2013年11月29日

No.322 いよいよ明日は発表会

いよいよ明日は発表会。ここまでどのような思いを持って取り組みを進めてきたのかは、各クラスのお便り等でお知らせしてきた通りです。子どもたちの言葉や表現の発達を見てもらうためにはどうすればいいか。子どもたちが楽しさを感じながら取り組むためにはどうすればいいか。そんなことをスタッフ全員がずーっと考え、今日まで活動を行ってきました。発表会の日に向けて何か特別なことを仕込むといった形ではありません。毎日の生活や子ども同士の関わりの中でどんな力をつけてきているのかを、その生活の場面を切り取ってみたり、子どもたちの興味のあるものを取り上げて膨らませてみたりして、その様子を見てもらうのが明日の発表会です。

運動会ではりす組から始まってぞう組まで順番に運動面の発達を見てもらうプログラムにしていました。同じように発表会でも、りす組から順に言葉や表現の発達を見てもらうプログラムにしています。大人との応答から始まり、友だちとのやり取りを楽しむ姿、そして自分たちで工夫して作り上げたストーリーを楽しむ様子を見てもらうことで、言葉や表現がどのように発達していくか、そしてその発達によって他の子との関わりがどう変化していくか、そんなことも感じてもらえるんじゃないかと思っています。どのクラスの子も友だちを意識する姿は見られますが、大きくなるにつれてその意識はどんどん高くなっていきます。舞台の上でなかなかセリフが出てこない子を励ましたり助けてあげたりする姿を練習でも見せてもらいました。普段の生活でも同じようなことが行われているからこそ現れるそんな姿にも注目してみてください。

今年は例年以上に発表会に向けての話し合いが行われたと感じています。職員もそうですが、子どもたちもよく話し合いを行っていました。例えばぞう組が劇の内容を作り上げるときの話し合いなんかはおもしろくて、意見が割れてしまっても「そうだなあ、じゃあここはこう変えたらどう?」と、ちゃんと自分たちで落としどころを見つけながら進めてくれたようです。これってコミュニケーション力の中でもとても大事なことですよね。子どもたちは、言葉のやりとりを楽しんだり、興味のある言葉を使ってみたり、友だちとの会話を楽しんだり、友だちの話を注意して聞いたり、そして友だちとの様々な関わりを経験したりと、多くの段階を経てぞう組のような話し合いの力を身につけていきます。そんな成長の過程を思い描きながら見るのも楽しいですよ。

2013年11月21日

No.321 一緒に喜び、一緒に楽しむ関係

毎月行っている誕生会、ほとんどの方は経験されていて雰囲気は知っておられると思います(まだの方はお楽しみに)。ここではその月に誕生日を迎える子の成長を紹介するのですが、今月はその中に歩くのが上手になったYちゃんがいました。名前を呼ばれたらどんな風に反応するのか、どんな風に歩けるようになったか、そんなことを担任が紹介してくれたわけですが、その時の会場の様子がとっても温かくて嬉しくなりました。

F保育士がYちゃんの名前を呼ぶと、いつもは笑顔になったり手を挙げたりと応えてくれるんですが、みんながYちゃんの反応を見ようとステージに注目していることもあって緊張してしまったのか、ジーッとしています。今度は歩く姿を見てもらおうとF保育士が離れたところから呼ぶんですが、なかなか歩き出そうとしません。でも他の子どもたちは歩く姿を見ようと注目しています。注目と書くと感情があまり伝わりませんが、「成長した姿が見られることを楽しみにしている、応援している」そんな気持ちが伝わってくるような子どもたちの姿でした。

誕生会の翌日、水曜日には発表会の練習がありました。発表会当日は他の子の出番を見ることはできないので、練習ではできるだけ子ども同士でステージを見合うことができるようにしています。水曜日の練習でも小さい子のがんばっている姿をジーッと見ている姿が見られました。保護者のみなさんにその様子を見てもらうことができないのは残念なのですが、友だちのがんばりや成長をみんなで喜ぶことができる関係になっていることを、下の写真を見てぜひ想像してみてください。



子どもの成長を楽しみにし、それを喜ぶ。私たち保育者も保護者のみなさんと同じ思いでいます。そして保育園の子どもたちも、みなさんや私たちの思いとは少し違っていると思いますが、友だちの成長を一緒に喜び、それを楽しんでくれています。保育園という場を通していい関係が築かれているなあと感じた、誕生会と発表会の練習でした。

