子どもの心は「依存」と「自立」を行ったり来たりして成長していきます。依存とは甘えのこと、自立とは反抗のことです。まず子どもの心は親に完全に依存した状態で生まれます。そこで十分安心感をもらうと、今度は依存による不自由さを感じるようになります。依存の世界は安心ではあるけど、同時に不自由な世界です。なので、自由になりたい、自分でやりたいと思うようになります。それが意欲です。そしてその意欲によって自立の世界へ向かっていきます。自立の世界は自由な世界なので、何でも好きなようにできます。ところがそのうちに子どもの心に別の気持ち、何かに頼りたいといった不安が出てきます。この不安が深くなると、また依存し、甘えたくなります。そして甘えることことによって安心感を得ます。そこで十分安心感をもらうとまた不自由になる、といったように、行ったり来たりしながら大きくなるのが子どもの心です。
ここで大事なのは、依存と自立の行ったり来たりは子どものペースでないといけないということです。子どもが「お母さん」と寄ってきたときは助けてあげ、自分でやると言ったときは「じゃ、やってごらん」とさせてあげるといったように、子どものペースで行ったり来たりできることが大事なのです。
子どもの心の育ち方について、このように話しておられました。これを読むとほとんどの方が「うん、わかる」となるんじゃないでしょうか。でも、目の前の子どもを見ていると、行ったり来たりするものだということをつい忘れてしまい、「行く」ことだけを強く求めてしまったりするものです。私たち大人に求められているのは、こうした子どもの育ちの理解だけでなく、目の前に流れている時間とは違ったかなり長いスパンの、肌感覚でしか分からないような時間で子どもを見る姿勢だったりするんだろうと思っています。今目の前に見えている子どもの姿にとらわれすぎることなく、10年後20年後に子どもが社会へ出たときのことを考え、そのときにどんな大人になっていてほしいか、そんなことをじっくり見ていく感覚を磨くことができれば、子育てが少しは楽になるんじゃないでしょうか。そんなことを考えさせられた、明橋氏の講演でした。
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