2010年11月12日

No.168 証城寺のたぬきばやしから考えること

「証 証 証城寺 証城寺の庭は つ つ 月夜だ みんな出て 来い来い来い おいらの友だちゃ ぽんぽこ ぽんの ぽん ・・・」
これは、みなさんもよくご存じの『証城寺のたぬきばやし』です。この歌は、次の話がもとになって作られています。

「ある秋の晩の事、何者かが寺の庭で大騒ぎしている。寝ていた和尚は目を覚まし外の様子に耳を凝らしてみると、それはお囃子のようであった。不思議に思いこっそり庭を覗くと庭の真ん中では大狸が腹を叩いてポンポコと調子を取り、それを囲むように何十匹もの狸が楽しそうに唄い踊っていた。その様子を見ていた和尚もつい楽しくなってしまい、自慢の三味線を持って思わず庭に出てしまう。そんな和尚を見て狸たちは「まだ驚かないのか!?」とばかりに、さらに大きく腹鼓を鳴らす。和尚も負けじと三味線で対抗し、まるで和尚と狸の音楽合戦である。それから毎晩、和尚と狸たちは唄い踊っていたのだが4日目の晩、狸たちが一向に現れないので和尚が不思議に思っていると翌朝、庭には調子を取っていた大狸が腹を破って死んでいた。不憫に思った和尚はその大狸を懇ろに弔ってやった。」という話です。

発表会まであと2週間となりました。発表会の取り組みを見ていて、ふとこの話を思い出すことがあります。楽器演奏でも、歌でも、踊りでも、とても楽しいものです。でも、楽しいものでも競争となると違ってきます。確かに競争することで、がんばる気持ちとかよいものにする意欲が湧くことがあります。それを否定はしません。でも競争は、結果的に周りが見えなくなってしまいます。この狸のように、体の調子が悪くなっていたり、心が壊れ始めていたりしていることに気づきにくくなります。そのことを楽しんだり、向上することの喜びから、ただ勝つことに心を奪われてしまうからです。

私は「発表会を通して何を子どもたちに伝えたいのか」と聞かれたら、「協力することの大切さ」とか「個々の違いを認めて強みを生かすことの大切さ」などと答えると思います。そして、「それが後回しになってしまうと、勝つこと、つまり、周りからの見た目を優先してしまうと、大切なものを失ってしまうと思う」とつけ加えるでしょうね。27日の発表会は、子どもが主体的に楽しんで取り組む行事です。どんな姿を見せてくれるか、楽しみにしていてください。

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