前回はクッキング活動について書きました。この活動は、大人がすることを子どもにやってもらうということで、「お手伝い」という意味もあります。保育所では様々な「お手伝い」がありますが、今回はこのことについて書いてみます。保育所で子どもたちにお手伝いをしてもらうのには、大きく2つの目的があると思っています。1つは、他人の代わりをしたり、他人を手助けしたりと、そこから他者や集団に貢献する心を育んでもらいたいということがあります。この場で何度も書いていることですが、様々な人と社会を作っていくために、共生と貢献の考え方を大切にしてもらいたいからです。
そしてもう1つ、手伝うそれぞれの行動には、子どもたちの育ちに大切な要素が含まれているということです。例えば食後の掃除の手伝いでの「雑巾がけ」は、転んだときにパッと手をついて頭を守るための大事な練習でもあります。例えば小さい子のお世話をする「りす・うさぎ組当番」などの活動は、相手の思いを何とかして理解しようとしたり、様々な方法で自分の思いを伝えようとしたりするなど、コミュニケーションの力をつける大切な活動でもあります。また、回数は少ないですが、子どもたちがクッキングをするときなどに、その材料の買い物に行くこともあります。アニメのドラえもんやサザエさんなどでもよく登場するこの「おつかい」には、買うものを覚えて行くこと、お店でその素材のよしあしを見分けること、買うものを注文すること、時には値段の交渉をすること、お金のやりとりをすることなど、生活に必要な様々なことが含まれています。
こうした手伝いは、子どもがすることでかえって大人にとっては手間が増えたりもするのですが、子どもにとってはとても大事な体験です。でも家庭では、雑巾がけをする機会は減っているでしょうし、少子化のために小さな子のお世話をしたりする機会は、子どもが多かった頃と比べると明らかに減ってきていると思います。また、おつかいは、車が増えたことや不審者の危険などもあるため、気軽に頼める環境ではないかもしれません。そんなこともあり、保育所ではできるだけお手伝いの体験をするようにしています。様々な手伝いの体験がままごとなどの遊びを更に豊かにしますし、必要な力をつけていくことにもつながっていきます。子どもたちがお手伝いの体験から学ぶ場を保障することも、私たちの大事な役目だと思っています。
2010年4月30日
2010年4月23日
No.140 クッキング活動について
4月のうちに、できるだけ今年度の活動の思いを伝えておかなければということで、今回はクッキング活動のことについて書くことにします。後日調理担当者からもお知らせがあると思いますが、今年度はクッキング活動を例年の倍以上に増やす計画にしています。といっても特別な料理を作るわけではありません。味噌汁作り、カレー作り、おにぎり作りを毎月それぞれ1回ずつ、それ以外にサンマを焼いたり芋汁を作ったりという季節のクッキングを数回行うといった計画です。
クッキング活動は、実際に食材を扱うことで食べ物に対しての関心が深まります。それだけでなく、子どもたちにとっては大人と同じことをしている喜びを味わうこともできる楽しい活動です。なにより、水で洗ったり、ちぎったり、こねたり、丸めたり、切ったりといった作業の一つ一つは、遊びと同じ作業が入っているため、料理は子どもにとって最高の遊びともいえます。しかも、これほど目的がはっきりしていて、結果が明確に表れる体験は他にありません。また、料理をすることによって生活上必要な技術が身につきますし、手や脳など身体的な発育にもよい影響があります。クッキング活動には、幼児期における子どもの発達に関する様々な要素がたくさん含まれています。
そんな様々な要素の中で今年度特に重視したいと考えていることは、“生活上必要な技術を身につける”という部分です。具体的に言えば「調理をするための包丁の使い方と火の扱い方」を体験から学ぶ、といったことです。それぞれの危険性を知り、その上で正しい使い方をすればどれだけ活動の幅が広がるかを子どもたちが実感できる、そんな活動にしたいと考えています。子どもの自立を考えたとき、「子どもが自分の力で生きていくスキルを学ばせる」ことが大切になります。子ども自身が危険回避能力を高め、子どもが自ら考え、様々な場面に対してどう対応すればいいかの答えを見つけていけるようにならなければいけません。そのために、子ども一人ひとりの発達を見極め、自分でできるところは手出しをせず、求めてきたときにはすぐに手を差し出すことのできる見守りの中で、この活動を行っていきます。そうやって子どもたちの「生きる力」を育んでいきたいと思っています。そんな思いを保護者の皆さんとともに持ち、体験から学ぶ場として、この活動を充実させていきたいと考えています。
クッキング活動は、実際に食材を扱うことで食べ物に対しての関心が深まります。それだけでなく、子どもたちにとっては大人と同じことをしている喜びを味わうこともできる楽しい活動です。なにより、水で洗ったり、ちぎったり、こねたり、丸めたり、切ったりといった作業の一つ一つは、遊びと同じ作業が入っているため、料理は子どもにとって最高の遊びともいえます。しかも、これほど目的がはっきりしていて、結果が明確に表れる体験は他にありません。また、料理をすることによって生活上必要な技術が身につきますし、手や脳など身体的な発育にもよい影響があります。クッキング活動には、幼児期における子どもの発達に関する様々な要素がたくさん含まれています。
