隠岐の島ウルトラマラソンが終わりました。結果は無事完走、でも中身はいろいろと想定していなかったことがありました。できれば同じことは繰り返したくないので、昨日感じたことを思い出して記録しておくことに。
スタートはワラーチで。ワラーチにするか裸足にするか迷ったんですが、なんとなくの気分でワラーチを選択。これはどっちでもよかったんだけど、ちょっと乱暴に走ってしまったこととペースが速かったことが問題でした。100km走る気分になりきれてなかったのかもしれません。たいして力もないのに丁寧さが足りませんでした。
途中から雨が降りはじめ、ワラーチの上で足がツルツル滑り始めて上り坂をうまく走れなくなったため、20km地点から裸足に変更し、48kmのレストステーションまで。濡れた路面が気持ちよくて、道路を勢いよく流れる水の上を滑るように走ったりして楽しみました。この時もちょっと走り方は雑になっていたなあと反省。
そんなこんなで50km過ぎたあたりから膝に違和感が。痛みが出ると膝に力が入らない状態になり、その間隔が段々短くなってきました。1km続けて走ることができないもどかしい状態です。でもこれは時々あることで、30歩ルール(歩くのは30歩まで、歩いた後は50歩以上走る。これの繰り返し。)でやり過ごしながら様子を見ることに。でも全く回復せず、この辺りから下りは全て歩きに。
70km過ぎからいよいよ怪しくなり、30歩ルールが守れなくなりました。75kmからは完全に歩きに。でも12分/km前後で歩き続ければ6時間くらいでゴールにたどり着けそうで、それなら制限時間も問題なくクリアできる計算です。その時はまだ諦めるつもりは全くなかったので、まずは80kmを目指しました。でも想定外だったのが、走れば30〜40分くらいでたどり着ける距離を1時間以上かけて歩いて進むしんどさ。痛みもあるけど精神的にかなりやられました。その後85kmまでが一番辛かったかも。リタイアを考え始め、ゴールで待ってくれている人にどう連絡をとるかとか、応援メッセージをくれた子をゴール前で探してお礼を言うつもりだったけどそれができそうにないこととか、とにかくいろんなことを考えました。でも同時にゴールまで歩き続けるために気持ちを切らさないこと、ウルトラマラソンを楽しむと決めていたことなどを実行するためにできることはないかといろいろ考え、歩きながら他のランナーを応援することに。「あと20km!がんばれー!」と声をかけてると「お互いがんばりましょう!」と声が返ってきます。元気づけるつもりが逆にこちらがたくさん元気をもらいました。
もちろん歩いている最中も沿道で応援してくれている人にはお礼を伝え続けました。隠岐の島ウルトラマラソンの特徴は島をあげて応援してくれることだと思っています。後で聞いた話ですが、集落毎にどんな応援をするか話し合っているそうです。大会中はコースになっている道路はスタッフとランナーしか移動することができません。なので、他の集落ではどんな応援をしているのか、島の人は見ることができません。あそこではこんな応援をしていたらしいといった話を聞いて、次はどんな応援をするか考えたりするそうです。しかも町の人がお金を出し合って飲み物や食べ物を用意してくれたり。10km地点で応援してくれた人が、コースになっていない道路を通って70km、90km地点でまた応援してくれたり。押し車に座って応援し続けてくれる人、ランナーのゼッケンを見て事前に島民に配られる参加者名簿で名前を探し、「○○さん、がんばれー!」とみんなに声をかけてくれる人、子どもと一緒にずっと声をかけ続けてくれる人。そんな人たちからいっぱい力をもらいました。歩き続けてよかったことは、そんな人たちと今まで以上に話ができたことです。走ることができなくてもいいことはあります。
84km過ぎたあたりでバイクに乗ったスタッフに「大丈夫ですか?」と声をかけられました。そこで初めてリタイアという言葉を口にしました。「リタイアする場合はどうすればいいんですか?」この言葉を言った瞬間、気持ちがかなり切れてしまいました。「自分に言ってくれてもいいですし、この先のエイドで言ってくれてもいいです。」と言われ、とりあえず次のエイドまでは歩くことに。そのときはリタイアをほぼ決めていました。もうちょっとでエイドに着くという頃、くまモンのぬいぐるみをつけた女性と一緒に少し歩きました。実はリタイアを考えてるんですと話すと、「そうですよね、無理はしない方がいいですもんね。でも私もしんどいけど、今回は絶対にリタイアしないと決めてるんです。歩いてでも絶対にゴールしますよ!」と力強く話して走って行かれました。すごい人だなーと思いながら、でも自分はリタイアを決めています。複雑な思いでスタッフの人に「リタイアします」と伝えました。リタイアの手続きが分からずすぐに本部に問い合わせてくれ、ゼッケン番号を伝えてもらいました。その様子をボーッと見ながら本当にこれでいいんだろうか?と再び考え、急に気持ちが変わり「すいません!リタイアを取り消させてください!」とお願いしました。あと15km、3、4時間歩き続ける自信は余りなかったけどまだ進みたいという思いが強くなり、少し休ませてもらった後、また進み始めました。
85km地点から95km地点まではひたすら沿道の人やランナーに話しかけ続けました。気持ちが切れてしまわないように。もうやめよう、いや歩き続けようと葛藤する2時間は辛かったです。長時間歩く練習もしておいた方がいいなとか、少しでも楽に速く歩く方法を身につけなければとか、とにかく今の状況を前向きに捉えるよう工夫をしてみました。ほとんど効果はなかったですが。残り3kmの地点まで来て、これで時間内にゴールできるとやっと安心することができました。ここまで来るのは長かったけど、膝の痛みでしばらく悩むことになるだろうけど、歩き続けてここまで来ることができてよかったと、やっと思えました。次に同じ状況になったらリタイアするかもしれません。でも、このときの「あと3km!」「あと2km!」「あと1km!」の気持ちを思いだして歩き続けるかもしれません。とりあえずは痛みをとって、自分の力に合った走り方やペースをもう一度確認することにします。で、また来年隠岐の島の100kmに挑戦です。
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