2014年1月23日

No.329 意見の表明について

「子どもの権利条約」を知ってますか?これは子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約で、日本は1994年に批准しています。この条約についてとても分かりやすく書かれている『「こどもの権利条約」絵辞典』(PHP研究所)という本があります。この本に書かれていることを、少しですが紹介します。

今回取り上げるのは12条の「意見表明権」です。そこにはこのように書かれています。

『こどもは、自分と関係のあるすべてのことについて、自分流のやり方で、自分の思いや願いを「意見」として自由に「表明する」権利があります。そして、こどもにかかわる身近なおとなは、その意見にていねいに応答する義務があるのです。「意見」とは、発表会での演説や会議での素晴らしい発言、みんなが感心するような考えだけではありません。あなたが今感じている思いや願い、さらには、もやもやした気持ちなどをすべてふくみます。意見「表明」とは、お父さんやお母さんなど、世話をしてくれる身近なおとなに、あなたの思いや願い、気持ちを何らかのかたちで伝えることです。うまく言葉にできなくて泣いたり、物にあたったり、反抗したりすること、黙ってじっと下を向いていること、赤ちゃんが「ねむい」といって「おぎゃー、おぎゃー」と泣くこと。それらも立派な意見「表明」です。こどもは、今できる精一杯のやり方で、身近なおとなに「こっちを向いてよ」と呼びかけ、自分の思いを伝えようとしているのです。』

言葉だけでなくあらゆる気持ちも立派な意見。そしてそれを身近な人に何らかの形で伝えることが表明。誰もが分かる言葉で気持ちを伝えることが出来ればいいけど、子どもは別の「何らかの」形で表現することの方が多いのかもしれません。言葉で表現できない気持ちを受け止めてもらえなかったり「ないもの」にされてしまったりするとしたら、それは大人でも辛いことですよね。そのことをよく理解し、子どもの「何らかの表現」も全部ひっくるめて「意見の表明」と丁寧に受け止めてあげられるかどうか。大人のあり方次第というわけです。子どもが呼びかけることは、自分の力で人間関係を作っていくことです。それにきちんと向き合うことで、自分を肯定し、自分の存在に自信を持つことにつながっていきます。「意見表明権」はとても大切な子どもの権利です。

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