こども園の役割について改めて考えています。安全で快適に生活するといった基本的なことはもちろんなのですが、それ以外にも「子ども同士の関係性を豊かにする」役割は今までと変わらず大事にしていきたいと思っています。ここでは何度も書いていることですが、子どもは他の子どもを見て刺激を受けて発達していきます。上の子の行動を見て、やってみたいと思うところから真似を始めてその行動を獲得していきますし、下の子の手本となることで自信をつけ、できることをより強化させていきます。それ以外にも、集団で活動するからこそ楽しさが増したり、同じ物を見ても様々な見方があるため気づきの幅も広がります。様々な他者の存在を知ることは他者への想像力にもつながりますし、そこで起こるトラブルも調整力の獲得には必要なことです。つまり子ども同士の関係性を豊かにすることは、単にできることを増やすだけでなく、社会性の発達を促すことにもつながるわけです。
関係、関係性を英語にするとリレーションシップ(relationship)となりますが、こども園においてはソーシャルネットワーク(social network)の視点も持っておきたいと思っています。ソーシャルネットワークはSNS(Social Networking Service)の普及によって広く知られていますが、そのようなサービスを利用する意味ではありません。私の勝手な解釈ですが、リレーションシップが個と個を結ぶつながりを表している線だとすると、ソーシャルネットワークはそれらを含んだ面です。つながりがあればそれでいいのではなく、そのつながりが他のつながりにどう影響を与えどんな面を作っているか、そんな視点も持てるようになりたいと思っています。こんな話を職員にすると「また園長がややこしいことを言い出した……」と嫌がられるでしょうが、今後の社会のこと、そこに出ていく子どもたちのことを考えると、やはり大事な課題です。
私たち1人ひとりの価値観は多様です。この価値観の違いを生かすためには、個がバラバラになるのではなく、つながり合って社会を形成していくしかありません。こども園には0歳から6歳までの子どもがいます。発達段階も様々、興味関心も様々です。その個がバラバラのままではなく、いろんな形でつながり合っていくことを目指したいです。乳幼児期からの関わりの中で様々な他者へ思いを寄せたり、そのことで安心や信頼が得られたりと、そんな体験を繰り返していく場を作ることはこども園ならではの役割です。「こども園の役割について改めて考えています」と書き始め、結局今まで大事にしてきたことを変わらず今後も…という結論になり、それがあさりこども園の保育の本質だと再確認することができました。
0 件のコメント:
コメントを投稿