2010年5月7日

No.142 来週は保護者講演会があります

以前、読売新聞の記事の中で、フィンランドに留学した北海道教育大教授の庄井良信さんが、その体験を話しておられました。『1990年代の終わりごろ、フィンランドに留学した。現地で思い出すのは、保育園で行われていた昔語りだ。テンションを上げる必要はない。話は静かに始まり、子供たちも静かに集まって車座になる。各家庭でも、子供が思春期になるまで、ベッドサイドで親が読み語りをするのが普通だ。この国では、物語を語る人と聞く人との間に、私たちが忘れかけていた原風景がある。人が語る言葉にはそれぞれに人生の重みがある。語り合うことで、人と人との知恵が重なり、新しい物を生み出す力が発揮される。これが、教育大国フィンランドの社会的土台にある、人と人とのコラボレーション(協働)だと、私は考えている。』

フィンランドと言えば、学力調査で世界一の学力と評価されてから、世界中から視察やフィンランドの教育方法を研究する人が増えている国です。記事にあるようにフィンランドでは、子どもと親が、子どもと教師が、そして子どもたち同士が対話し、「ともに学び合う」ことをとても大切にしているそうです。そして、フィンランドの子どもは、競争で人に勝つといったことに余計なエネルギーを使いません。「3か月前と比べてここは伸びてきた」「ここは持ち味だから頑張ろう」「ここは苦手だけど先生が応援してくれるから頑張ろう」。それぞれが自分の人生を豊かにするために学んでいるのです。

来週の土曜日に行われる保護者講演会の講師、藤森平司さんはこんなことを言っておられます。『人の遺伝子は社会を形成するために様々なものが組み込まれている気がしています。それは、現在人間が持っている特性を見ても、集団を形成することに適しています。そして、その集団は競うためにあるのではなく、共生し、協力するために必要だったはずです。しかし、いつの間にか競争社会と言われ、人に勝つこと、人より抜きんでることが目標になり、そうなることによって一つの価値観での競争になっていっています。様々な人がいるからこその社会のはずが、同じようなことを全員一斉にやり、その中で競争させられています。もう一度、それぞれの役割の中で、協力したり、協働していく社会をつくらないといけない気がします。』

私たちはどんな価値観をもって目の前の子どもと向き合うべきなのか。土曜日の講演会で、みなさんと一緒に学びたいと思います。

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