昨年初めて取り組んだ年長児が対象の「科学遊び」の活動が、今年も9月からスタートしました。第1回目は、水を入れたコップの中に油を入れるとどうなるか?そこにインクを垂らすとどう変化していくか?といった内容です。別に「油には水になじみやすい親水基がなく、水のように分極もしていないため・・・」なんてことを教えるつもりはありません。ただ、その現象を見ていて、「うわー、おもしろい!」とか「不思議だなぁ」とか「どうなってるんだろう?」などと感じてもらえればそれで十分です。私たちが大切にしたいのは、知識ではなく、「知りたい」と思う気持ち、好奇心・探求心だからです。
探求心について、こんな風に考えます。例えば、今年行われたサッカーのワールドカップで、日本はグループリーグの最終戦であるデンマークとの試合に勝利し、決勝トーナメントに進出しました。このときデンマークがどこにあるのか、どんな特徴を持った国なのか、知らない日本人が多かったようです。で、国際化社会のこの時代にそれではよくないだろうということで、「デンマークについて教える機会があってもいいのでは」という話になるのがよくあるパターンです。でも、これってちょっと違いますよね。というのも、たとえデンマークについて教えてもらう機会があって覚えたとしても、今度は決勝トーナメントで対戦したパラグアイのことがわかりません。じゃあ今度はパラグアイのことも教えなければいけない、最後には全ての国のことを教えなければいけないといった風に教えることばかり増えていき、子どもも覚えることばかり増えていきます。
教えることにも限界はありますし、覚えられる量にも限界はあります。そうではなくて、「日本が対戦するデンマークってどんな国だろう?」と興味を持ち、「ちょっと調べてみよう」と思えるようにしていかなければいけないんだと思います。そのように考えること、調べようとする行動力こそ、探求心です。8歳くらいまでは、知識を覚え込ませるのではなく、「不思議だな」「どうなってるんだろう」と感じる体験をできるだけ多くしておくことが、探求心を高めるためには重要なことで、それが後に知識をどん欲に吸収する基礎となります。世界の教育は、そのような方向にどんどん変化してきています。不思議だなと感じる心、どうなってるんだろうと知りたくなる気持ち、調べてみようとする行動力。それらの高まりを丁寧に支えていくのも、私たちの大事な役目です。
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