そんな様々な要素の中で今年度特に重視したいと考えていることは、“生活上必要な技術を身につける”という部分です。具体的に言えば「調理をするための包丁の使い方と火の扱い方」を体験から学ぶ、といったことです。それぞれの危険性を知り、その上で正しい使い方をすればどれだけ活動の幅が広がるかを子どもたちが実感できる、そんな活動にしたいと考えています。子どもの自立を考えたとき、「子どもが自分の力で生きていくスキルを学ばせる」ことが大切になります。子ども自身が危険回避能力を高め、子どもが自ら考え、様々な場面に対してどう対応すればいいかの答えを見つけていけるようにならなければいけません。そのために、子ども一人ひとりの発達を見極め、自分でできるところは手出しをせず、求めてきたときにはすぐに手を差し出すことのできる見守りの中で、この活動を行っていきます。そうやって子どもたちの「生きる力」を育んでいきたいと思っています。そんな思いを保護者の皆さんとともに持ち、体験から学ぶ場として、この活動を充実させていきたいと考えています。
2010年4月16日
No.139 22年度のテーマは
あさり保育所の昨年度の1年間のテーマは『自然』でした。子どもたちの発達を『自然』というテーマによる興味や関心の切り口から促していこうということで、様々な活動や行事を行いました。この取り組み方法は今年度も続けることになり、何度も話し合いを重ねた結果、22年度のテーマは『自分たちの住んでいるところを知る』に決定しました。
このテーマにした理由は、子どもたちに所属感を持ってもらいたいという思いがあるからです。自分は日本人で島根県に住んでいてあさり保育所の一員といったように所属感を感じることは、子どもたちの情緒の安定には欠かせないことです。自分の足元をきちんと固めることは、自発的な活動の支えになります。所属感をきちんと持つことによって、自尊感情を持ち、世の中に貢献できる人材となることにつながります。室内環境に“和”の装飾を増やしているのも所属感を持てるようにという理由ですが、それだけでなく、今年度は自分たちの住んでいるところを知ることにも取り組もうというわけです。「自分たちの住んでいるところ」の捉え方としては、主な活動場所となると保育所のある浅利町が中心にはなりますが、場合によっては江津市、島根県、中国地方、日本など、広く捉えることもあるかもしれません。
そんな思いでスタートし、さっそく小さな動きが始まっています。
①地域を知るためには、地域の人のことも知らなければいけません。地域を軸とした活動を行っていくためには、地域の人ともつながっていなければいけません。今までもいろんなつながりはあったのですが、それを更に深めていくために、地域の人との定期的な情報交換の場を持つことにし、その第1回目を先日行いました。その方たちとお話をしている中で、今まで知らなかった浅利町の地名などを知りました。例えば「猫坂」「菖蒲迫」「岡の福冨社」などです。それらがどこにあるか、みなさん知っていますか?
②浅利町のOさんに「畑アドバイザー」として野菜の栽培などを指導してもらうことになりました。Oさん以外にも様々な場面でいろんな方に関わっていただき、この地で育まれた知恵を学ばせてもらいたいと思っています。
他にもあるのですが書ききれなくなってしまったので、またの機会に少しずつ報告していきます。今後このテーマが活動にどんな変化を生み出していくか、みなさんも意識して見てもらえればと思っています。
このテーマにした理由は、子どもたちに所属感を持ってもらいたいという思いがあるからです。自分は日本人で島根県に住んでいてあさり保育所の一員といったように所属感を感じることは、子どもたちの情緒の安定には欠かせないことです。自分の足元をきちんと固めることは、自発的な活動の支えになります。所属感をきちんと持つことによって、自尊感情を持ち、世の中に貢献できる人材となることにつながります。室内環境に“和”の装飾を増やしているのも所属感を持てるようにという理由ですが、それだけでなく、今年度は自分たちの住んでいるところを知ることにも取り組もうというわけです。「自分たちの住んでいるところ」の捉え方としては、主な活動場所となると保育所のある浅利町が中心にはなりますが、場合によっては江津市、島根県、中国地方、日本など、広く捉えることもあるかもしれません。
そんな思いでスタートし、さっそく小さな動きが始まっています。
①地域を知るためには、地域の人のことも知らなければいけません。地域を軸とした活動を行っていくためには、地域の人ともつながっていなければいけません。今までもいろんなつながりはあったのですが、それを更に深めていくために、地域の人との定期的な情報交換の場を持つことにし、その第1回目を先日行いました。その方たちとお話をしている中で、今まで知らなかった浅利町の地名などを知りました。例えば「猫坂」「菖蒲迫」「岡の福冨社」などです。それらがどこにあるか、みなさん知っていますか?
