
月曜日の夕方の出来事です。ぞう組さんの部屋の前を通ると、ぱんだ組のAちゃんが扉のすき間に顔をぴったりつけて、中の様子をジーッと眺めていました。すごくいい光景だなあと思い、邪魔をしないように写真を撮らせてもらいました。保育園にはいろんな発達段階の子が生活しています。その子どもたちが関わって活動することには「年少児は年長児から刺激を受ける 」という大事な目的があります。Aちゃんはぞう組さんの活動を見ることで、たくさんの刺激を受けたことでしょう。きっと何かの機会にその経験が生きてくると思います。ぞう組さんの存在は、他の組の子どもたちにとって非常に大事なものです。この1年間で多くの子にたくさんの刺激を与えてくれました。もちろん私たちもこうした行動が日常的に生まれるような環境を大事に考えている訳で、その特徴的な場面を見ることができてうれしく思いました。
火曜日にはウォークラリーが行われました。簡単に説明すると、こもさわ公園へ行く途中に3つのチェックポイントが用意され、そこで出された課題をグループごとに体験していくという内容です。例えば「冷たいものを見つけてみよう」という課題があり、石とか地面とか手すりが冷たかったよー!と、ぞう組のNちゃんは嬉しそうに教えてくれました。冷たさを意識しながら目につくものを触った体験は、いつもと違った感覚をフルに働かせたことでしょう。他のものより冷たいものを見つけ、不思議さを感じたでしょうし、なぜ冷たいんだろうと好奇心も湧いたんじゃないかと想像します。私たちはこの課題を「科学」と位置づけていますが、ここで感じた不思議さ、そこから生まれる好奇心は、小学校以降の全ての学びにつながる重要なものです。こうした体験はこれからも大切にしていってもらいたいと思っています。

22日(土)は卒園式。14名の子どもたちがどんな表情で修了証書を受け取ってくれるか、今から楽しみにしています。たくさんの笑顔が見れるといいなあ。

先日ぞう組さんの夕方のお集まりを見させてもらいました。イスを丸く並べて座り、この日の当番のRちゃんが会を進めていきます。今日の振り返りをするときには、どんなことをして遊んだか、みんなが手を挙げて積極的に発表していき、他の子はしっかりとその話を聞いています。最後に歌を歌うときになると、希望のあった2曲のどちらを歌うかを決めるために多数決を取り始めます。多少とりまとめ方の大ざっぱな多数決ではありましたが、それでもみんな納得して歌っていました。
この様子を見ていて、みんなすごく力をつけているなあと感じました。運動や表現、言葉などももちろんしっかりと育っていますが、今回特に感じたのが自分の思いを話すことや、それをきちんと聞くこと、そしてみんなの意見を調整することなど、そんな力の育ちです。司会が困っていると誰かがすぐに助け船を出してくれる姿なんかもそうですが、これらは社会でも必要な関わる力です。6歳になったらそのようなことができるというものではなく、子ども同士の関わりを経験する中で育ってくる力です。大きな子ども集団のある保育園での生活をしっかりと過ごしてくれたことを嬉しく思いました。
こうした力は、実は赤ちゃんの頃の体験からつながってきています。赤ちゃんの頃に他の子どもを見てお互いに触ったり、他の子が動くのを見て一緒に動いたりすることから始まり、少し上の発達の子の様子を見て真似をしたり、そんなことを経てぞう組さんのお集まりのような姿が見られるようになります。大きな子ども集団を持っている保育園の中で、0歳から他者と関わることがどんな力につながっていくのか。関わる力をつけていくために0歳からどんな体験が大事になってくるのか。そんなことを保護者のみなさんに分かりやすく伝えていくことを来年度の取り組みの軸にできないか、今計画しているところです。
来年度のあさり保育園の職員体制について、今回もここ(配布している紙に書いてあります)でお知らせさせてもらいます。ご存じのように、あさり保育園では職員全員がチームとして保育を行っています。それは来年度も変わりません。保育園は社会を知る大事な場でもあります。職員がどのようなチームのあり方を見せるかによって、多様な社会の関わりを学べるかどうかが違ってくると思っています。個性を生かし、互いに助け合う姿を子どもたちに伝えていくことも大きな課題として取り組んでいきたいと思います。
あさり保育園の保育の考え方「見守る保育」について、昨年少し説明をし始めたのですが、途中で止まっていました。今回はその続きを書いていきます。
3.子どもは、多様な大人、子ども同士の体験から、社会を学んでいくこと。
私たち人類は残念ながら万能ではありません。強いところもあれば、当然弱いところもあります。だからこそ人間は他者と協力して社会を形成し、その中で社会の一員として役割を分担して生きてきました。社会を形成していくためには他者と関わっていくことが必要です。そのために人は赤ちゃんの時から、少しずつ社会の一員となるためにいろいろなことを学んでいきます。その学びとは誰かから知識を与えられるといったことではなく、人との関わりの中で生まれてくるものです。でもその関わりは少子化によって次第に薄くなってきています。そして薄くなったのは子ども同士の関わりだけでなく、地域との関わり、社会との関わりも同じです。
そんな時代だからこそ、保育園のような子ども集団を持った場では子ども同士の関わりを生み出していくことが大事になってきていると、私たちは考えます。同時に様々な大人や地域、そして社会との関わりを体験できる場を作っていかなければいけないと思っています。その中で人にはそれぞれ特性があり、役割があることを知り、それを生かして助け合うことが社会を形成する上で大切だと感じてもらいたいと思っています。社会の一員となる意識をつけ、その中で自分の役割を見つけ、自己の主体性を発揮しながらともに生きる社会をつくる基礎を培っていく環境を用意すること。それがあさり保育園の保育理念『人生の基礎づくりのお手伝い』の実践であり、保護者のみなさんとともに目指していきたいところでもあります。
下の子が上の子の真似をしたり、上の子が下の子に手本を示す場を日常的に作る。困っている子がいたら子ども同士で助け合えるよう働きかける。喧嘩が起きると「なかよしテーブル」へ行くことを促す。子ども同士の話し合いの場を頻繁に設ける。もくもくの日などでは地域の方にお願いをして積極的に関わらせてもらう。いろんな特技を持った方に保育園へ来てもらう、などなど。まだ他にもありますが、こうした活動の目的は社会を学ぶことにもあるわけです。