明日はいよいよ発表会。子どもたちの発表会に向けての気持ちもそれぞれに盛り上がってきているのを感じています。行事のたびに何度も書いていることですが、行事において子どもの成長を見るとき、当日に見える姿だけでなく、そこに至るまでの過程や、後日どのような行動につながっていくんだろうかといったことも想像しながら見てもらいたいと思っています。そんな思いからクラス便りなどで取り組みの様子や意図を発信してきました。もう一度読み返してみるとイメージしやすくなるかもしれません。
昨日3,4,5歳児クラスで発行された『発表会だより』にはこんなことが書かれていました。ダンスの紹介の文章です。
発表会で見て頂くダンスは夏祭りのオープニングでぞう組さんが踊った鳴子のダンス『ライジング』です。「え?また?」と思われるかもしれませんが、夏祭りの踊りの練習をしている時から「やりたーい!!」とくま組、きりん組さんが一緒に踊る姿がありました。そしてその子達に教えるぞう組さんの姿があったのです。発表会でのダンスもこの曲にしたら、きっとそういう姿が見られるだろうし、教えることでぞう組さんはまた「自分たちが引っ張っていかないと!!」という気持ちが生まれてくるのではないか?そんな意図があって同じ曲にしました。そして期待通り、子どもたちは教え合ったり、「もっとこうしたらよかった」と振り返ったり、並び順も自分たちで話し合って決めたりと、自分たちで作り上げてきました。本番でも「もっとこう!!」「そこじゃないよ!!」と思わず声が出てしまったり、心配そうに他の子の様子を見ている姿が見られるかもしれません。そんな姿にもご注目ください!!
ここで書かれているように、準備の段階から様々なやり取りが行われてきました。当日は音楽に合わせて思い切り体を動かす姿が中心ですが、自分の思いを伝えたり、友だちの意見を聞いたりといったことを経て共通のイメージを作り上げてきました。そんなことを思い浮かべながら見てもらうと、友だちとのちょっとした視線のやりとりの意味なんかも感じてもらえるんじゃないでしょうか。
そしてクラス毎の出し物では、3歳児までは保育士がステージに上がって共に進めていく形になっていますが、4歳児からは基本的に子どもたちだけで進めていくことになります。その中ではセリフや話す順番、立ち位置などを教え合ったりする姿も見られると思います。自分たちだけでステージに立ち、その場をなんとか調整できるようになるのは、上の子が自分たちで調整する様子を見て、自分たちも日々の生活の中でそれをやっているからです。発表会になると急にできるようになるわけではなく、それまでの様々な体験の積み重ねがあるからこその姿です。そのあたりにもご注目ください。
二十四節気
小雪…冬の到来が感じられる頃。
小雪(しょうせつ)とは、雪が降りはじめる頃。まだ、積もるほど降らないことから、小雪といわれたようです。お世話になった方に、感謝の気持ちを贈るお歳暮の準備をする期間でもあります。
七十二候
2015/11/23
初候 虹蔵不見(にじかくれてみえず)
曇り空が多くなる頃。陽射しが弱まり、虹を見ることが少なくなります。見ることができても、夏の空のようなくっきりとした虹ではなく、ぼんやりとすぐに消えてしまいます。
2015/11/27
次候 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)
冷たい北風が、木々の葉を落とす頃。朔風とは北風のことです。地面いっぱいに広がる落ち葉と、葉を落とした木々は冬の景色の象徴であり、季節の移り変わりが感じられます。
2015/12/02
末候 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)
橘の実が黄色くなっていく頃。橘とは柑橘のことで、古くから日本に自生していました。常緑植物であることから「永遠」を意味するとされ、不老不死の実だといわれていたようです。
「暦生活」より
発表会が迫っていますが、今回は発表会ではなくその先の小イベントについて。以前ここでもお知らせしました通り、昨年4月にあさり保育園へ立ち寄ってくださった田中陽希さんが12月に再び立ち寄ってくださるかもしれません。昨年は日本百名山ひと筆書きを踏破され、今年は日本2百名山ひと筆書きに挑戦されている陽希さん。NHKのBSプレミアムでもその旅の様子が放送されています。現在は蒜山を登り終えて四国に向けて移動中で、四国で3つの山を登られた後に三瓶山へ向かって来られます。私の勝手な予想では三瓶山登頂後は9号線を西に進まれると思うので、再びあさり保育園へ来てくださる可能性は高そうです。
