2017年6月9日

No.497 ビックリしたニュースの話から

今回はあるニュースの話から。ある国の大統領が、各国で協力して地球温暖化対策をとっていく協定から離脱すると表明したというニュースがありました。地球温暖化については「実は温暖化は起こっていない」という意見もあるややこしい話のようなので、これ以上は触れませんが、もしもそうだとしても私はとてもビックリしました。これを聞いて「主体性は大事だからA国の意思は尊重すべきだ」と考える人はまあいないんじゃないでしょうか。この話は例えば、「地域のゴミは自分たちで管理すべきだから、地域をキレイに保つために自治会で掃除をしよう」とゴミ拾いをしているところにやってきて、「そんな活動に協力していたら自分が大変になるだけ。オレには関係ない。」とゴミをばらまくような行為と言ってもいいと思います。いろんな事情はあるんでしょうが、この宣言はちょっと……です。

あさりこども園の保育について、「子どもの選択を尊重しているってことは、やりたいようにやることを何でも認めるってこと?」と聞かれることがたまにあります。子どもの主体的な活動を大事にしている、子どもの選択を尊重しているといった考えで保育を行っているので、そのように受け取られることがあるのかもしれません。こういう質問が出るたびに、私たちの説明が十分ではないことを反省しています。あさりこども園としては、もちろんやりたいことを何でも認めているわけではありません。最初に書いたニュースの話でいえば、そうした行為を「主体性は大事」「自分で選択したことだから尊重すべき」とは考えません。

自分だけで生きているのであれば、自分だけで全ての結果を引き受けて後処理も全てすることができるのであれば、何でもやりたいようにやるのも“あり”かもしれません。でも私たちは多くの他者と共に生活しています。その他者と同じ環境を共有して生きています。私たちの行動の与える影響は膨大で、その影響の全てを自分だけで責任を取ることはできません。そんなことは当たり前のことで、だからこそ他者と折り合いをつけながら行動を決める力をつけていく必要があると考えています。友達に迷惑をかけてしまわないか、ケガをさせてしまわないか、そんなことを考えた上で自分の行動を決められるようになっていくために、乳幼児期から友達と関わりながら、小さなぶつかり合いを通して相手の気持ちを察するといった体験を重ねることが大事です。体験しながら学んでいる真っ最中なので失敗することももちろんあるけど、他者と折り合いをつけた決定ができるようになってもらうために、友達のことに配慮した行動の選択の大切さを伝えながら「子どもの選択を尊重する」保育を行っているわけです。

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