2014年11月28日

No.372 いろんな個性をもった時計のはなし

先日、保育園の電話の時計が少し遅れていたので正確な時刻に合わせました。その作業をしながら、そういえば時計の時刻合わせをする機会が減ったなあと感じました。電波時計が普及し、多くの時計がいつも正確な時刻を示しています。パソコンとかも自動的に時刻を合わせてくれるので、わざわざ時刻合わせをする必要がありません。117に電話して時報を聞きながら時計の時刻合わせることも、最近は少なくなりましたね。私が子どもの頃にはゼンマイ式の時計とかもあって、ゼンマイを巻き忘れて止まってしまっていたり、電池式の時計も電池の残量が減ると簡単に遅れたりしていました。要するに周りにある時計の多くは正確な時刻を示しているとは言えない状態で、でもその辺は個々の判断基準に照らしながら「今は○時頃だな」と推測して生活していたと思います。

今私たちの周りにある時計の多くは概ね正確です。どれも同じように時を刻んでいます。そんな状況だから時計は常に正確だとつい思い込んでしまい、そこにズレが生じたときにちょっとした困惑や怒りの感情が生まれたりすることがあります。「あの時計が間違っていたせいで約束の時間に遅れてしまった!」なんて経験がありませんか?でもこれって、「時計なんてズレていて当たり前」と思っていたら簡単に回避できることですよね。ズレの可能性をあらかじめ見積もっておき、その上で自分なりの時間の確認方法をもっていれば、そう苦労もせずに対処できるんじゃないかなあと思っています。

時計の時刻合わせをしながら、子どもの育ちも昔の時計と同じように様々なんだよなあと、ふと思いました。子どもはみんなが同じペースで右肩上がりに真っ直ぐ成長が進んでいくと私たちはつい思い込んでしまいがちですが、決してそんなことはありません。興味も様々、伸びる分野も様々、成長のスピードも様々です。いろんな成長の姿を見せてくれます。それなのに、本などから得た情報と照らし合わせたりして、どの子も同じように成長していくと思い込んでしまい、そこから少しでも外れたときには不安になったりします。でも目の前の子どもをよーく見ていると、その思い込みこそが間違っていると気づかされたりしますよね。思い込みを捨て、「子どもはみんな違っていて当たり前」と思えたら、目の前の子には今どんな支援が必要なのかを少し落ちついて考えられるような気がします。そんなに慌てることなく、ゆったりとした気持ちで子どもと向き合えるような気もします。時計だけでなく、同じように正確に動作する便利なものに囲まれて暮らしている今の時代だからこそ、いろんな個性をもった時計があった頃を思い出すことも必要なんじゃないだろうかと、そんなことを考えました。

明日はいよいよ発表会。それぞれに違っている個性的な子どもたちの今を、みんなで楽しみましょう。

2014年11月27日

「大きい」と「小さい」、「太い」と「細い」

「大きい」と「小さい」、「太い」と「細い」。
こんな風に書くと子どもはイメージしやすい。







では、「長い」と「短い」はどう書けば分かりやすいんだろう?





2014年11月25日

円周率

ずっと昔に円周率を習いました。3.14のアレです。本当は延々と続いていくわけですが、計算に使うために3.14として扱うということだったと思います。でもゆとり教育と言われた時代には、手計算においては円周率を3として教えることになっていたようです。円周率は3と言われると、ちょっと味気ないですよね。限りなく続く数字なのに3だなんて…。
そんな扱いを受けたりもした円周率ですが、大事に大事に扱っている本もありました。

「円周率1,000,000桁表」

その名の通り、円周率が1,000,000桁まで書かれています。





ただただ円周率が並んでいるだけの本です。





金額も314円、そして3.141592刷発行とか、細かいところまで凝ってます。





こういうモノを作ってしまう発想は大好きです。

2014年11月23日

日本の色

外国から入ってきた保育ではカラフルな色があちこちで使われるけど、あれって日本の伝統的な色使いとは違うんじゃないかと思っています。



こんなステンドグラスの色彩は昔の日本にはなかったはず。日本の色ってそんなにカラフルなものではなかったと思うんですよね。子どもたちが目にしてきた伝統的な色彩はその土地の文化によって違っていて、それを考慮した上で保育の中で色を使っていくことも大事だと思います。

ではどんな色が使われていたのか?どんな色を保育の中で活用していけばいいのか?