2013年11月18日

中学生の職場体験

先月のことを書き忘れていました。

あさり保育園に市内の中学校から2年生1名が職場体験に来てくれました。2日間の予定が天候の関係で1日だけになってしまいましたが、それでも保育園という場を少しは感じてくれたんじゃないでしょうか。

体験の感想も書いてくれました。「どこかで紹介してもいい?」「はい」というやり取りを経て、ここで紹介させてもらいます。



今日一日だけでしたが、普段は保育園の子たちとは遊ぶことがないのでとても楽しかったです。たくさんの子が自分の方から話しかけてくれたり、遊んでくれたりしてとてもうれしかったです。最初保育園に行く前はどんな感じで遊んだりしたらいいか分かりませんでしたが、保育園に行ってからは本を読んだり外で遊んだりなど、いろんなことができてよかったです。途中で遊具など遊んでいるものを取り合いになったりしたこともありましたが、だいたいの子は順番を守ったり、ルールを決めて使っていて、すごいなと思いました。
今日一日お世話になりました。また来てみたいです。




あさり保育園では職場体験だけでなくボランティアも受け付けています。
希望される方は気軽に連絡してくださいね。

2013年11月14日

No.320 遊び方の違いから考えてみる

写真では分かりにくいかもしれませんが、下の写真は同じ日の同じ時間に撮ったもので、上から0・1歳児、2歳児、3・4・5歳児の遊びの様子です。写真をパッと見ただけではどれも似たような遊びの様子にしか見えないのですが、実際に見ていてこれらの遊びにはかなりの違いがあるように感じました。今回はそのことについて書いてみます。

まず0・1歳児の遊びの様子について。遊びに集中しているんですが、それぞれがそれぞれの遊びを楽しんでいます。太鼓を叩いて神楽を楽しんでいる子、ままごとをしている子、そうした様子をジーッと見ている子、かなり賑やかな中で絵本に集中している子など、様々です。もちろん関わる姿もありますが、まだたくさんの仲間と一緒に…という感じではありません。それが2歳児になると違いが見られます。この時はお店の中で調理をしている子がいて、そこに買い物に来るお客さんもいて、たくさんの仲間とごっこ遊びを楽しんでいました。そして3・4・5歳児の遊びのゾーンに移動してみると、自分の遊びたいゾーンに行き、そこで興味が同じ仲間とブロックを楽しみ、すぐ横では同じようにゲームに興味がある仲間で楽しくゲームをしている、そんな様子が見られました。




0,1歳児




2歳児




3,4,5歳児


0・1歳児は上の子と比べると遊びがバラバラに進行していますが、そんな中でも自分の遊びによく集中しています。3,4,5歳児であれば、同じ場所で複数の遊びが行われていたら、それぞれの遊びに集中するのは難しいかもしれません。この姿は0・1歳児の時期特有のものと思われるのですが、「子どもの行動に無駄なものはなく、全て発達に必要なこと」という立場から考えると、多くの仲間と一緒になって遊んだり、興味関心に沿って遊びを深めていくことをするようになるためには、0・1歳児の時期に一見ごちゃごちゃしている中で集中して遊ぶ体験が必要なのではないかと思えてきます。どの遊びが良くてどの遊びが悪いとか、そんな話ではありません。それぞれの時期の体験は全て大事で、どれが欠けてもいけないんだろうと思っています。その子の“今”を大切にする、その積み重ねによって表れてくるのが成長なんですよね。

2013年11月13日

遊び方の違いの意味は?