②浅利町のOさんに「畑アドバイザー」として野菜の栽培などを指導してもらうことになりました。Oさん以外にも様々な場面でいろんな方に関わっていただき、この地で育まれた知恵を学ばせてもらいたいと思っています。
他にもあるのですが書ききれなくなってしまったので、またの機会に少しずつ報告していきます。今後このテーマが活動にどんな変化を生み出していくか、みなさんも意識して見てもらえればと思っています。
2010年4月9日
No.138 役割の交代
新年度になって1週間が過ぎました。毎年この時期楽しみにしているのが、年長児の「役割の交代」による活躍です。昨年度の年長の子どもたちの卒園を待ちわびていたように、今年の年長児がリーダーシップを発揮し始めます。布団敷きや小さい子のお世話など、一見「大変な役割」に思えることを、保育所ではお兄ちゃんやお姉ちゃん達がまず進んでその役割を引き受けてくれます。「憧れの年長クラス」になれたことを誇りに思っているのを感じます。
子どもの様々な遊びには「役割の交代」があります。例えば鬼ごっこでも鬼につかまれば鬼を交代しなければならないし、長縄跳びなんかでも縄を回す係を時々交代しなければ面白くありません。更にその「役割の交代」は自発的なもので、「さっきから◯◯ちゃんが縄を回しているから今度は私が回すね」と自発的に役割を交代し合うことが出来る関係が、子どもの集団を支えていくことになります。時には「◯◯ちゃんはまだ小さいから、飛ぶだけでいいよ」と、思いやりで役割を免除してあげることも大事な点です。そしてその「小さい子」も大きくなれば役割を引き受け、小さい子に対しては「飛ぶだけでいいよ」とその子の分まで役割を引き受けることにつながっていきます。そうした役割を保育士が引き受けることは簡単ですし、それで遊びも成立するでしょうが、本当の意味での子ども集団の遊びとは言えません。やはり子ども集団の遊びは、子どもたち自身がそれぞれの役割を引き受けて・・・でなければいけません。
子どもの世界に限らず、大人の世界にも当然あるこうした「役割の交代」は、集団や社会を形成する上でとても重要なことですが、この「役割」の重要性の認識が薄くなり、役割を引き受けると「損をする」という考えが多くなってきているような気がします。子ども時代から集団での経験をする機会が減ってきていることも、関係していると思っています。「役割」の重要性を感じ、「役割の交代」が自発的に起きる場を用意することは、今の時代の保育所の大切な役目です。集団あそびや、役割のあるごっこ遊びなどが、これからどのように行われていくか、注目して見ていくことにします。
先週の保護者会総会では、一部のクラスで役員の定員数を超える立候補がありました。保護者会役員という「役割」を、「今度は自分たちが!」と積極的に捉えてもらっていることを嬉しく思います。そんな「役割の交代」が行われる保護者会に頼もしさを感じました。ありがとうございます。
子どもの様々な遊びには「役割の交代」があります。例えば鬼ごっこでも鬼につかまれば鬼を交代しなければならないし、長縄跳びなんかでも縄を回す係を時々交代しなければ面白くありません。更にその「役割の交代」は自発的なもので、「さっきから◯◯ちゃんが縄を回しているから今度は私が回すね」と自発的に役割を交代し合うことが出来る関係が、子どもの集団を支えていくことになります。時には「◯◯ちゃんはまだ小さいから、飛ぶだけでいいよ」と、思いやりで役割を免除してあげることも大事な点です。そしてその「小さい子」も大きくなれば役割を引き受け、小さい子に対しては「飛ぶだけでいいよ」とその子の分まで役割を引き受けることにつながっていきます。そうした役割を保育士が引き受けることは簡単ですし、それで遊びも成立するでしょうが、本当の意味での子ども集団の遊びとは言えません。やはり子ども集団の遊びは、子どもたち自身がそれぞれの役割を引き受けて・・・でなければいけません。
子どもの世界に限らず、大人の世界にも当然あるこうした「役割の交代」は、集団や社会を形成する上でとても重要なことですが、この「役割」の重要性の認識が薄くなり、役割を引き受けると「損をする」という考えが多くなってきているような気がします。子ども時代から集団での経験をする機会が減ってきていることも、関係していると思っています。「役割」の重要性を感じ、「役割の交代」が自発的に起きる場を用意することは、今の時代の保育所の大切な役目です。集団あそびや、役割のあるごっこ遊びなどが、これからどのように行われていくか、注目して見ていくことにします。
