2010年9月3日

No.158 食事の話

今週の火曜日、「いろいろな調理方法で野菜を食べてみよう」という取り組みが行われました。使用した食材は保育所の畑で収穫した大葉、かぼちゃ、ナスです。大葉は天ぷらだけでしたが、かぼちゃは焼いたり天ぷらにしたり、ナスは塩もみしたり焼きナスにしたり天ぷらにしたりと、様々な調理方法で食材の味を楽しみました。クッキングなどもそうですが、こうした取り組みは「調理室側からの保育」とも言えます。

今回の取り組みは、いつもと違った形で野菜と出会い、そのものだけを集中して味わってみるというものです。ポイントは「食べる」ではなく「味わう」というところです。「味わう」ことで子どもたちが何を感じ、どのような言葉で表現するかが大事なところです。そのことについては子どもたちからも話があったのではないでしょうか。食べるという行為は、「味覚、触覚、嗅覚、聴覚、視覚」と五感全てを活用する活動です。子どもの育ちを支える上で、この活動を充実させない手はありません。味噌汁クッキングで繊細な出汁の味を味わうことや、先で行われる予定になっている魚をさばく様子を目の前で見ることなども、子どもたちの五感を刺激するためにとても大事な活動です。

また、先週も少し取り上げた「食育」という言葉を考えてみると、最近取り上げられる「食育」は栄養指導や料理活動、栽培活動での事例が多く、どれも食材に焦点が当たっていますが、誰と食べるかということに触れられることはあまり多くありません。最近、食事をみんなで一緒に食べることによる社会的認知的発達や、自己と他者理解に効果があるのではないかということが発表されています。みんなで一緒に食べることで食欲が増すということは以前から知られています。それだけでなく、他の人と食べることで味覚が変わることも最近の研究でわかってきています。もっと言えば、たくさん食べようとする意欲が生まれたり、好き嫌いがなくなったりするのは、みんなで食べることによるということが分かってきているのです。そういう意味では、少子社会の今、保育所のように子ども集団による食事は大事にしなければいけません。

繰り返しになりますが、子ども成長にとって食事はとても大切です。栄養・調理・栽培以外にも、五感を使うことやみんなで食事をすることの意味を、もっと深く検証して具体的な活動につなげていかなければと思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