2016年12月2日

No.472 ちょっと暗くて狭い場所




子どもたちはちょっと暗くて狭い場所が好きです。これはほとんどの方に共感してもらえることだと思いますが、みなさんも好きだった記憶はありますよね。狭い場所に留まるだけでなく、そこを通り抜けるだけの場合もあります。0,1歳児の部屋には押し入れの下にちょっと暗くて狭い場所がありますし、上の写真のような室内遊具のトンネルもあります。(この中で遊んでいる写真が撮りたくて乳児室へ行った時ちょうど中で遊んでいたんですが、私に何か訴えようとして中から出てきてしまい、集中して遊んでいる姿を撮ることはできませんでした。)



園庭の「暗くて狭い」場所と言えば、築山の下に埋めてある土管です。「懐かしい!昔はよくこの中で遊んでたよなあ」とうっかり大人が入ると服をあっという間に汚してしまうこの土管は、上の写真のようにトンネルとして使われたり、中でままごとをしていたり、友達と楽しそうに話をしている姿も見かけたりもします。子どもの遊びというと、明るくてある程度の広さがあって…といったスペースが浮かぶと思います。もちろんそんなスペースは必要ですが、反対のスペースも必要だというのが私たちの考えです。生活にはメリハリが大事なのと同じで、遊びにもおいてもメリハリは大事です。明るく広い場所で遊んだり、時には暗くて狭い場所で遊んだり。静かに没頭して遊んだり、体を思い切り動かして遊んだり。遊びの空間にもメリハリをつけることで、子どもたちの遊びは多様になっていきます。



似たようなメリハリのための場として、ロフトの2階のスペースがあります。この場所は意図的に薄暗くしてあり、またここに上がると周りからはあまり見られないような作りになっています。もちろん大人からはそこに子どもがいることは分かるのですが、子どもからするとちょっとした隠れ家のように感じる場所です。こうした場所は保育園ではあまり好まれない時期もあったようですが、意図的に作った「実は外からは見えているんだけど、そこにいると見られていないように感じる場所」は、大勢が一緒に過ごす保育園だからこそ必要です。ちょっと人の目を避けたいという思いを持つのは、大人だけではありません。望んで行くのか、本能的にそのような場所を求めるのかは分かりませんが、こうした静的な場も無くてはいけないと考えています。保育園の環境には意図があります。「この場所にはどんな意味があるの?」と思われたら、遠慮なく聞いてくださいね。

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