先週の保護者会総会では、一部のクラスで役員の定員数を超える立候補がありました。保護者会役員という「役割」を、「今度は自分たちが!」と積極的に捉えてもらっていることを嬉しく思います。そんな「役割の交代」が行われる保護者会に頼もしさを感じました。ありがとうございます。
2010年4月2日
No.137 22年度のスタート
昨日進級・入園式を終え、平成22年度がスタートしました。今年度は12名の新入児を迎え、67名でのスタートです。5月以降には6名が加わり、最終的には73名になる予定です。この73名の子どもたちがこれからの人生に向けて力強く確かな一歩を踏み出せるように、様々な人間関係の中で様々な体験を通して、必要な力をつけていくお手伝いをさせてもらおうと思っています。よろしくお願いします。
園だよりの中でもお知らせしていますが、今年度の新たな行事、3月5日(土)の「成長展」について、ここでも紹介させてもらいます。あさり保育所の行事は、「保育を深める」「保育・発達を保護者へ伝える」「親子の触れ合いと遊びの提案」「文化継承・地域理解」の4つのねらいを持って行っています。成長展は、その4つのねらいの中の「保育・発達を保護者へ伝える」「親子の触れ合いと遊びの提案」に位置づけています。子どもの発達については、身長や体重の変化だけでなく、健康・人間関係・環境・言葉・表現などの切り口からできるだけ目に見える形で子どもの育ちをお伝えしようと思っています。親子の触れ合いについては、クイズ形式を取り入れ、子どもの成長を楽しみながら感じていただけるような方法を考えています。
例えば絵などで「表現の発達」を伝えようとしたとき、見栄えのよい?作品を子どもに描かせたり、大人の思うとおりの作品になりにくい小さい年齢の子の作品を、いかにも作品のように見せる工夫をしたりといったことは、本当の意味で発達を伝えることにはならないと考えます。かといって、子どもが自由に描いた絵を見せ、「これが今の子どものありのままの姿です」というのも、間違いではないけれど少し何かが足りないと思っています。子どもの成長は点ではなく線で見て、そこにある成長のプロセスを感じることが大切です。「今、何が描けるかということでなく、どのように描けるようになったか」ということを大事にしたいというのが私たちの思いです。先日の事ですが、O保育士が「21年度の子どもの作品を整理していて、1年間で子どもの絵が大きく変化していることがあらためて分かり、感動した」と話していました。そのような気持ちをみなさんと共有できるような、そんな行事にしたいと思っています。もっと詳しいことは、成長展が近くなってからお知らせすることとします。
園だよりの中でもお知らせしていますが、今年度の新たな行事、3月5日(土)の「成長展」について、ここでも紹介させてもらいます。あさり保育所の行事は、「保育を深める」「保育・発達を保護者へ伝える」「親子の触れ合いと遊びの提案」「文化継承・地域理解」の4つのねらいを持って行っています。成長展は、その4つのねらいの中の「保育・発達を保護者へ伝える」「親子の触れ合いと遊びの提案」に位置づけています。子どもの発達については、身長や体重の変化だけでなく、健康・人間関係・環境・言葉・表現などの切り口からできるだけ目に見える形で子どもの育ちをお伝えしようと思っています。親子の触れ合いについては、クイズ形式を取り入れ、子どもの成長を楽しみながら感じていただけるような方法を考えています。
例えば絵などで「表現の発達」を伝えようとしたとき、見栄えのよい?作品を子どもに描かせたり、大人の思うとおりの作品になりにくい小さい年齢の子の作品を、いかにも作品のように見せる工夫をしたりといったことは、本当の意味で発達を伝えることにはならないと考えます。かといって、子どもが自由に描いた絵を見せ、「これが今の子どものありのままの姿です」というのも、間違いではないけれど少し何かが足りないと思っています。子どもの成長は点ではなく線で見て、そこにある成長のプロセスを感じることが大切です。「今、何が描けるかということでなく、どのように描けるようになったか」ということを大事にしたいというのが私たちの思いです。先日の事ですが、O保育士が「21年度の子どもの作品を整理していて、1年間で子どもの絵が大きく変化していることがあらためて分かり、感動した」と話していました。そのような気持ちをみなさんと共有できるような、そんな行事にしたいと思っています。もっと詳しいことは、成長展が近くなってからお知らせすることとします。
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