今週の「園長のひとりごと」は一度書いたものはボツにして、別の話を書いて配布することにしました。深い理由はありません(本当はあるけど)。でもせっかく書いたので、そのボツバージョンも残しておきます。
2013年の終わりに(ボツバージョン)
「えっ、もう年末?」今はまさにそんな感覚です。あさり保育園のこの部分は大事に育てていきたいなあとか、でもこの部分は改めないといけないなあとか、そんなことばかり考えていた1年間でした。1年間かけた割にはたいしたことができていないと言われそうですが、じっくり進めていくのがモットーです。
あさり保育園の保育目標に『「ひとり」を大切にする保育』というものがあります。このことについて「いや、1人ひとりの個は大切にしなくていいよ」なんて考える人はいないはずです。でも社会を眺めたとき、あれ?と感じてしまうこともあったりします。異質なものを「排除」しなければ集団や社会は団結できないといった考え方。集団は効率よく動くためには個は均一であった方がいいといった考え方。そこまであからさまな表現ではありませんが、ニュースとかで耳にしたりすることはありませんか?具体的に取り上げることはしませんが、何だかそのような考え方が目立つようになってきた気がしていて、とても残念に思っています。
繰り返しますが、あさり保育園の思いは『「ひとり」を大切にする』です。そしてこれは、個が大切にされていれば集団はどうでもいいというものではなく、集団の中で発揮するための個を大事にしていきたいという思いです。言い換えれば、多様性を認め合い得意分野を活かすことを目指していきたいという思いです。これは子どもたちだけでなく、私たちスタッフも同じです。男性がいたり女性がいたり、几帳面な人がいたり少し大ざっぱな人がいたり、絵が得意な人がいたり音楽が得意な人がいたりと、人は様々です。その中で自分のもっている力や得意なことをどのように発揮すれば集団や社会に貢献できるか。子どもたちにはそんなことを考えられる人になってもらいたいですし、私たちもそのような姿を子どもたちに示していきたいと思っています。
様々な人が関わることに効率性を求めると「排除」の考え方が必要になるのかもしれません。でもあさり保育園では、非効率かもしれませんが、考え方の違いから生まれる揉め事も大事な体験と捉えたいと思っています。けんかや葛藤を経験する中で人は様々であることを感じ、だからこそ一緒に取り組むことには深みがあって楽しいということを感じられるはずです。年が変わってもあさり保育園はこのことは大事にしていきます。来年もよろしくお願いします。
少し前の話になりますが、調理室見学ツアーというものを行いました。今のところ対象はぞう組さんで、スペースの関係上4名ずつくらいでツアーを行っています。安全面や衛生面のことを考えて調理の終わっている午後の時間に開催しているのですが、大きな調理器具の使い方を聞いたり、食品庫にどんなものが保管されているかを見たり、調理室からしか見られない独特の景色を楽しんだりと、自分たちがいつも食べている食事が作られる場所の見学を楽しんでくれていたようです。


