2011年の最初の日にある言葉に出会いました。それは『たいへんよくできなくてもいいんです』という言葉です。2010年新聞広告クリエーティブコンテストというものがあって、そこで最優秀賞に選ばれたのが、この言葉が書かれた『元気にさせるハンコ』です。この作品を作った武重浩介さんは、こんなコメントをされています。『「たいへんよくできました」というハンコ。それが象徴するようにたった一つの答えにたどりつくことが正解だと教えられて育ってきました。でも人生において正解を求めても幸せにはなれないんですよね。そもそも正解なんてないんですから。私たち一人ひとりが身近に元気になれる要素をもっているはず。そんな身近にある幸せに気づいて元気になってほしい。そんな思いをこめて制作しました。』
この作品を見ていていろいろ考えるのですが、例えば「 よくできる」という価値観はどこにあるんでしょうか。同じように、「よい子」というのもどのような子を指すんでしょうか。もしかすると、一方的に大人の都合に当てはめて、大人にとって都合がいいというのが「よくできる」ことや「よい子」の基準になっていることが多いのかもしれません。子どもの発達を考えると、子どもは動き回ることが好きでじっとしていることがないのが特徴です。探究心を持っていろんなものを触ろうとするし、じっと人の話を聞くよりも自分からいろいろと話したがるのも特徴です。でもこれらは大人にとって困る項目だったりしますよね。
また、 いまだに子どもたちは競争社会へと出て行かざるを得ないのが現状だったりします。競争が必要ないとは思いませんが、今行われている競争は、切磋琢磨して自己を高めるのではなく、相手を打ち負かすことを目指すことが多いことは問題なのではないでしょうか。今を精一杯生きている子どもに対して私たち大人が示すべきなのは、それぞれの特性を生かす社会をつくり、社会に対して貢献し、ともに協同して生きていく社会を目指す姿勢ではないかと思います。「たいへんよくできなくてもいいんです」という言葉は、子どもたちではなく、まず私たち大人がきちんと受け止めなければいけないと思っています。
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