それをこれから考えます。



2014年11月21日

No.371 今年の舞台は寄席です




いよいよ来週は発表会が行われます。子どもたちの言葉や表現の発達をみなさんに見てもらうことが大きな目的となっていますので、どんな力をつけてきたのかを見ていただき、そして今後どのように変わっていくのか想像しながら楽しんでもらいたいと思います。ご存じの通り、あさり保育園では年間のテーマを設定していて、今年は「和」をテーマに様々な活動や行事を行ってきています。もちろん発表会も同じで、内容だけでなく環境もテーマに沿って作り上げてきました。お知らせにもあったと思いますし、既に見られた方もいると思いますが、今回の舞台は寄席をイメージしています。

ステージに置かれた屏風や障子、小さいですがカラフルな幕を取り付けたりして、寄席の楽しそうな雰囲気を作り上げてくれています。ホールの入り口には子どもたちの名前も書かれた「浅利亭」の看板も設置されました。また今回は客席に座布団を敷いてみることになりました。数が足りないので保護者のみなさんに「家庭で使っている座布団を持ってきてもらえませんか?」とお願いすることになるかもしれません。そのときはぜひご協力をお願いします。

会場の雰囲気をざっと紹介してきましたが、このような環境を作り上げていく段階も発表会の取り組みの一部なので、その様子を見せながら楽しさを感じてもらえるように進めてきています。プログラムには言語と表現がどのように育っていくかの目安となる表をつけていますが、例えば表現の欄には「○○を楽しむ」とか「○○の楽しさを味わう」といった風に「楽しむ」ことについてたくさん書かれています。感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しんだり、生活の中でイメージを豊かにして様々な表現を楽しんだり、そんな体験を通して子どもたちは表現の力をつけていきます。子どもたちの発達には、物事に楽しんで取り組むことが欠かせないというわけです。だからこそ今回の発表会でも楽しく取り組める工夫は大事にしていきたいと考えています。

今回私たちが作り上げた寄席は、大きくて立派なホールではなく古くから続いている演芸場の形です。その演芸場を説明する言葉の中に、「完成品を見せるホールの演芸と違い、寄席の演芸には未完成なりの面白さや真剣さがある」というものがありました。「完成した姿ではなく、成長の真っ最中にある子どもたちの真剣さ、だからこそ微笑ましく思える姿を見てもらいたい」という、私たちの発表会に向けての思いとよく似ていると感じました。子どもたちの真剣さをみなさんと一緒に楽しみたいと思います。

2014年11月14日

No.370 「3」という数の話

子どもが数をどのように理解し、それがどのように算数につながっていくのか。このことを順序立てて理解しておくことは大事なことだと思っています。例えば「いーち、にー、さーん…」と数を唱えることを数唱といいますが、この数唱ができることと数を数えることとは違います。数唱は、単にリズムとして口ずさんでいるだけという場合もあるからです。数を理解するというのは、まずは具体的なものと数が一致することから始まり、以前書いた「なかまづくり(物の集まりを知ること)」やランチルームの後ろに置いてある冊子でも取り上げた「大きさ比べ(大きい小さい、長い短いなど)」を経て、少しずつ理解を深めていくわけです。と、ここまで書いていて、数の話を文章だけで表そうとすると余計にややこしく感じてしまうことに気づきました。やはり具体的な話をした方がいいですね。

今回は「3」という数の話。この「3」は割と早い段階から大きさを掴みやすい数のようで、まずはここから理解を進めていった方がいいと言われています。数の理解とは、まずはその物の大きさ(多さや量)を掴むこと、そしてそれを言葉にして言えることです。これを表す言葉が1、2などの「数詞」で、物の大きさ(多さや量)と「数詞」の関係を二者関係といいます。例えば下の写真だと「鉛筆の数は9」と表現できること。そして「鉛筆を2本取って」と聞いてその本数をそこから取り出せること。それらを理解できることが「数」を理解するということです。



この「数の理解」を進めていくときに、「3」はなかなか便利な数であることが分かります。早い段階から把握しやすい数だということや、3は2と1を合わせたものとも言えたり、右から何番目、左から何番目といった順序性が出てきたり(1だと右も左もありませんし、2だと単に右か左かになってしまいます)と、数の持つ様々な性質を備えているからです。そんな大事な数字だからこそ普段からその数字に触れ、そして意識して使えるように、例えばぱんだ組(2歳児)の色鉛筆立ては、写真のように色ごとに3本ずつ立てておけるものを用意しています。「3」という数字を遊びの中で体験できるようにしておくことも、先の算数へとつながっていく大事な環境と考えています。数の環境についてはまだ考えなければいけないことが多いのですが、私たちも数を楽しみながら環境を整えていきます。

