2015年11月6日
No.419 ほどよい母親が最良の親である
10月31日(土)に保護者講演会が行われ、21名の保護者が参加してくださいました。講師は東京都八王子市のせいがの森保育園園長、倉掛秀人先生です。以前から保育のことに関して相談にのっていただいている方で、いつか講演に来ていただきたいと思っていたので実現できたことをうれしく思っています。子どもが持っている力、特に赤ちゃんが持っている力を丁寧に説明してくださり、そこからどう子育てを楽しむかを優しく丁寧に話してくださいました。私もその話を聞かせてもらったので、その中で印象に残っていることを書かせてもらいます。
講演の中で「子どもがよく育つための親の役割」として、イギリスの小児科医ドナルド・ウッド・ウィニコットの言葉が紹介されました。その言葉は『ほどよい母親が最良の親である(good enough mother)』です。ほどよい母親とは「特別に優秀な育児能力や育児への強い熱意を持っている母親ではなく、子どもに自然な愛情と優しさを注ぎ一緒に過ごす時間を楽しむことが出来る、どこにでもいるような母親のこと」です。特別な能力がなくても最良の親になれるということは、全ての母親がよき母親になれるというわけですが、そこには条件が1つあるそうです。その条件とは『お父さんや祖父母のサポートが必要である。』とです。
人類は協力することで様々な環境の変化を乗り越えて子孫を残してきた存在です。私たちには他者と協力する遺伝子が備わっています。それは子育てにおいても例外ではありません。どの時代でも母親だけが子育てをするのではなく、家族や、時には近くにいる他人とも協力し合うのが人類の子育てだったわけですが、社会や地域の変化によってサポートが得られにくいケースが増えてきているようです。子育ては1人で抱え込むものではないということを家族だけでなく社会全体でも理解を深め、家族、保育園、地域が一緒になって大きなサポートの輪を作っていくことがますます大事になってくると思います。そしてそのサポートの輪は子どもの育ちにちゃんとつながっていくはずです。
倉掛先生は「認めてくれる大人がたくさんいるのは子どもにとって幸せなこと。だから保護者同士が仲良くつながってほしい。そして保育園が行っている保育を分かち合ってほしい。分かち合うことによって子どもの経験は豊かになり、子育てはもっと楽しくなる。」と話されました。もちろん大変なことはあるけれど、それも含めて楽しいと思える子育てをしてもらいたいというのがあさり保育園の思いです。保育園という場を通して、多くの人がつながった子育てが広がっていけばいいなあと思っています。
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