2009年2月27日

No.84 お集まりでの言葉遊びの意味

朝夕のお集まりのときに、しりとりや言葉遊びをすることがあります。例えば、その日に誕生日を迎えた子の名前を書いて、そこに使われている文字を使って子どもたちが違う言葉を作ったりします(「あいやまめぐみ」なら、「あめ」とか「あみ」とか)。これは、言葉がひとつひとつの音節から成っていることを、遊びの中で気づいていくという目的があります。「いぬ」は、「い」という音節と「ぬ」という音節が合わさった2音節の言葉、といった感じです。しりとりも、終わりの音節とはじめの音節を意識するのには格好な遊びです。このような遊びを生活の中に取り入れているのは、言葉を音節に分解してそれを文字に結び付けていくことが、文字を書くようになる前にできるようにならなければいけないからです。

江津東小学校の校長先生とお話をすることがよくあり、そのたびに保育所での保育のことを話したり小学校の考え方を聞かせてもらったりしています。その中でいつも校長先生が言われるのが「後伸びする力の重要性」についてです。早くできるようになることより、後で確実に身につくようになるための基礎の力が大事だということで、これは私も同じ考えです。例えば上に書いたように、文字を書く前に言葉の音節を分解できることが必要です。また、文字を書くためには自分の思い通りに鉛筆を動かさなければいけません。そのためには十分に絵を描いたり線遊びをしたりしておくことが大切です。そして、「あ」という字を見てそれと同じ形の字を書くためには、図形を見分ける力も必要です。そのためには間違い探しをしたり、「ミッケ」や「ウォーリーを探せ」のようなイメージしたものと同じ形を探したりする絵本での体験も意味があります。算数では、「同質の仲間を識別して選び出すこと」がスタートとしてとても大事です。おもちゃを片付ける場所には「○○の場所」「△△の場所」と分けて片付けるようにしてあり、子どもたちは毎日のように仲間を選び出す体験しています。また、「大きい小さい」「多い少ない」などの様々な大小の比較も算数では大切です。食事の際に「いっぱい、すこし」「おおい、すくない」と選ぶ体験や、砂場に穴を掘って「どっちが深い?」と比べることも、そこにつながります。

長々と書いてしまいましたが、保育所では当然個人差も大事にしながら、このような「後伸びする力」をつけるための体験を大事にします。1つずつ確実に、遊びや生活の中で楽しみながら体験することを、丁寧に支えていきます。

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