この春からあるサイトに「子育ての小さなヒント」を書いています。子育て中のお母さんからの質問に対して、あさり保育園の保育の考え方や実践していることをもとに、こんな風に考えてみてはどうですか?というヒントを提示する形です。果たしてヒントになっているかどうかは分かりませんが、そこで書いたものを1つ載せておきます。
今回の質問は「子どもの言葉の発達のために、親が出来ることは?」です。まずは言葉の発達とは何か?を考えたいのですが、これを一言で語ることは難しいです。というのも「覚えている単語の数が増える」ことだけが言葉の発達ではないからです。もちろん覚えている単語の数も大事なことですが、言葉はコミュニケーションの手段です。まず相手に伝えたい思いがあり、それを伝えるために身ぶりや手ぶり、そして言葉を使うようになります。ということは、相手に伝えたいという欲求を高めてあげることは、その後の言葉の獲得の大きな力となっていきます。
例えば赤ちゃんは泣くことによって「お腹がすいた」「うんちが出た」「眠たい」といった思いを伝えようとします。では、泣くのがかわいそうだからと何でも先回りし、泣きだす前にミルクをあげたりオムツを替えてあげたりしているとどうなるでしょうか?赤ちゃんは自分で伝えようとしなくても自分の欲求をわかってもらえるので、自分から積極的に伝えようとすることをしなくなってしまいます。そしてこれはコミュニケーションのことだけではなく、自発的に周りに働きかけようとする意欲にも影響してきます。まだ言葉を話さない時期の関わりですが、泣くことも言葉や自発性の育ちに関わってくることなので丁寧に考えていきたいことです。
子どもは驚異的な学習能力をもっていることが分かっていますが、同時に情報のインプットが必要だということも分かっています。この情報のインプットが大人とのコミュニケーションです。子どもの一方的な語りかけではなく、大人からの一方的な語りかけでもない、子どもと大人の双方向のコミュニケーションが必要だということです。子どもだからと適当に話を聞いていると、それは間違いなく子どもに伝わります。「あなたの話に関心を持っているよ」と伝わるように聞いてあげることや、子どもの言葉をきちんと拾ってそれに返してあげることの積み重ねによって、子どもは自分の発している言葉に意味があることを理解していきますし、何よりコミュニケーションの楽しさを感じていきます。そして大人の会話をたくさん聞かせてあげることも大事です。子どもの言葉の発達のために親が出来ることはたくさんありますね。
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