2010年10月22日

No.165 お昼寝前の出来事

今週火曜日の、お昼寝前の出来事です。ぞう・きりん・くま組さんはお昼寝前に紙芝居をみんなで見る時間があります。何を読むかを決めるのはぞう組さんの役目で、決まったら保育者が子どもたちに読んであげるという内容です。ところがその日は少し違っていました。紙芝居を選んでいたぞう組のYくんが、「今日はボクがみんなに読んであげたい」と言ってきたそうです。その申し出をうれしく思ったK保育士はYくんに任せることにしました。Yくんはみんなに紙芝居を読んであげながら、周りで紙芝居と関係なく騒いでいる子がいると注意したりと、見事にその役目を果たしてくれました。大人の出番は全くありませんでしたし、周りの子もYくんのその日の役割をきちんと受け入れて、集中して聞いていたのも印象的でした。

私たちが大事にしていることの1つに、子ども同士の関わりをどう生み出すか、ということがあります。子ども同士の関わりといっても、みんなが一緒に遊ぶということだけでなく、役割をもって関わり合うということが重要だと考えています。例えば今回のYくんのように、紙芝居を読める子がみんなに読んであげる役にまわることがあります。紙芝居を読んで聞かせる目的が、日本語の正しい発音を伝えることにあるような場合は大人が読むべきでしょうが、そうではない場合は、子どもたちの関わり合いの時間なることにも意味があると考えています。

これからの世界の保育の課題に、先生から子どもへのトップダウン式に教えることではなく、水平方向、つまり子ども同士の関係をどう作り出していくかということがあります。子ども同士の関係の中で、「自分のすべきことと他人にやってもらうことがわかる」「集団の中での自分の役割がわかる」といったことが大事になってきます。つまりこれは“社会”を知っていくことでもあります。子ども同士の関係の中で自分の役割を見つけていく体験を通して、「社会はいろんな人がいろんな役割をもって成り立っている」ことを感じてもらいたいと思っています。


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