2009年1月23日

No.79 後で伸びる力を大切にしたい

室内環境のことですが、遊びのゾーンを示す表示板に漢字を使うことにしました。「積み木ゾーン」「製作ゾーン」「絵本ゾーン」などです。ふりがなは当然ついています。これは子どもたちに漢字を覚えてもらおうというものではありません。漢字の持つ特徴を考えたとき、室内の表示の1つとして、漢字と触れ合うことがあってもいいのではないかという考えです。

漢字は象形文字の1つで、ものの形をかたどって描かれた文字です。ついでに言えば、カタカナはその漢字の一部を抜き出したもの、ひらがなは漢字の草書体から作ったものです。覚えていく順序は別として、字として何を表しているかは、もしかすると漢字の方が分かりやすいこともあるかもしれません。



  ⇒ 木 

 ⇒ 羊  

 ⇒ 鳥



話は少し変わって、保育所や幼稚園は幼児教育の場とされていますが、私たちは「早期教育」や「就学後教育の先取り」ではなく、『就学前教育』を大切にしています。例えば文字を書くということを考えると、その入り口は「線遊び」です。まっすぐな線、ゆらゆら線、ぐるぐる巻き、点々。自分の手を動かし思った通りに線をひけることが、文字を書くためには必要です。文字が書けるようになることより、遊びや生活の中でこうした力を確実につけていくことが、まずは大切です。

昨年の卒園式で卒園児にこんなことを話しました。
「小学校に行くと、いろいろな勉強が始まります。でも心配はいりません。たとえば国語という授業では字を習います。しかし、皆さんはいっぱい絵を描いたり、線を書いたりして遊んだと思います。ぐるぐると線を描くと、それが「の」という字になったり、「し」という字になったりします。それが字を書くということです。また、算数という勉強があります。みんなは毎日ごはんを食べるときに「いっぱい、すこし」とか「おおい、すくない」とか「1個、2個」とか、そんなことを言って、ごはんやおかずを盛り付けてもらっていました。それが算数です。保育所でやっていたことが、学校ではとても役に立ちます。」

学校で習うことを先にやることが役に立つのではなく、後で伸びる力をつけてあげることのほうが重要ですね。

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