、持っている力を引き出すという意味です。生まれたときから持っている「子ども同士で関わる力」をしっかり発揮できる環境での体験は、どんな子どもにも必要だと私は考えています。親との関わりと同時に、子ども集団での経験の重要性も、もっともっと語られるようになければいけないのかもしれません。11月はこんなことをいろいろと考えさせられました。

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