2012年9月21日

No.262  手づかみはいけないこと?

今週の水曜日に行政の栄養士さんがあさり保育園の食事を見に来られました。子どもたちと一緒に食事をしながら食事内容や食事風景も見ていただきました。そしてその結果、ごはんと味噌汁を中心にした食事についていい評価をいただいたのですが、それ以上に意欲的に食べている姿を評価してもらったことが私にとっては嬉しいことでした。見ていただいたのは0,1,2歳児の食事風景が中心だったのですが、子どもたちが意欲的に、そして何より楽しそうに食べている姿をすごいと思ったという感想で、まさにそれが私たちが大事にしていることだったからです。

県内を始め全国の保育園の方と交流していると、食事に関しても本当に様々な話を聞くことがあります。最近聞いて驚いたのは「赤ちゃんが手づかみで食べることを禁止している保育園」の話です。内容はそのままなのですが、大人が食べさせるか、スプーンなどを使って食べること以外は認められないそうです。私たちも決して食べるときの作法はどうでもいいなんて思っていませんが、でも赤ちゃんは食べたいという気持ちから思わず食べ物に手が出るということは当然あります。そうした食べたいという意欲は子どもの自然な姿であり、まずはその意欲を大事にし、そこに手の力や手先の器用さが育ってくることでスプーンなどを上手に使って食べられるようになる、というのが子どもの自然な発達の進み方であるはずです。手づかみを禁止することで確かに自分も汚れずに、更には周りも汚さずに食べることはできます。でも汚れて不快だと感じることも発達には大事なことですし、手で食材の感触を十分にあじわうことも五感を刺激するため発達には大きく影響してきます。食事を単に栄養の摂取と考えるのではなく、様々な体験の場と捉え、子どもの発達にどうつながっていくかという観点からも考える必要はあると思っています。

他の子どもと一緒に食べることを通して他の子の食事の様子を見ることももちろん大事ですし、そこから生まれる楽しさを共有することも大事です。好き嫌いなんかも、意欲や楽しさを大事にすることや他の子の様子を見ることを通して減らすことができるという調査結果も出ています。食事内容はもちろんですが、どのように食と向き合うかということも丁寧にこだわっていき、食事という生活の場の質を高めていきたいと思っています。生活は、生きるために必要な様々なことを学ぶ、大事な大事な活動です。

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