2017年4月14日

No.490 音を楽しむ

園内には様々な音があります。あさりこども園で一番多い音は、子どもたちの声です。楽しそうに笑い合う声、楽しそうに歌っている声、泣き声、時にはケンカをして言い合いをしている声も聞こえてきます。その声を聞きながら子どもたちの表情や活動の様子を想像することが習慣になっているのですが、実際に見ているときよりも冷静に様子を掴めることもあったりするので、声って不思議だなーといつも思います。

この文章を書きながら聞こえてきているのは食事中の会話です。

家族の話をしている。
おじいちゃんやお父さんの名前を言い合ったりして、すごく楽しそう。
いろんな話に広がってちょっと盛り上がり過ぎている感じなので、箸が止まっているかもしれない。
子どもの中の誰かが会話をちょっと抑える役をしてくれたらいいなあ。
あっ、それまで黙って聞いていたS保育士が子どもたちにおじいちゃんの名前を尋ね始めたら、みんなの話が家族の話に戻ってきた!
散らかり始めていた話を家族の話題に引き戻すことで、会話も落ち着いて食事も進み始めた。
さすがS保育士!
楽しく食事をするためには楽しい会話も必要で、どう展開していけば食事も会話も楽しめるか、こうした場を通してゆっくり学んでいるんだよなあ。


私の場合はこんなことを思いながら園舎内にある声(音)を聞いているわけですが、このように特定の会話だけに注目して聞くことができるのは大人の特徴で、子ども(赤ちゃんも)の聞き方は違っていることが研究で分かっています。子どもは複数の音の中から必要な音を選んで聞くことができず、そこに響いている音を全部聞き取ってしまうので、1つの話に集中することは難しいそうです。そのことを踏まえた上での音の使い方をしていくことは、あさりこども園でも考えなければいけないことです。子どもと音の話は他にもあって、大人以上に細かな音を聞き分ける力を持っていることも分かっています。おそらくみなさんは実際に見ていて分かっていると思いますが、子どもは1人ひとりの声の違いもかなり細かく把握していますし、大人以上に音の快・不快を感じているように思います。子どもたちがどんな音をどんな風に聞いているかを改めて考えることは子どもたちの活動を考えていく上でとても大事なことで、おもしろい活動を生み出すこともできそうです。

「生活の中で様々な音、色、形、手触り、動き、味、香りなどに気づいたり、感じたりして楽しむ」ことは、こども園の保育の目的でもあります。音に限らず、身の周りの様々なものに楽しさを感じられるよう、工夫していきたいと思います。

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