同じ日の、同じ時間の遊びの様子。
写真だけだと分かりにくいんだけど、それらの違いがかなり明確に表れてたので見ていて楽しかったです。どんな違いがあって、その違いにはどんな意味があると考えたかは、また後日書きます。
個と仲間、バラバラな中でみせる集中力、個々の“今"を大切に、そんなところでしょうか。
字数制限がなかなかやっかいで、多分うまくまとめられないだろうけど。




0,1歳児




2歳児




3,4,5歳児

2013年11月7日

No.319 刺激を受けたり、自信を持ったり

発表会が近づいてきて、園内のあちこちで発表会に向けての取り組みが行われるようになりました。先日のことですが、くま組さんが集まって発表会の練習をしていました。興味深かったのはその練習の外側。その時はぞう組の女の子が「あっ、くま組さんが練習してるよ」とその様子をじっと見ていたことでした。少し前に「異年齢で生活すること」の意味について書きましたが、そこには「下の子は上の子から刺激を受ける」ことについて書いています。ぞう組さんの取り組みを見てきりん組・くま組の子たちが刺激を受けることはもちろんあります。

では上の子が下の子の取り組みを見ること刺激を受けることはないかというと、決してそんなことはありません。このときのぞう組の女の子たちはじーっと見ていただけですが、くま組さんには見られている意識もあったはずです。見られていることで張り切ってやろう!と思った子もいたはずです。また、ぞう組さんはくま組さんのがんばりから刺激を受けて「自分たちも頑張らなければ!」という気持ちも芽生えたんじゃないかと思っています。

このようにクラス毎の取り組みを他のクラスの子が見る機会が、これからどんどん増えてくると思います。下の子から見られることは、自分がお手本として見られるということでもあります。あこがれの視線を向けられていると感じることもあるでしょう。そうしたことは間違いなく自信につながります。また、下の子ががんばっている姿を見ていて、それを応援する声が聞かれ始めるはずです。恥ずかしさなどから動けなくなってしまった子に対して励ましたりする姿も見られるはずです。昨年もそうした姿はたくさん見られました。これは異年齢で生活し活動しているあさり保育園の子どもたちの特徴でもあると思っています。見ることで刺激を受けたり、見られることで自信をもったり、応援したり、励まされたり。このようなことは発表会だけのことではなく、普段の生活の中でも頻繁に行われていることだからです。発表会まであと3週間。興味深い姿が見られたら、できるだけ取り上げて発信していきたいと思っています。

役員さんも発表会の出し物を仕上げるために張り切ってくれています。子どもたちがよく知っている昔話を演じて見せてあげたい、テーマに合わせて世界も演出したい、いろんな思いが感じられる内容です。こちらも楽しみですね。

2013年11月1日

No.318 秋を感じる会

火曜日には「秋を感じる会」を行い、地域の方をお招きして一緒に芋汁を作ってみんなでそれをいただきました。芋汁にはもちろん保育園の園庭でとれたサツマイモを使っています。知っている方も多いと思いますが、この「秋を感じる会」は去年までは「芋煮会」という名前で行っていました。ずっと前からこの名前で行っていた行事だったこともあり、その名前をずっと使っていたんですが、この地では「芋煮」と言わないようなので今回から変えることにしました。名称を変えるというだけのことなのですが、今回の名称の変更は思っていた以上に内容に対する影響が大きかったように思っています。

写真では分かりにくいかもしれませんが、秋を感じるということで、遊戯室にはたくさんの秋が飾られました。サツマイモ、アケビ、ザクロ、カキ、キノコ、ドングリ、ススキ、カエデ、ツワブキなど、秋の豊かさを感じることができるものが満載でした。「秋を感じる」という言葉を使うことがなければ、ここまでたくさんの飾りを用意することはなかったと思います。たかが言葉なんですが、行動に大きく影響してくるので私は結構大事だと思っています。



せっかくなのでもう少し言葉について。普段何気なく使っている言葉ですが、その時々でどんな言葉を選ぶかによって、受けとる側に与える影響はずいぶん違ってきます。例えば散歩に出かけてドングリを拾ってきた子は「みてー!ドングリをひろったよー!」と見せに来てくれます。そのドングリを見ながら拾ったときの楽しさを一緒に味わった後に何か言葉を付け足す場合、「たくさんあるね」「この前のドングリより大きいね」「きれいな色のドングリだね」などのいろんな返答が考えられます。「たくさん」と言われた子は数をより意識するでしょうし、「大きいね」と言われた子はドングリの大きさを比べ始めるかもしれません。言葉によって興味関心の方向が変わることってありますよね。

言葉の話は広がり過ぎてしまうのでもうやめておきますが、今回言いたかったことは「秋を感じる会」という名称に変えてよかったということです。五感をしっかりと使って、秋を、そして他の季節も好きになってもらいたいなあ。