2011年5月6日

No.192 創造力や探求心を育む環境

森の幼稚園というものをご存じでしょうか。雨の日も雪の日も森に集まり、森の中で移動しながら保育活動を行う幼稚園全体を指すものです。さらに、森の幼稚園には2種類あって、園舎などの施設を持たずに森の中だけで活動している園と、園舎を持ちながら屋外活動の一環として森での保育を行うところがあります。この森の幼稚園は1950年代半ばにデンマークで始まった取り組みで、今ではヨーロッパだけでなく、日本でもその活動は広く行われています。このことについて、ある職員とあれこれ話をしていて考えることがありました。

当然のことながら、森の幼稚園では自然の環境が遊び場です。季節に準じたプロジェクト教育のカリキュラムも充実していて、昆虫、草花、木々や動物の変化を観察します。そして、温暖な季節や天候の日だけではなくて、当然、雪の日も雨風の日もあり、ブトや蚊からどのように身を守り順応していくか、また、そのような厳しい環境の下に身を置くことで、体をとおして自然への畏敬の念を学ぶようです。そんな風に自然から多くのことを学べることはすばらしいことだと思います。

そして既製のおもちゃのない環境でいかに創造的に遊ぶか、ということも大事な点だと考えます。最近は様々な種類のおもちゃがあふれ、子どもたちは常のそれらのおもちゃで遊んでいるために、自ら創造したり工夫をしたりすることが少なくなってきていると言われています。私は、それはある部分は当たっているけどある部分は違っていると思っていて、子どもにとっておもちゃがいいか悪いかという話ではなく、子どもには創造力や探求心が育つようなおもちゃが必要だと考えています。森の中には子どもたちにとってのおもちゃが豊富にあります。木切れ、木の実、切り株、倒木、キノコなど、あらゆるものが子どもたちにとって遊具となります。その遊具を使って遊ぶために、過去の体験を組み合わせたりイメージを膨らませたりします。また常に変化する自然は興味の尽きることがありません。まさに創造力、探求心が育まれる環境です。

子どもたちが探求心をもって創造的に活動できる、そんな保育を行っていくために、毎日森の幼稚園のように…とまではいかなくても、利用できる環境が周りにはまだまだあるように思います。創造力、探求心というキーワードからも、自然とのかかわり方を考え直している最中です。

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