2010年最初の「ひとりごと」です。園だよりにも書かせてもらいましたが、正月遊びについて、あらためて考えてみようと思います。昔から行われている正月遊びには、手先や脳、運動能力をつけると同時に遊ぶ中で社会を知るといった、子どもにとって大切な要素が詰まっています。その有益な知恵を、今の時代にも有益なものとして受け取る力をつけたいという思いで、個人的な見解も含めて整理してみます。凧揚げ・すごろく・かるた・羽根つき・コマ回し・福笑いなど様々な正月遊びがありますが、すごろく・かるた・コマ回しは以前取り上げたので、今回は凧揚げ・福笑いについて書いてみます。
まず凧揚げです。日本の凧とゲイラカイトを比較してみると、面白いことがわかります。勝手な解釈ですが、農耕民族の日本人と狩猟民族の欧米人では必要な力が違うため、それが凧の違いにも表れているように思います。狩猟民族は確実に獲物を仕留めるために速く走る力などが重要です。そのため欧米で主流のゲイラカイトは一人でも揚げることができますし、高く上げるためには速く走ることが必要になります。対して農耕民族である日本人は、村の人と協力しないと生きていくのは難しいので、少しずつ社会性を養なっていく必要がありました。そのため日本の凧は持ち手がいないと揚げることができません。そこで二人で協力することを学びます。もっと高く上げようとすると、速く走ることよりも、凧の反りやしっぽの長さを工夫しないといけません。この比較から、日本人は力強さよりも、協力することや工夫をすることを大切にしてきたとも言えると思います。
次に福笑いです。その出来上がりの顔が変なことを笑うのでよくないのではないかという意見もあるようですが、目・鼻・口・まゆ毛の位置や傾きで顔の表情が変わることを知るためにはよい教材だと思います。目隠しをしなくても、顔のパーツを自由に動かして表情を様々に変える体験をすることで、絵に描く人物に様々な表情をつけることを知っていくことができます。
正月遊びに限らず、昔からの子どもの遊びには成長のための意味があります。もしかすると最近の子どもの遊びは、成長のための学習ではなく、楽しさを追求した大人の遊びに近い役目を持ったものが多いのかもしれません。昔からの子どもの遊びの科学的な意味を整理する必要性を感じるようになりました。
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