この見学ツアーはちょっとした思いつきから実現したものですが、このツアーを実際に行ってみて、まだまだ保育園を生かしきれていなかったことに気づかせてもらえました。子どもたちには保育園で行われている生活、例えば行事の準備や掃除なども積極的に見せるようにしています。見せるだけなく、興味を持たせるように働きかけ、実際に関わってもらうことも大事にしています。行事なんかも当日になって初めて飾りや道具を目にするのではなく、それらがどのような過程を経て出来上がっていくかを一緒に楽しめるようにしたり、掃除にしても汚れていく過程やそれをきれいにしていく過程や方法を知ってもらえるようにしたり、そんなことを大事にしてきました。そのために保育園にある物や人を生かしてできることは、今回の調理室見学のようにまだまだあったんですよね。
保育園の中でもまだできることはあったということは、地域の中で保育園のもつ資源を生かせることもたくさんあるはずです。例えばあさり保育園が公的な施設であることからすると、もちろん園児のための保育が第一ですが、それを保障した上で子育て支援の活動ももっと工夫することはできるかもしれません。また2月に予定している保護者講演会のような場は、家庭で子育てをされている方や子どもに関心のある地域の方にとって実は貴重な場で、そのような方々に参加を呼びかけることも必要なのかもしれません。子どもたちのため地域のためにあさり保育園ができることは、これからも積極的に取り組んでいきます。もちろん”楽しく”は忘れずに、です。来年もよろしくお願いします。
気づかれた方もいると思いますが、りす・うさぎ組の室内環境が少し変わりました。「えっ、どこが変わったの?」と思った方はぜひ覗いてみてください。以前は廊下側にあった食事をとるスペースが園庭側に移動し、廊下側は遊びのゾーンになっています。大まかな変更をしただけなので、これからまだまだ変化していく部分もあると思いますが、今回の変更で以前から気になっていたことが改善されていくのではと思っています。
何を目的とした変更かというと、スペースの関係もあって2つの部屋に分かれて食事をとっていたりす・うさぎ組の子どもたちが、全員一緒の空間で食べられるようにすることです。あさり保育園では食事の際も「見ることや見られることで互いに刺激を受ける」ことを大事にしています。まだ自分1人では食べられない子が、自分で食べている子の姿を見て真似をしようとしたり、スプーンやフォークの使い方を真似しようとしてみたり。また、見られていることで張り切ってみたり。そうやって刺激を受け合いながら、自らやってみようとする気持ちを持って食事をとる、そんな環境をいつも探っています。その意味から、「廊下にテーブルを並べて食事をとっているぱんだ組の姿」も意識してもらいたいという思いで、部屋の廊下側に食事のスペースを設けていたのですが、今回は「りす・うさぎ組が全員同じ場所で」を優先し環境を変えたというわけです。もちろん出来ることなら両方実現できる環境にしたいという思いはあります。でもそれ以外の条件も絡んでくるため、今回はこのように優先順位を決めました。

『あちらを立てればこちらが立たず』という言葉がありますが、よくよく考えてみると周りにあるのはこんなことばかりです。そんなときにあさり保育園では、今子どもたちに何を体験させてあげるかを基準にします。
先々こんな力をつけてもらいたい → 今の子どもたちの発達はこう → だとしたら、あちらも捨てがたいけど、今体験できるようにすべきなのはこちらかな
こんな感じで今回の室内環境の大枠も決まっていきました。当然子どもたちの「今」は変わっていくので、環境の見直しは頻繁に必要になります。そんなとき「あちら」と「こちら」のバランスをどうとるか?意図を持ち、子どもたちの姿を見て、今後も考えて続けていきたいと思っています。
へびからうまへ変わっていくんですねえ。
まだ少し早いけど。


以前「情緒の安定」ということについて書いたことがありますが、子どもたちが経験を通して学んでいくとき、情緒が安定していることはとても大切です。この情緒の安定のためにどのようなことがポイントなのかを、例えば保育園の食事の場面で見られる様子から書いてみることにします。
最初は①欲求を適切に満たすことです。子どもの中には食べる速さがゆっくりの子もいます。もしダラダラと食べて遅くなるのであれば早く切り上げた方がいいけど、「自分はこれとこれが食べたい!」と思っていて、でも食べる速さが遅いという場合は、その欲求を満たしてあげることが情緒の安定につながります。でも、時にはそれを叶えてあげられないときもあります。早く片付けをしてしまわないと次の予定が…ということもありますよね。そんな時には次のポイント、②共感してあげることです。欲求を満たしてあげることができない場合は「ゆっくり食べたいよねー。だけどもう洗って片づけてしまわないといけないから。」と、まず子どもの気持ちに共感してあげて、それから理由を説明してあげるが大事です。
そして3つ目には③自分に自信を持つということがあります。自信を持つのはどういう時かというと、誰かにやらされるのではなく自発的に何かに取り組んだときです。ゆっくりといつまでも食べている子に対して「早く食べなさい!」といったことを言うよりも、自分で早く食べ終わったときに「すごく早く食べられるじゃない!」といった声をかけ、よくできたときにそのことに対する自信を持たせることが大切です。
そして4つ目は④生活のリズムです。食事をきちんとリズムをとって食べることも情緒の安定につながります。逆にいつまでもダラダラ食べるのは情緒が不安定になる場合もあるわけです。そんなことから保育園では時計や図や文字などを使って食事の時間を具体的に示すようにしています。また、次にやることを示してその後の流れや1日の流れを知らせることで、子どもたちは生活のリズムを知っていきます。そしてその生活を通して、自分自身で「この時間までに食べてしまおう」と物事を切り上げていくことも学んでいきます。
突然「情緒の安定」のことなんかを書いてみたわけですが、食事の場面以外でも子どもへの対応を考えるヒントになると思うんですよね。