2016年4月8日

No.440 トラブルに対処する力

今回はトラブルについて。トラブルを辞書で調べると「いざこざ。紛争。悶着。」と出てきます。これは他者がいるからこそ起こるもので、たくさんの人と共に生活している私たちは、常にトラブルの起こる可能性がある中にいることになります。他人と関わって生きていく上でトラブルをゼロにすることは、おそらくできないと思います。では仕方ないからそのトラブルを全部正面から受け止めるのかというと、それはしんどすぎます。だから誰もが上手く回避したり、折り合いをつけたりしながら生活しているのが現状だと思います。では、どうやってその力をつけていくんでしょうか?

このことについて明確な答えを持っているわけではないのですが、1つだけ自信を持って言えることがあります。それは、回避したり折り合いをつけたりすることは、人から教わったり教科書を読んで学ぶようなことではなく、実際のトラブルを経験する中で学んでいくしかない、ということです。そのトラブルは激しいぶつかり合いのようなものである必要はありません。小さな葛藤体験を子どもの頃から経験できることが大事だと思っています。そんなことを考えながら0,1歳児のクラスの様子を見に行きました。



4月から入った1人の子が保育者に抱かれています。周りには昨年から保育園にいる3人の子がいて、絶妙な距離を保ちながら保育者と会話をしたり、他の子と笑い合ったりしてゆったりと過ごしています。この3人の子は保育者が誰も抱っこしていなければ、もう少し保育者との距離を詰めていたかもしれません。でも、その時は抱かれている子に保育者を譲っているようにも感じられました。このような姿を見ることができるのは、保育者との信頼関係があるからこそだと思います。その信頼関係を基盤にし、子ども同士の関係の中で譲ったり譲ってもらったり、自分の思いを出したり引っ込めたりして葛藤することもあったりと、そんな経験を積み重ねていくことがトラブルに対処していく力の獲得につながっていくと思います。今回見た小さな葛藤の場面(小さなトラブルと言ってもいいかも)は、まさに子どもたちの学びの場面だと思いました。

トラブルは様々です。大人がきちんと止めなければいけないトラブルはもちろんあります。そこは十分気をつけていきますが、子ども同士でそこに向き合って経験を重ねるべきものも、実はたくさんあります。トラブルに対処する力の獲得につながる小さなトラブルの場面に改めて注目し、その意味を考えていきたいと思っています。

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