2016年10月21日

No.466 繰り返しと語って聞かせることの大切さ

以前、昔話に興味を持ったことを書きました。その興味はまだ続いていて、使われている文法や特徴、語り口の面白さにすっかりハマっています。例えば、いつどこであったことかを特定しない(昔々あるところに…)、数は1,3,7などが好まれる(こぶたは3匹、こびとは7人)、色は原色が多い(白、赤、黒)、同じ行動やかけ声が繰り返される(「お腰につけたきびだんごを1つくださいな」の繰り返し)、森には○○と△△の木が生えていて…と詳しく説明はしないなど、たくさんの特徴があります。みなさんの知っている昔話を思い出してもらうと、これらの特徴が当てはまるはずです。昔話は口伝えで語られてきたものです。そのため話はシンプルであることが重要だったそうです。複雑な描写をしてしまうと聞いている方も分かりにくいし、語り継がれているうちに伝言ゲームのようにどんどん変化してしまいます。数や描写はシンプルで整理されたものに、同じ場面は同じ言葉で繰り返すなど、聞いている人ができるだけ理解しやすいように、そして話を楽しめるように、昔話の文法は出来上がったそうです。

「繰り返し」を考えてみます。子どもは繰り返しの表現を好みます。同じ話や同じ絵本を好む傾向もあります。さっき読んだばかりなのに「また読んで!」と何度もせがまれた経験はありますよね。そのときに「どうして進歩しないんだろう?」「違う話や違う絵本に興味を持っていろんな知識をつけてほしいのに…」と大人は思ってしまうかもしれませんが、子どもにはぜひ繰り返しの楽しさを存分に体験させてあげてください。繰り返すことは「もう知っていることと再び出会う喜び」を味わうことです。安心感が生まれ、安定した心の成長につながる、大事な体験です。絵本を読んであげたり話を聞かせてあげるとき、子どもの「もう1回!」にじっくりとつき合ってあげてください。

「語って聞かせる」を考えてみます。語りを聞くときは、自分の頭の中でその情景を想像しながら聞きます。絵を見ながら話を聞く絵本とは違う点です。「おじいさんはやまへしばかりに」と聞いたときに想像する「おじいさん」「やま」「しばかり」は1人1人違うはずです(「柴刈り」は子どもには想像できないかもしれませんね)。想像は体験で得た知識を総動員して行います。知らないことでもあれこれ想像することは楽しいですし、体験によって知識が増え、言葉が意味するものが分かるようになることも楽しい体験です。目と耳の両方から同時に情報が入ってくるメディア(テレビなど)が多い時代だからこそ、想像すること、聞いたことと経験して得た知識が結びついて分かる楽しさを、数多く体験させてあげたいですね。ところで「トゲアリトゲナシトゲトゲ」という虫を知っていますか?ぜひ奇妙な姿をあれこれ想像して楽しんでみてください。



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