前回はクッキング活動について書きました。この活動は、大人がすることを子どもにやってもらうということで、「お手伝い」という意味もあります。保育所では様々な「お手伝い」がありますが、今回はこのことについて書いてみます。保育所で子どもたちにお手伝いをしてもらうのには、大きく2つの目的があると思っています。1つは、他人の代わりをしたり、他人を手助けしたりと、そこから他者や集団に貢献する心を育んでもらいたいということがあります。この場で何度も書いていることですが、様々な人と社会を作っていくために、共生と貢献の考え方を大切にしてもらいたいからです。
そしてもう1つ、手伝うそれぞれの行動には、子どもたちの育ちに大切な要素が含まれているということです。例えば食後の掃除の手伝いでの「雑巾がけ」は、転んだときにパッと手をついて頭を守るための大事な練習でもあります。例えば小さい子のお世話をする「りす・うさぎ組当番」などの活動は、相手の思いを何とかして理解しようとしたり、様々な方法で自分の思いを伝えようとしたりするなど、コミュニケーションの力をつける大切な活動でもあります。また、回数は少ないですが、子どもたちがクッキングをするときなどに、その材料の買い物に行くこともあります。アニメのドラえもんやサザエさんなどでもよく登場するこの「おつかい」には、買うものを覚えて行くこと、お店でその素材のよしあしを見分けること、買うものを注文すること、時には値段の交渉をすること、お金のやりとりをすることなど、生活に必要な様々なことが含まれています。
こうした手伝いは、子どもがすることでかえって大人にとっては手間が増えたりもするのですが、子どもにとってはとても大事な体験です。でも家庭では、雑巾がけをする機会は減っているでしょうし、少子化のために小さな子のお世話をしたりする機会は、子どもが多かった頃と比べると明らかに減ってきていると思います。また、おつかいは、車が増えたことや不審者の危険などもあるため、気軽に頼める環境ではないかもしれません。そんなこともあり、保育所ではできるだけお手伝いの体験をするようにしています。様々な手伝いの体験がままごとなどの遊びを更に豊かにしますし、必要な力をつけていくことにもつながっていきます。子どもたちがお手伝いの体験から学ぶ場を保障することも、私たちの大事な役目だと思っています。
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