2011年6月17日

No.198 Tくんの連絡帳の話

少し前の事ですが、連絡帳にこんな素敵なことが書かれていると職員から教えてもらい、読ませてもらいました。ぞう組のTくんの連絡帳の話です。

『いつも水筒のお茶は半分でいいと言っていますが、今日はお散歩に行くのでいっぱい入れといてとお願いされました。自分で調整しています。』

ここに書かれている内容は私たちが大事にしたいといつも思っていることなので、とてもうれしく読ませてもらいました。大人が活動に合わせてお茶の量を調整してあげることは簡単なことです。でもあえてそれをせず、Tくんが自分で考える場が用意されている、だからこそ散歩に行くときはどのくらい必要だろうか?と考えたんだろうと想像できます。お茶のことに限らず、子どもに降りかかりそうな問題を大人が代わりに解決してあげることはいくらでもできます。でも、問題を解決していく力をつけていくためには、まず子ども自身がその問題に向き合うことが必要です。そういう場を「困ったときにはいつでも助けてあげるからやってごらん」という見守りのもとで用意してあげることは、子どもたちの大きな力になると思います。

そしてTくんは考えた結果、「散歩に行くからお茶の量を増やしてほしい」ときちんと伝えています。このようなコミュニケーションの場が用意されていることも、いいなあと思います。自分の力でいろんなことができるようになるのも大事ではありますが、何でもかんでも一人でできるわけではありません。大人も同じで、誰かに頼まなければできないことはたくさんあります。人と協力し合って生きていくためには、「こんなことをして欲しい」とか「自分はこう考える」といったことを相手に伝えることはとても大事なことです。そのためにもそういう場面を多く経験し、そこでうまく伝わった、うまく伝わらなかったという体験を繰り返すことで学んで行く必要があります。このようなコミュニケーションの場を保障してあげることも大人の大事な役割だと思っています。

他者と力を合わせる社会の必要性を、震災後はより強く感じるようになりました。そのためにも関わりの中で生まれる問題を解決する力、お互いの思いを交わすコミュニケーションの力、他者の気持ちを共感する力など、ますます重要になってきます。そのための場を保護者のみなさんと一緒に丁寧につくっていきたい、そんなことを思わせてもらった連絡帳でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