2009年2月6日

No.81 様々な立場を体験する

先週書いた移行の件ですが、今その移行が順調に進んできています。順調とはいっても課題はいろいろあるわけですが、それでも子どもたちは新しい生活の中で今までとは違った姿を見せてくれています。きりん・くま・ぱんだ組の子どもたちはこれから少しずつ新しい関係を作っていくのですが、この関係性を違う国の小学校などの取り組みから考えてみたいと思います。

オランダには「イエナプラン教育」という教育の1つのスタイルがあり、この実践が日本でも注目され、研究が行われたりもしています。このイエナプラン教育の実践からはいろいろと学ぶところも多く、機会があれば取り上げてみたいのですが、ここでは学級編成の特徴に触れてみます。オランダのイエナプラン校の学級編成は、マルチエイジグループが基本です。通常3つの年齢のグループ(4-6歳児グループ、6-9歳児グループ、9-12歳児グループ)から構成されます。子どもたちは、3年間を同じ教室の同じグループリーダーの下で年少・年中・年長の三つの立場を経験しながらすごし、それを繰り返しながら小学校を卒業するわけです。つまり、一人の子どもは、低学年グループの年少・年中・年長を経て、中学年グループの年少・年中・年長を経て、再び高学年グループの年少・年中・年長を経験することができます。こうすることによって年齢差による立場の違いを体験できます。様々な立場を経験することで自分を見つめるようになります。これをイエナプラン教育では、将来社会に出たときに相手の立場を理解して行動するための準備、と考えています。

子どもだけでなく私たち大人も、自分の立場があります。この立場を超えて相手を理解するのは実に難しいことだと感じています。日常の中で起こるトラブルは、立場の違いによる考え方のぶつかり合いによるものがほとんどといってもいいのではないかと思っています。お互いの立場を理解するためには共感する力が必要です。そして、愛したり、反省したり、感謝したりすることは共感する力がないとできません。またそれが相手のよさを見出す力の源泉であり、相手を信頼する力になっていきます。今の世の中、この共感する力が薄れてきているのではないかと、私は感じています。話が大きくなりましたが、きりん・くま・ぱんだ組の新しい関係を通しての様々な立場の体験が、相手の立場を理解する大切な力の基礎になって欲しい、そんなことを思いながら子どもたちの関わりを見ています。

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