そのことは以前から子どもたちにも伝えていたので、陽希さんが来られた時に何ができるかを子どもたちに話し合ってもらいました。こういうことを考えるのはみんな得意なんでしょうね。写真を撮る、発表会を見せてあげる、折り紙を折って渡す、お鍋を一緒に食べるなど、たくさんの意見が出てきました。興味深いのは「ロフトで休ませてあげよう」「寒い中を歩いてくるんだからあったかいお茶を飲ませてあげよう。」と言う子がいたり、「一緒に園庭で遊びたい」という意見に対し「陽希さんはずっと歩いて疲れてるんだから外で遊ぶのはかわいそう。体をマッサージしてあげよう。」という意見も出たりしていたことです。陽希さんの旅に関心を持ってきたからこそ、疲れている陽希さんのことを思いやった意見が出てきたんだと思います。
相手のことを考えて行動する。これは社会の中で生きていく上で大切なことですよね。ヒトは協力し助け合うことで種をつないできたと考えると、この力こそがヒトの特徴であるとも言えそうです。ではこの力は何もしなくても勝手に育つかというそんなことはなく、適切な環境がなければいけません。この適切な環境として、例えば保育園のような場は大事にしなければいけないと思っています。0歳の赤ちゃんからおじいちゃんやおばあちゃん、地域の方といった多様な他者と関わることができるのが保育園です。その多様な関わりの中で相手のことをじっと見て、真似してみて、相手の気持ちを推測するといったことを、これでもかっ!というくらい体験してほしいですね。陽希さんが来てくれるとして、そこで子どもたちからどのような言葉が出てくるか、どのような行動が見られるか、そしてその時の陽希さんの反応を見て何を感じるか。想像しただけでワクワクしてきます。12月4日が今から楽しみです。
二十四節気
立冬…この日から暦の上で冬。
立冬(りっとう)とは、冬がはじまる頃。木枯らしが吹き、木々の葉が落ち、はやいところでは初雪の知らせが聞こえてきます。真冬の寒さに備えて、冬の準備を始める「こたつ開き」の時期でもあります。
七十二候
2015/11/08
初候 山茶始開(つばきはじめてひらく)
読みは「つばき」ですが、山茶花が咲き始める頃。冬枯れの景色の中で、濃いピンク色の山茶花の花はよりいっそう目立ちながら、綺麗に咲きほこります。
2015/11/13
次候 地始凍(ちはじめてこおる)
冬の冷気のなかで、大地が凍りはじめる頃。朝は霜が降り、場所によっては霜柱がみられるところもあります。夜は冷え込みがいっそう厳しくなるので、部屋の窓の結露にも注意が必要です。
2015/11/18
末候 金盞香(きんせんかさく)
水仙の花が咲きはじめる頃。漢字やよみからは、金盞花を連想してしまいそうですが、水仙の花のことを表しています。水仙は上品な香りと、育てやすさから人気のある花です。
「暦生活」より
10月31日(土)に保護者講演会が行われ、21名の保護者が参加してくださいました。講師は東京都八王子市のせいがの森保育園園長、倉掛秀人先生です。以前から保育のことに関して相談にのっていただいている方で、いつか講演に来ていただきたいと思っていたので実現できたことをうれしく思っています。子どもが持っている力、特に赤ちゃんが持っている力を丁寧に説明してくださり、そこからどう子育てを楽しむかを優しく丁寧に話してくださいました。私もその話を聞かせてもらったので、その中で印象に残っていることを書かせてもらいます。
講演の中で「子どもがよく育つための親の役割」として、イギリスの小児科医ドナルド・ウッド・ウィニコットの言葉が紹介されました。その言葉は『ほどよい母親が最良の親である(good enough mother)』です。ほどよい母親とは「特別に優秀な育児能力や育児への強い熱意を持っている母親ではなく、子どもに自然な愛情と優しさを注ぎ一緒に過ごす時間を楽しむことが出来る、どこにでもいるような母親のこと」です。特別な能力がなくても最良の親になれるということは、全ての母親がよき母親になれるというわけですが、そこには条件が1つあるそうです。その条件とは『お父さんや祖父母のサポートが必要である。』とです。
人類は協力することで様々な環境の変化を乗り越えて子孫を残してきた存在です。私たちには他者と協力する遺伝子が備わっています。それは子育てにおいても例外ではありません。どの時代でも母親だけが子育てをするのではなく、家族や、時には近くにいる他人とも協力し合うのが人類の子育てだったわけですが、社会や地域の変化によってサポートが得られにくいケースが増えてきているようです。子育ては1人で抱え込むものではないということを家族だけでなく社会全体でも理解を深め、家族、保育園、地域が一緒になって大きなサポートの輪を作っていくことがますます大事になってくると思います。そしてそのサポートの輪は子どもの育ちにちゃんとつながっていくはずです。
倉掛先生は「認めてくれる大人がたくさんいるのは子どもにとって幸せなこと。だから保護者同士が仲良くつながってほしい。そして保育園が行っている保育を分かち合ってほしい。分かち合うことによって子どもの経験は豊かになり、子育てはもっと楽しくなる。」と話されました。もちろん大変なことはあるけれど、それも含めて楽しいと思える子育てをしてもらいたいというのがあさり保育園の思いです。保育園という場を通して、多くの人がつながった子育てが広がっていけばいいなあと思っています。