2015年3月12日
No.386 場を共有する
先週のことですが、「ああ、そうなんだよなあ」と思わされることがあったので書いてみます。それは保育園では日常のようなもので、何も特別な出来事ではありません。どんなことかというと、写真のようにただ友達と一緒に絵本を読んでいる場面を見ただけです。でもこういう姿が保育園の特徴でもあると再確認するきっかけをもらいました。
普通「本を読む」と聞くと「1人静かに」読んでいる姿を思い浮かべることが多いと思います。それ以外では大人に読んでもらっている「読み聞かせ」を思い浮かべる方もいるかもしれません。本の楽しみ方に決まりなんてなく、それぞれの好きなように楽しめばいいわけなので、1人静かに読むことも誰かに読んでもらうこともそれぞれに意味のあることです。ただ、写真のように「友達と一緒に読む」ことについては思い浮かべる人は少ない気がしますし、その大切さについてもあまり聞くことがないように思います。
友達と一緒に絵本を読むことは、絵本の楽しさを共有することでもあります。他者と気持ちを共有する体験は先週書いた「非認知能力」につながる体験であり、保育園では特に大切にしたいことです。また、自分1人のペースではなく他者のペースを感じながら読む体験でもあり、「早く次のページに進みたいのに…」と思い通りに読み進められず楽しくない思いをすることもあるかもしれません。でも興味を持つポイントや視点の違いを関わりの中から感じることは大事で、その違いによって生まれる葛藤にも意味があると思っています。これはたくさんの子どもがいる保育園だからこそできる体験です。そして、これも保育園の日常なんですが、1冊の本をみんなで読むだけでなくそれぞれが違う本を同じ場所で読むこともあります。その様子を見ていると、その場を共有すること自体に楽しさを感じているのが分かりますし、隣で読んでいる子の読み方をチラチラと見ては真似する姿も見られたりすることから、場を共有すること自体がたくさんの刺激を受ける学びの場にもなっていると思っています。
大きな子ども集団を持っている保育園では、絵本を読むことをとってみても他の子どもとのいろんな関わりがあります。ここが家庭とは一番違っているところで、そこに保育園の役割があると思っています。どんな関わりを生み出すか。それをどう生かしていくか。それも私たちの関わり方次第だと考えています。
さて、来年度のあさり保育園の職員体制について、ここ(配布するお手紙のみ)でお知らせをさせてもらいます。ご存じの方も多いかもしれませんが、来年度は職員体制において少し変化があります。変化の受け止め方にも積極的、消極的の2種類あると思っていて、あさり保育園としては前者の受け止め方をしていくつもりです。あさり保育園の保育の考え方は変えることなく、新しい体制の“味”を出していきたいと思っています。もちろん子どもたちと一緒に、保護者のみなさんと一緒に、です。よろしくお願いします。
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