2015年5月8日

No.394 長いスパンで考える

あさり保育園にはいろんな人が来てくれます。地域の人もそうですし、小学生や中学生も園児のお世話をしに頻繁に来てくれています。また、子育て支援センターも運営しているため親子で遊びに来てくれたり、見学で来られたりもします。様々な人に利用してもらいたいと思っていますし、いろんな関わりが生まれることは園児にとっても意味のあることなので、このようにオープンにする姿勢は大切にしています。そうやって遊びに来られた方に対して保育園の考え方を説明したりすることもあるんですが、その時にあることについて質問されることがあります。今回はその“あること”について。

ご存じのように、あさり保育園の活動は子どもが主体的に行うことを大事にしています。子どもの発達を保障するために、子ども自身の選択も大事にしています。そのような活動について説明すると、「小学校へ行くとやりたくないこともやらなければいけないから、保育園でも我慢して嫌いなことをする必要があるんじゃないですか?」といったことを聞かれることがあります。「小学校へ行くと授業で長い時間座っていないといけないから、保育園のときから座る練習が必要なんじゃないですか?」という質問もありますね。こうしたことに対して、保護者講演会にも来てくださったことのある新宿せいが保育園の藤森平司園長は次のように話されています。

例えばハイハイをしている赤ちゃんに対して「どうせ先では歩くんだから、ハイハイなんかやめて歩く練習をさせた方がいい」と考えて歩かせたりはしませんよね。発達には順序があります。ハイハイを飛ばして早く歩く練習をして歩けるようになったとしても、必ずどこかでひずみが生じます。発達というのはそういうものです。我慢ができるようになるのも発達で、そのためには自分の好きなことを思いっきり行う体験を経ることで我慢する力、自分を律する力がつきます。それを飛ばしてしまうとどこかでひずみが出てしまいます。小学校に行ってから場面に応じて我慢する力を発揮できるようになるために、乳幼児期に自分のやりたいことを見つけて、それを十分に行うことをしなければいけないのです。


子育てをしていると、どうしても今の姿が気になるものです。短いスパンで子どもの成長を考えてしまいがちです。でも必要なのは、長いスパンで子どもの成長を考えることです。今の姿を整えようとしすぎるのではなく、小学校に行ったときにどうなってほしいか、20年後30年後にどんな大人になってもらいたいか、そんなことをみなさんと共に考えていける保育園でありたいと思っています。

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