2011年12月23日

子どもの食事のあり方③

おむすび通信に食事に対しての思いを書かせてもらっている3回目の文章、これが最後です。ほんとにくどくどとわかりにくい文章だなあと思いますが、どうやらこれが限界のようです。今回も修正が入ると思いますが、せっかくなのでここに全文を。


保育所の仕事に関わるようになって不思議に思っていることの1つに、子どもたちが集団で食事をとることの意味についてあまり語られないことがあります。保育所の食事について、栄養指導、料理活動、栽培活動などが取り上げられることは多いのですが、どんな環境で誰と食べるかについては意外と少なかったりします。「子どもの食事のあり方」ということで書かせてもらっていますが、そのことについて考えるとき、やはりどんな環境で誰と食べるかについても大事にしたいと思っています。

人間は昔から集団で食物を分け合いながら食べていました。もちろん旅先とか単身で生活している場合は1人で食べるケースもありますが、他者とともに食事をとる「共食」というスタイルが基本です。まず他者がいること、つまり自分とは違う嗜好の人の食事の様子も見ながら食べること、そして楽しく食べること、嫌々食べるのではなく会話を交わしながら食べたり、気の合う友だちと一緒に食べるといったことは、食を考えるうえで大事にしたいことです。

保育所にはいろんな発達段階の子どもがいます。そのいろんな発達段階の子どもが様々にかかわり合いながら食事をしています。0歳児が保育者に食べさせてもらっているところを5歳児がじーっと見ていたり、0,1歳児同士でもスプーンで上手に食べることができるようになった子を見ながら自分もスプーンで食べることに挑戦してみたり、5歳児が食べる様子を見ながら2歳児が食事のルールを覚えていったり、自分の苦手なものを美味しそうに食べる子の様子を見て食べてみようという気持ちが起こったり。子どもたちは食事において「他者を見る」という関わりから様々なことを学びます。そして食事のルールだけでなく、他者理解や社会的ルールを学ぶ機会があふれていると思っています。特に食の基本が形成される乳児期に、いろんな発達過程が見える関係の中で食事をすることによって、食の自立、スプーンなどの道具の使用の発達、社会認知的発達においてとても重要だと考えています。

また、言うまでもないですが、現在問題視されている好きな時間に一人で食べる「孤食」、一緒にいてもみんな別々のものを食べる「個食」、決まったものしか食べない「固食」というようなことは、集団で食事をとる性格上、よほどのことがなければありません。これもすごく重要な点だと思っています。

子どもたちが保育所でとる食事は1日3食のうちの1食です。「その1食の食事がどうあるべきかを考えることも大事だけど、家庭で食べる2/3の方がはるかに大事なんじゃないか?」という意見を聞くことがあります。確かに食べる回数を考えても、ましてや家族と食べる意味を考えても、そこを軽視することはできません。でも、例え1日のうちの1/3であっても、そこには私たちの思いを目一杯込めることができます。もちろん食事については家族の方と一緒に考えたいことですが、保育所で食事をとることの良さを十分に考え、その良さをしっかりと生かせるようにしたいと思っています。

幕内先生と出会えたことで、子どもの食事において何を軸にすべきかを考えるきっかけをいただきました。ごはんを中心とした食事を大事にし、保育所ならではの環境を生かしながら、子どもたちを支えていきたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