2014年11月7日

No.369 保育園の役割について考えています

保育園の役割について考えています。保育園は保育を行うところ。これは間違いない基本的なことです。子どもたちが意欲的に活動することで確実に発達を遂げていくための環境を用意したり、最近何度か書いている「学校での学びにつながっていく」乳幼児教育を行ったりと、まずはこの保育がしっかりと行われていることが重要です。そのことは当然のこととして、おそらくこれからの保育園はそれ以外の役割も求められるようになると思っています。

例えば「地域の文化を伝承する」ということがあります。保育園では毎年祖父母のみなさんを招待して「餅つき会」を行っています。これは餅つきという文化を子どもたちに伝承することが目的なんですが、その行事に来てもらう対象は子どもと祖父母だけでいいんだろうか?と考えています。私が子どもの頃は杵と臼を使った餅つきを家庭でも行っていましたが、餅つき器が登場して以来、あっという間に杵と臼の出番が減ったように思います。ある保護者から聞いたんですが、ホームベーカリーでも餅が作れてしまう時代になったそうですね。3世代で集まったり近所の人と集まったりして賑やかに行っていた餅つきの風景は、今では貴重なものになっています。

今まで保育園で行ってきた餅つき会は、先にも書いたように祖父母と子どもたちが一緒に行います。子どもたちが餅つきを体験する場でもあり、祖父母の技を見せてもらう場でもあります。でも文化は代々受け継いでいくものだと考えると、そこにお父さんお母さんがいて、みんなで一緒に餅つきを楽しむこともいいでしょうし、大人の作業の早さや正確さ、力強さといったものをもっと見せてもらう場にしていくことも必要なのではないかと考えています。今年の餅つき会は12月の予定なので、時間の関係上考えていることをどこまで形にできるか分かりませんが、お父さんお母さんの協力をお願いすることになれば、その時は力を貸していただきたいと思います。保育園という場を使って文化を伝承するために、それぞれの世代でできることを考えていきます。

もう1つは「地域の中での役割」です。これについてはまだ考えがまとまっていませんが、保育園を利用するのは子どもとその保護者だけでなく、地域の人が持っている力を発揮してもらえる活躍の場もちゃんとあって、たくさんの人が当たり前のように保育園に集まってきて、そのことによって子どもたちが多様な社会を学ぶことにもつながる。中心には子どもがいて、そこに地域の大人が集まってくる。そんな場にしていくことも必要だと思っています。このことは時間をかけて整理し、形にしていくつもりです。

2014年11月2日

写真をいただきました

グレートトラバースの応援事務局ハタケスタジオの方から、陽希さんのゴール時の写真をいただきました。あさり保育園の子どもたちが贈ったメダルと寄せ書きと一緒に写っているものです。陽希さんの嬉しそうな表情を見ていると、こちらまで嬉しくなってきますね。素敵な写真をありがとうございました!













2014年11月1日

ある2日間の出来事

1日目


18時まで某団体の会議に出席。

19時からは場所を移してある取り組みに向けての初会合。
今保育園が向き合わなければいけない課題について、メンバーがそれぞれの地で具体的に考え具体的に動く、といったことくらいしか今は言えませんが、とにかく新しい活動がスタートすることになりました。今まで関わったことのある活動の中では、ある意味一番スケールの大きな活動になるかもしれません。初会合は22時過ぎまで盛り上がりました。



2日目


当初の予定が変更になって時間ができたので、ハタケスタジオへ。
ハタケスタジオは田中陽希さんの挑戦「日本百名山ひと筆書き」の応援事務局をされているデザイン会社です。

陽希さんのゴール地点に飾る横断幕にメッセージを書いてくれませんか?とうれしい提案をしてくれたのも、子どもたちからのお祝いのメッセージとメダルを利尻島の陽希さんの元に届けてくれたのも、全てハタケスタジオのみなさんのおかげです。そのお礼をしたいとずっと思っていました。







ハタケスタジオはとても静かで気持ちのいい場所にあり、建物の感じもいいですし、スタッフのみなさんの雰囲気も温かく、何度でも訪れたくなるような素敵な会社でした。この度のお礼を伝え、子どもたちがどんな風に陽希さんの旅を応援しながら楽しんでいたかもお話させてもらいました。そして旅の裏話も聞かせてもらったりと、とても楽しい時間になりました。