ぞう組さんの仕事の1つに「食後のランチルームの掃除」があります。みんなの食事が終わった後、ランチルームのテーブルとイスをテラスへ運び、床を雑巾で拭いてきれいにしていきます。2人で行う仕事なのでなかなか大変だと思いますが、様子を見ているとやらされているという感じはなく、子どもたちの主体的な取り組みになっていると感じます。そんな様子を見かけたとき、「きれいにしてくれてありがとう。みんなが喜ぶね。」と声をかけると、とてもいい表情を見せてくれます。ぞう組さんの役割はそれだけではなく、布団敷き、うさぎ組とりす組の手伝い、ぱんだ組と一時保育の手伝いなどがあり、毎日活躍してくれています。
子どもたちは保育所での生活の中で、自分の役割をもち、どう行動するかも毎日学んでいるわけですが、当番活動はみんなのためという意味合いもある活動です。脳科学者の茂木健一郎さんは、「脳の成長には、どんな小さなことでもいいので喜びを感じることが大切」と言っておられます。ごはんを食べて美味しいと感じたり、何かができるようになって嬉しいと感じたりすることも、脳の成長のためには大切なことです。そして同じ喜びでも「他人のために何かすることを自分の喜びと感じられる」、そんな喜びの体験はもっと重要だとも言っておられます。この「他人のために何かすることを自分の喜びと感じられる」のは、人間の特徴だそうです。
そんなことから考えると、もともと人間は他人と社会を築いて(共生)、他人のため、社会のために何ができるかを考えて生きていく(貢献)ことで進化してきた存在だとも言える気がします。この「共生」と「貢献」は、あさり保育所で今後もっと大切にしていきたい概念です。これらは関わりの中で育っていく力です。でも少子時代になり、家庭や地域の中に子ども集団ができにくく、関わる場が生まれにくいのが現状です。そんな時代だからこそ、大きな子ども集団を持っている保育所の役割はますます大きくなっていくと思っています。社会の中で自分の役割をみつけ、そして他人のために社会のために何ができるかを考えることのできる、子どもたちにはそんな人になってもらいたいというのが私たちの願いです。保育所での当番活動にはそんな力をつけていく意味もあると、少し大げさかもしれませんが、そんな風にも考えています。
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